Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】「Solitaire ASL 2nd Edition」

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先日、MMPの掘り出し物セール(品切れゲームのパーツが見つかったので再販売)にて「Solitaire ASL 2nd Edition」を購入した。箱無しのジップロック入り、ボックスアートはカラーコピーされたペラ紙だが、内容的には特に問題は無い。ソリティアという名の通り、ASLのソロプレイ用キットで、初版は1995年にアバロンヒルから発売され、2001年にMMPからこの第2版が発売された。2001年当時は自分も『まあ、ソリティアはいいや』とスルーしたが、この初版と2版に結構な内容差があり、後から海外オークションで探してみたが、出品されているのは初版ばかりで、まったく2版を見かけないという状況。やはりASLは(特に正規アイテムは)出たら買っておけということか。

で、今回そのソリティアASL第2版を入手したので、日本語で書かれた情報(プレイ報告等)はないかなとぐぐってみたが、これもまず見当たらない。なので自分も、探り探りでこの記事を書いていきたいと思う。 

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ソリティアASLの遊び方は、まず任務(ミッション)と呼ばれるシナリオ状況と、自軍の国籍を選び、ポイント購入によって自軍部隊を編成する。そして、それぞれの任務で指定された地図盤を使い、任務の達成(勝利)を目指すというもの。敵軍は、盤上に「?Suspect」という、中身がなんだか分からないカウンターとして配置され、自軍による射撃などをトリガーとして活性化チェックが行われる。その判定結果として、実は歩兵でした、戦車でした、ダミーでしたと露見する。敵軍には「保持(Hold)」と「前進(Advance)」という態勢(Attitude)が定められており、中身が分からないまま前進してくる場合もあり。 

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カウンターシートは2枚入っているが、大半がその「?Suspect」マーカーばかり。しかし初版では、シート1枚260個のみだったとのこと。 

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ソリティア任務も、初版では14種類だったのが、2版では21種類に増えている。ざっと名前だけ挙げると「慎重な前進」「偵察」「道路の確保」「城塞(市街戦)」「敵戦車の攻撃」「敵側の攻勢」「戦線の保持」「追撃」「空挺降下」「橋の防衛」「渡河強襲」「脱出」「強襲上陸」「海岸の防御」等々。この任務を、どこの国の軍隊として戦い、どこの国の軍隊と戦うのかを選べるわけだ。 

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「?Suspect」マーカーが活性化された時、じゃあ実際それは、どの歩兵カウンターだったのか、支援火器はどれか、付随している指揮官のランクはどれか、車輌だとしたらどれなのかという表は、国籍毎にジェネレーションカードにまとめられている。これも初版は4カ国だったのが、2版では12カ国……ドイツ、ソ連パルチザン、イタリア、フランス、連合国中小国(ポーランドノルウェイデンマーク、オランダ、ベルギー、ユーゴ、ギリシャ)、イギリス(欧州戦線とアジア戦線)、アメリカ陸軍、アメリ海兵隊、日本、中国となっている。まあ、これだけ収録国が違ったら、第2版の方が人気が高いのもうなずける。また各国のチャート裏面は、それぞれランダムイベント表になっている。

ちなみにこのソリティアASL第2版ルールには『フィンランド軍のジェネレーションカードは、将来発売するHakkaa Päälle !に入るだろう』と書いてあるが、実際2015年に発売された「Hakkaa Päälle !」には、そんな物は入っていない……いや、本当に入っていないよね? 今回、あらためて「Hakkaa Päälle !」の中身を確認したが、やっぱり無い。まあ、このソリティアASL路線そのものが、もう廃線なんだろうなあ。 

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ソリティアASL用のチャートも2枚。「?Suspect」が何だったのか判定する活性化表の他にも、活性化した敵がどう行動するのか、敵がどう射撃するのか(スタックの全火力を使うのか、固有火力だけで撃ってくるのか)、 敵がどう移動するのか(全力なのか突撃移動を使うのか)という表がある。また、指定された地図盤外へ移動し、追加の地図盤をランダムに決める表や、地図盤毎に勝利ポイントヘクスを決める表(ただし地図盤1~51までしか対応していない)、キャンペーンゲーム用の表もある。そう、ソリティアASLとして、自分の部隊を編成し、それをキャンペーンゲーム式に連戦させる遊び方もあると。

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そしてこの「Solitaire ASL 2nd Edition」の後、2006年に発売されたASL枢軸中小国モジュール「Armies of Oblivion」には、枢軸中小国(ルーマニアハンガリースロバキアクロアチアブルガリア)のジェネレーションカードも入っている。

また1999年発売の「ASL Journal #1」には、初版に追加する形で、スターリングラード戦モジュール「Red Barricades」を使った、ヒストリカルソリティアルールが入っており、「赤いバリケード工場への強襲」など、ソリティア任務4本が追加されている。もちろん2版に追加しても問題は無いはず。ただ、初版のルールページ数に合わせているので、この追加部分のページ番号は2版とは合わない。

さらに2001年発売の「ASL Journal #3」にはイタリア・サレルノ戦の追加任務が、 2002年発売の「ASL Journal #4」にはノルマンディ・オマハ海岸の追加任務が収録されている。このあたりもすでに品切れだが、先日からWargame Vaultで、MMP公認の形でPDF販売されている。

まあ、眺めてみると、なかなか面白そうなシステムなので、なつかしの「Ambush !」とかが好きだった人は楽しめそう。しかし競技重視型のASLerからすれば、いくら態勢が決まっているとは言え、敵の動きは非論理的になるだろうから『どうしてそこで、そうするんだよ!』とツッコミまくるかもしれない。自分も、じゃあソロプレイする時にこのルールを使うかと言われれば……微妙。いつものように一人二役を演じつつ、隠蔽マーカーの中身を分からない振りをしてソロプレイすると思う。まあ、今のところ、あくまでASLの資料ということで……