Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Avaron Hill「PanzerBlitz」

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突然のノスタルジーねた。ご近所ゲーマーのYossyさんから『ゲームを処分するので、部品取り用に必要ならどうぞ』と連絡を頂き、アバロンヒルの「Squad Leader」と「Panzer Blitz」を頂戴してきた。「Squad Leader」の方は、なるほど、たしかにカウンターが車輌しか無く、歩兵カウンターがごっそり無い状態。これではジャンク品としても売却しにくいだろう。幸い、こちらの手元には「Squad Leader」のカウンターは揃っているものの、箱が無かったので、合わせればちょうど1セット完品が整うことに。これで「Advanced Squad Leader」ではなく「Squad Leader」がプレイしたい場合にも対応できそうだ。

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問題はこちら「Panzer Blitz」。開けてみると、英文ルールブック以外の内容物は、すべて揃っていた。まあ、英文ルールは無くてもあまり問題無いし、カウンターも切り離し済みなので、すぐに遊べる状態。しかし個人的には……いやー、このタイミングで手に入ったかと、ちょっと感慨深くなってしまった。なにしろ、今から39年前の1981年、中学1年生だった自分が、今は亡き船橋西武百貨店の輸入雑貨コーナーで初めて目にしたウォーゲームがこの「Panzer Blitz」だった。当時、すでにプラモデル戦車少年だった自分は『あのロンメル戦車(タミヤっ子だったからね)が描かれた箱はなんだろう?』と不思議に思ったが、それがウォーゲームだと分かったのは、しばらく後のことだった。ところが、雑誌「コンバットマガジン」のウォーゲーム広告を見ると「Panzer Leader」の方が、ノルマンディ戦、マーケットガーデン作戦、バルジ戦という、当時の自分になじみ深かった西部戦線ゲームだと分かったので「Blitz」は買わず、「Leader」を買ったのだ。その後、なんとなく「Blitz」が気になりつつも、延々買うことなく39年が過ぎ、今回こうして我が家のコレクションに収まった次第。最近はもう、旧作のノスタルジー買いはしないぞと決めていたのに手に入ってしまうというのは、やはり、ある種のご縁なのだろうか…… 

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このBlogをお読みのベテラン・ウォーゲーマー諸氏には、あらためて紹介する必要もないだろうが、本作は、1970年にアバロンヒル社から発売された、WWII東部戦線を舞台とした戦術級ゲーム。1ターン=6分、1ヘクス=250m。デザイナーはSPI社の創設者、ジェイムズ・F・ダニガン御大。元々は「Tactical Game 3」という試作ゲームが元になっているそうだが、あいにく現物を見たことはない。

本作では、ドイツ軍、ソ連軍双方の各種戦車、歩兵、砲兵器がユニット化され、車輌についてはシルエットも描かれている。いや、今でこそ美麗かつ詳細な車輌イラストが描かれたウォーゲームは多々出版されているが、50年前の作品としてはビジュアル系なのだこれでも。ゲームの手順は、攻撃・移動をくり返すもの。攻撃したユニットは移動できず、移動中にはオーバーランも行える。まあ、なにしろ50年前のゲームなので、ルール的に不備な面もあるだろうが、あまり気にせずプレイしたいとは思う。

1ユニットは、1個小隊。今回、Board Game Geekにあったカウンターシート画像を見ながら、駒が揃っているか確認したが、全部で352個という少なさにびっくりした。意外と少なかったんだなあと。いや、自分の場合、1000個2000個当たり前のビッグゲームばかりに接しているため、そのあたりの感覚がバカになっているのだろう…… 

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地図盤は3枚。架空の地形を組み合わせて状況を生み出すというパターンは、WWII戦術級ゲームにはよく見られるし「Squad Leader」もそうなのだが、その元祖も本作だと思う。まあ、個人的には、小隊・中隊レベルのゲームであっても、史実の地形を模した地図盤の方が好みなのだが、これもこれで発明よね。

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状況設定は12本。デザイナーズノート+キャンペーン分析の小冊子には、より大きな部隊を編成する際の指針も載っている。

ちなみに最近、やはりご近所ゲーマーのKarter氏が「Panzer Leader」の新品中古を買い『プレイしたい』と言っていたが、そのタイミングで自分の手元にも「Blitz」が来るとは、これはやはりウォーゲームの神のお導きなのだろうか。実際、自分のウォーゲーム・コレクションも、すでに第二次大戦モノオンリーに絞っているが、1ユニット小隊級のゲームは無かったため、そこを埋める形にもなってくれた。そう、同じスケールの、エポック「装甲擲弾兵・東部戦線」やらAvalanche「Panzer Grenadier」にも手は出してみたが、いずれもピンと来ず、すでに手放している。しかしウォーゲーム歴39年、ぐるっと一周回って、まさか「Panzer Blitz」に戻ってくるとはね…… 

http://gregpanzerblitz.com/

Imaginative Strategist

そして「Panzer Blitz/Leader/Arab-Israeli Wars」シリーズの場合、根強いファンも多く、自作のユニットや地図盤を発表している海外サイトもある。こういうの見てしまうと、つい作りたくなってしまうし、ずぶずぶとこの沼に沈み込みそうな気もしている。そして自分が39年前に買った「Panzer Leader」も、もはや手元には無いため、いっそまた再購入するか、とも思ったり。うーん、ここからそういう展開になるなら、なかなか罪深いゲームを入手したのかもしれないなあ……