Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【Advanced Squad Leader】「Blood Reef : Tarawa」

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1999年にアバロンヒル社から発売されたASL(Advanced Squad Leader)のヒストリカル・モジュール「Blood Reef : Tarawa」をヤフオクにて購入。昨年末、MMP社で売れ残っていた「Blood Reef : Tarawa Gamer's Guide」を買った時に『(本体モジュールも)いいとこ3万円ぐらいで入手したい』と書いたが、クーポンやら余っていたPayPayやらを投入して、なんとか2万円台で手に入ったので良しとしよう……いやこんなことになるなら、当時定価で買っておけば良かった、と思っても後の祭りよ。

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お題はもちろん、1943年11月に行われた、タラワ環礁、ベティオ島へのアメリカ第2海兵師団による強襲上陸作戦である。迎え撃つは日本海軍特別陸戦隊(横須賀+佐世保)で、太平洋戦史に残る死闘と相成った。しかしこのベティオ島、1ヘクス=40メートルのASLスケールで、たった2枚の地図盤に収まってしまうほど小さい。この狭い島で、両軍兵士がひしめき合って激闘を展開したかと思うと感慨深い。 

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カウンターシートは、1/2サイズが2.5枚(カウンター650個)、5/8サイズが1枚(176個)。アバロンヒル時代の製品ながらも、末期の作品なので、印刷はきれい。とは言っても、現行のMMP製カウンターの方がやはりカットも揃っているので、わざわざこちらを切らずに、ASL太平洋戦線モジユール「Rising Sun」を使えばいいかなと。まあ、第三特別根拠地隊司令官・柴崎恵次少将(Adm Shibasaki 10-2)や、第2海兵連隊長デビッド・シャウプ大佐(Col Shoup 10-3)といった実名指揮官カウンターも入っているので、そこは使いたいかも。 

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地図盤の一部だけを用いるシナリオは7本、キャンペーンゲームは3本収録。ありがたいことに「A grove of ASL」でルール訳も公開されているので、忘れないうちに印刷と。

http://war.game.coocan.jp/ASL/

しかしASLの公式ヒストリカル・モジュールだけでも、1942年スターリングラード、1944年アルンヘム、1945年ブダペスト、1945年ハッティン、1940年ディナン、1944年エルスト、そしてこの1943年タラワと手元に揃い、さらに非公式の1942年ホルム、1944年ヒュルトゲン、1944年オルシャ、1945年ケーニヒスベルク、1941年ハルファヤ峠とあるものの、ほとんど手をつけておらず、完全にコレクター状態……これ以上「そのうちやろう」案件を増やしてどうするとも思うが、いつの日かじっくりと、こういったヒストリカル・モジュールを楽しめる日が来るといいなあ…… 

VUCA Simulations「Across the Bug River」

f:id:crystal0207:20210722161817j:imageドイツの新興メーカーVUCA Simulationsの「Across the Bug River」を「小さなウォーゲーム屋」さんから購入(日本語ルール付)。お題は、1941年6月22日、バルバロッサ作戦劈頭の、ヴォロディームィル=ヴォルィーンシキー(長いな)周辺での数日間の戦闘を扱っている。攻め込むのはドイツ南方軍集団だが、ほとんどの戦史書では『南方軍集団はスターリンラインを突破し、キエフ包囲に向かい……』とか何とか書かれている程度で、あまり詳細に述べられることは少ないと思う。かろうじてグランツの「詳解 独ソ戦史」で、迎え撃つソ連南西部正面軍の様子もちょこっと書かれている程度。まあ、そういった穴場的な戦場を、ウォーゲームで知れるのも楽しみのひとつよね。

Across the Bug River - Volodymyr-Volynskyi 1941 – VUCASIMS 

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地図盤は、ハードボード製のフルマップ1枚。ゲームスケールは、1ヘクス=2.2km。1ターン=8~16時間。キャンペーンシナリオでも全7ターンなので、いいとこ3~4日間の戦闘というところか。地図盤左側(西側)を流れるのが、タイトルにもあるブグ川=ソ連国境線で、ドイツ軍はここを渡河してソ連領内に攻め込むことになる。 

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1ユニットは基本的に大隊、戦車系とNKVDは中隊。個人的には大好物なスケール。こちらはドイツ軍ユニットだが、師団毎にフォーメーションが色分けされている。各戦闘ユニットには、戦闘力(耐久ステップ数)、戦車/対戦車ポイント、移動力、有効値(戦闘力の乗数に関係する)などが記され、裏面は混乱状態(移動不可、戦闘力の乗数が低くなりがち)になっている。司令部ユニットには、指揮範囲、攻撃支援ポイント(戦闘へのダイス修整)、司令部自体を移転する際の再配置値、フォーメーション全体のリアクション値が記されており、個性的で楽しい。ただ戦車と突撃砲などの区別は無いので、BCS(Battalion Combat Series)ほど戦闘車両のディティールが再現されているわけでもない。 

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こちらはソ連軍ユニット。総じてドイツ軍よりも有効値が低く、戦闘効率の悪さが表れている。ちらっとKVII戦車中隊(本ゲーム中、最強の戦車値7)も見えるが、ドイツ軍が第6ターンより前に、地図盤北端のソ連軍補給エリアに近づかないと登場しないので、まあ、出てこないんじゃないかなと。  

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ゲームシステムは、すでにVUCA Simulationsから発売されている「Crossing the Line」(1944年アーヘン戦)と同じ……というか、その元ゲームである「Piercing the Reich」(Moments in History 1995年)と同じ、と言った方がいいのか。そういやそんなゲームもあった気はするが、なにしろ1990年代はウォーゲームから離れていたし、買うこともプレイすることもなく今に至っている。

システムは、主導権を握ったプレイヤーから、任意の1フォーメーションを活性化させ、各フォーメーションの活性化レベルに応じて10面体ダイスを振り、使用できるアクションポイント(AP)を決定する。移動に1AP、応急攻撃に1AP、標準攻撃に2AP、周密攻撃に3APとかかるため、その活性化中に「移動・戦闘」が行いたければ、最低でも2APが必要となる。1APしか獲得できなければ、移動だけで終わるとか。

その移動中に、敵ZOCに侵入したり、敵ZOCから離脱する場合には、相手方プレイヤーがリアクションを試みることができる。成功すれば、手番プレイヤーの移動を中断させて、やはりアクションポイントを決定し、いずれかのスタックに行動させて、また手番プレイヤーに戻すと。

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戦闘は、戦力比を求めて両軍の損失ステップを求めるが、戦闘毎に、両軍とも戦闘チットを引き、各ユニットの有効値と戦闘状態によって乗数(つまり戦闘力を何倍にするか)を決定する。乗数は1~3なので、最大でも戦闘力3倍までだが、これによって事前の戦闘比計算が立たないようになっている。戦闘チットは、戦闘毎にプールから引き直すので、SPI「Operation Typhoon」「Patton's 3rd Army」のように、ユニットとチットがずっと固定( 紐付け)されるわけではない。

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ちなみにチャート類も、ハードボード製なので、ゲーム全体が物理的にずしりと重い……

とまあ、ざっと見た感じ、1ユニット中隊~大隊レベルで、交互に師団フォーメーションを活性化させ、その活性化量はランダム……というあたり、BCSに似ているなあと。いや、元ゲームの「Piercing the Reich」は1995年発売なのだから、実は先輩ゲームにあたるわけで、知らなかったのが申し訳ない感じ。ただ、BCSの方が補給線ルールが独特だったり、戦車の差異が細かいので、よりシンプルな印象。今回もその詳細を知って、BCSと遊び比べたいと思って、購入してみた。

一応、先に発売された「Crossing the Line」も、ハードボード版となって再販されたし、さらに同システムで北アフリカ・ガザラ戦を扱う「Operation Theseus」も出るようなので、ちょっとシリーズとして追っかけてみたい。 

Crossing the Line - Aachen 1944 - Reprint (2nd Edition) with mounted m – VUCASIMS

Operation Theseus - Gazala 1942 – VUCASIMS

 

【参考文献】イアン・トール「太平洋の試練 ガダルカナルからサイパン陥落まで(上下)」

「太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで」に続く第2部「太平洋の試練 ガダルカナルからサイパン陥落まで」が文庫化されたので購入。この後の第3部の原著がなかなか出版されなかったせいか、こちらの文庫化も遅れていた模様。しかしようやく昨年、完結編となる第3部「Twilight of the Gods」が本国でも出版され、日本語版の単行本も今年年末に出るそうな。まあ、その第3部も文庫化されてから読もうかなと。第2部は、2016年に単行本が出てから文庫化されるまで5年かかったが、さすがに次はそんなに間が空かないんじゃないかと。 

さてその第2部は、中部太平洋での戦闘を中心に扱っているが、英米連合軍の思惑や、アメリカ海軍部内での人間模様も詳細に述べられたうえ、真珠湾での復興作業や、日米本土での生活、果てはハワイの売春宿の話など、銃後のエピソードも多数含まれている。戦闘に関しても、他の戦史書では割愛されがちなクェゼリン環礁の攻略戦も載っているし、昭和天皇が決戦をするようプレッシャーをかけていたという「大元帥 昭和天皇」にもあった指揮分析も含まれている。「真珠湾からミッドウェイまで」を読んだ時にも思ったが、この手の古典であるジョン・トーランドの「大日本帝国の興亡」と併読すると、新旧の太平洋戦争観が分かって面白いと思う。

時期的にも、そろそろGMT社から「Pacific War」が再版されるはずだし、TSWWの中部太平洋編「Opearation Watchtower」もそのうち発売されるはずだし、この時期の戦闘をおさらいするにも良いタイミングかなと。

 

【参考文献】リチャード・オウヴァリー「なぜ連合国が勝ったのか?」

イギリスの歴史家、リチャード・オウヴァリーの「なぜ連合国が勝ったのか?」の邦訳が出たので購入。初版は1995年だが、今回は2006年に出版された第2版の翻訳。第二次大戦で連合国が勝利した要因を、戦域レベルでは制海戦、戦略爆撃、東部戦線、フランス奪還に絞り、戦略レベルでは経済、技術、リーダーシップ、士気に焦点を当てて概説している。戦後、元ドイツ軍将官たちによって語られてきた敗因(ヒトラーが悪かった的な)ではなく、連合国のさまざまな勝因を分析することで、旧来までの偏りを是正するような内容にもなっている。

ただ、戦争経済面では、旧来のドイツ軍需相シュペーアの主張をそのままなぞっている面もあり、そのあたりは、2006年に出版された「ナチス 破壊の経済」の方がより実像に近い分析なのではないかと思う。オウヴァリーの「Russia's war」は、David Stahelからもケチをつけられていたので、古典なのだろうけれど、より新しい戦史書と組み合わせて読むのがイイのかなと。

SPI/HJ「第二次欧州大戦 War in Europe」

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先日、今まで行ったことのなかった沿線の古書店を巡り、見知らぬ駅に次々下りて探索を開始。しかし7駅で7軒まわって特に収穫は無く、8駅目の8軒目でようやく、一応買っておくかという程度の古書を買い、最後の9駅目に到着。まあ、ここだけ見て今日は帰ろう……と思って、各駅停車しか停まらない小さな駅前の、狭い古書店に入ったところ、店内に中古ウォーゲームが並んでいてびっくり。あるわあるわ、アバロンヒルの「タクテクスII」「ワーテルロー」「帆船の戦い」「ビスマルク」「バルジの戦い(1981年版)」「ヨーロッパ要塞」「第三帝国(第二版)」「クレタ島降下作戦」「西部戦線異状なし」「日米航空母艦の戦い」「諸国民戦争」「アクワイア」「文明の曙」ツクダ「航空母艦」等々……あるところにはあるもんだなあと驚きつつも、今の自分の趣味に合うゲームはそれほど無く、お金の持ち合わせも無かったので、一緒に並んでいたタクテクス誌のバックナンバーだけ買って帰宅した。

しかし帰宅後、その中古ゲーム群の中で、ひときわギラリ!と光っていた、SPI「第二次欧州大戦 War in Europe」日本語版だけを、あらためてネットで注文。カウンター未切り離しで28000円……まあ、当時の定価20000円+プレミア価格としても穏当な値付けじゃなかろうか。さすがにこれを、パッと見て即決して買うほどの度胸はなかったけれど、いったん帰宅して冷静になっても、まあ、ここで出会ったのも何かの縁だなと思ったので。

もちろん、これを読んでいる皆さんも『その古書店どこよ?』と気になるだろうが、それは自分で探してくれ。ヒントとしては、千葉県市川市在住の自分が、散歩がてら気楽に行ける範囲で、各駅停車しか停まらない駅。そしてお店は駅前。まあ、東京、千葉、神奈川、埼玉、茨城……のどこかよ。他の中古ゲームはスルーしてきたし、それを探すのも楽しいものよ(他人事)。 

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さてゲームの紹介。元々本作はSPIから、1974年に第二次大戦・東部戦線のキャンペーンゲーム「War in the East」として出版され、1976年に西部戦線編「War in the West」とその合体版「War in Europe」として発売された。自分も1982年(SPIが潰れる直前)、中学二年生の時に、お小遣いを貯めて英語版の「War in Europe」を購入した。ところがSPI消滅後の1985年にこの日本語版が発売され、当時高校生だった自分としては20000円のゲームを買い直す金銭的余裕など無く『うわ~、だったら日本語版だけ買えばよかった』とか思ったりもした。それでも、試験休みの時に東部戦線の地図盤だけ広げっぱなしにして、バルバロッサ作戦シナリオとか遊んでいた。後に、その英語版は断捨離してしまったが、このようなカタチで再会するとは思わなんだ。なんと39年ぶりの再購入である。

ゲームマップは9枚。ご覧のように、ヨーロッパから北アフリカまでが網羅されている。1ヘクス=33km。久しぶりに並べてみたが、やっぱり真ん中まで手が届かない。まあ、今はVASSALもあるしね。そして中古品としては状態も良く、たぶん元の持ち主は、買ってそのまましまって、そのまま売却したのだろう。地図を広げた形跡すら感じられない。ある意味、ありがたい状態。 

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カウンターシートは9枚、カウンター総数3600個。とは言え単純に、枢軸軍用カウンターシート、ソ連軍用、連合軍用が3枚ずつ入っている。1ユニットは、1個師団(ソ連軍は軍団)が基本。師団番号などは無く、空軍はポイント制。まあ、無個性だけれど、そこを楽しむゲームじゃないから。 

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こちらはソ連軍。ああ懐かしい、要塞化する歩兵師団に砲兵軍団、対戦車旅団!これをズラズラ地図盤に並べていた高校生時代よ(珍しくノスタルジーに浸っております) 

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こちらは連合軍の皆さん。そういえば当時、友人たちとフランス1944年シナリオ(つまり連合軍の欧州本土侵攻)を何回かプレイしたなあ。 

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こちらは特徴的な、生産スパイラル。ただし高校生当時は、キャンペーンシナリオまで遊ばなかったので、これを使うことなく処分してしまった。 

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こちらは戦闘結果表。あらためて見てみると、4種類ある結果表を、天候、攻撃部隊の国籍、攻撃している年度で使い分けるという面白いもの。当時はただ漫然と、指示に従ってダイスを振っていたけれど、もう一度この表から分析してみたい気もする。 

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日本語版ルールブックは、基礎ルール、東部戦線用、西部戦線用、ヨーロッパ戦線用の4分冊。日本語になっているのはありがたいが、もう大人なので『原文の英語ルールも欲しい』とか思ってしまう。 

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あらためて手元に残っている当時のタクテクス誌やシミュレイター誌を見ると、結構あちこちに記事が載っていたり、精力的なリプレイ連載もあったりで、当時人気のゲームだったんだなあと思う。またルール改定案もいろいろ載っているが、それが妥当なのか誤解なのか、検証してみたい気持ちもある。しかし今さらプレイするかと言われると、あまりにきれいな状態なのでカウンターを切るのがもったいなく感じたり……それこそ、VASSALでプレイするかもしれないし、その方がゲーム管理もしやすそうだ。

今回は思わぬカタチで再会、再購入と相成ったが、これも多分、ウォーゲームの神様の思し召しと思って、大事に持っていよう。

【Operation Combat Series】「The Third Winter」

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MMPに直接プレオーダーしていた、OCS(Operational Combat Series)第19弾「The Third Winter」が到着。その名の通り「三度目の冬」……つまり枢軸軍がソ連に侵攻して「一度目の冬(1941-42年モスクワ攻略失敗)」「二度目の冬(1942-43年スターリングラード降伏)」に続く、1943年秋から1944年冬にかけてのウクライナ後退戦/解放戦を扱っている。

同じテーマでは、OCS第4作として「Hube's Pocket」が1995年に発売されているが、本作は、その期間・地域を時空間的に拡張しているため、ある意味「Hube's Pocket」の拡大リメイク版とも言える。個人的にも、初めて買ったOCSは「Hube's Pocket」と「Burma」だったので感慨深い。「Hube's Pocket」は、アホのように潤沢な補給物資を手にしたソ連軍が、豪快にドイツ軍を殴りまくる快作だったので、個人的には大好き。他のOCS作品で、ちまちま補給1Tやら2Tを工面するのがバカらしくなるほどの暴れっぷりだったので、それが本作でどうなったかも興味がある。 

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まず地図盤はフルマップ4枚。東端にハリコフ、中央北部にキエフ、南端にオデッサ、西端がルヴォフという範囲。「Hube's Pocket」の地図盤(1.5枚)を重ねてみると、南側に大きく延伸されていることが分かる。さすがに26年ぶりのリメイクとあって、細かい部分でも、道路、鉄道、都市の広がり方など「Hube's Pocket」とはだいぶ変わっている。また「Hube's Pocket」では、地図盤南端からドイツ軍ユニットを退出させて、それに見合った分のソ連軍ユニットを地図盤外へ誘引するルールがあったが、ここまで延伸されているなら、それを実際の作戦機動として行うことも可能だと思う。 

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さらに本作には「Scorpion in the Bottle」という、チェルカッシィ、カネフ、コルスン地区だけのミニシナリオ専用地図盤も付いている。まずはここからか。

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カウンターシートは10枚、カウンター総数2800。そのうち汎用マーカーが3シート。実質ユニットは、2000個弱か。こちらがドイツ軍装甲師団の皆さん。まだ「Hube's Pocket」のユニットと細かく比較はしていないが、師団を構成するユニットやその数値などもかなり見直されている。また「Hube's Pocket」発売後の、1999年末に出されたThe Gamers 社のクリスマスカウンターシートで、ドイツ軍装甲/装甲擲弾兵師団に対戦車大隊ユニットが追加されたが、本作では最初から各師団にそれが常備されている。また旧作とは違って、ティーガー重戦車大隊が中隊ユニットに分割されている。変わり種、第18砲兵師団も健在。 

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こちらがソ連軍歩兵師団の皆さん。近年の標準的なOCSの色使いなのだけれど、「Hube's Pocket」のソ連軍親衛ユニットは、ダーククリムゾンみたいな赤色で、歩兵師団ももっと濃い茶色で、やたらと強そうに見えたのも好きだったけど、まあ仕方ない。しかし10-5-6親衛戦車旅団などという、頼もしいユニットも旧作には無かったかな。こちらもそのうち、カウンター切りつつ、旧作と比べてみたい。 

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こちらは、各種シート類。ターン記録表や地形効果表、両軍の管理トラックはもちろん、複数ユニット師団用のディスプレイ、分割ユニット用のディスプレイの他、ソ連軍のRVGK(最高司令部予備)シートもあり。両軍のプレイブックレットには、増援ユニットがカウンターイラスト付きで掲載されている。このあたりの補助部分は、それこそ26年前の「Hube's Pocket」と比べると雲泥の差。シリーズ前作「Hungarian Rhapsody」でも、親切な補助シートが沢山入っていたが、OCSのベテランプレイヤーたちが制作陣に入り、自分たちが欲しいモノ(必要だと考えているモノ)を揃えてくれた感がある。

収録シナリオは8本。ミニシナリオ「Scorpion in the Bottle」の他は、地図盤1枚シナリオが4本、地図盤2枚シナリオが1本、地図盤4枚キャンペーンが2本という構成。全体としてはビッグゲームの割に、シナリオなら何とかプレイできそうな……いや、OCSでは地図盤2枚でも結構なユニット密度になるし、なんといってもここは東部戦線。そこは楽観視できないが、まあ、なんとかなるかなと。

基本ルールは、シリーズ前作「Hungarian Rhapsody」と同じくv4.3。2018年のクレジットが入っているから、同じモノだよな。「The Third Winter」専用の特別ルールは、正味14ページほど。ざっと挙げると、ドニエプル渡河用のルール、対空射撃修正を持った高射砲ユニット、列車砲ユニット、そしてまた出た「戦車殺し」ルーデル(でもHungarian Rhapsodyとは違って、撃墜されないとは書いてない)、ソ連軍の正面軍(境界線、攻勢状態、再編成状態)等々があるが、OCS作品としてはそれほど多いワケではない。

とりあえず、せっかく「Scorpion in the Bottle」という手頃なシナリオが用意されているのだから、まずはそこから触れようと思う。

【C3 Series】The Dogs of War:The River Weser Deep and Wide Campaign Solo-Play AAR part.2

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さて「The Dogs of War」キャンペーンシナリオの続き。開戦初日(1985年6月24日)0600時に始まった戦闘は、第3ターン(1200時)へ。このターン、ブラウンシュヴァイクの南から突破を図ったソ連第32親衛戦車師団は、NATO軍防衛線の隙を突いて、損耗1を被りながらも強行渡河。川向こうに陣取ったイギリス軍第1機甲師団1RTR戦車大隊を両翼から包囲した。しかし僚友である右翼の第25戦車師団は、いまだに西ドイツ軍陣地を突き崩せずにいる。 

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『我々の最大の敵は時間だ。時間は、我々にではなく、彼らの方に有利に働く』レッドストーム作戦発動

西に向かったソ連第7親衛戦車師団は、イギリス軍9/12L機甲偵察大隊に迫るも、これがまた損耗無しで離脱に成功されてしまった。今のところ9/12L偵察大隊は、教本通りの理想的な遅滞行動で、ソ連軍を煙に巻いている。一方、その南を進むソ連第10親衛戦車師団は、西ドイツ第12装甲擲弾兵大隊を全滅させ、さらに前進。

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続く第4ターン(1500時)、ワルシャワ条約軍は、0900時に到着するはずだった第3打撃軍の2個戦車師団(第12と第47親衛戦車師団)を、2ターン登場を遅らせて、地図盤南端から侵入させた。さらに1200時に到着するはずだった第20親衛軍の2個師団(第90親衛戦車師団と第35自動車化狙撃兵師団)も、地図盤東端から登場している。

これにて第3打撃軍4個師団、第20親衛軍4個師団、計8個師団が一線に並んで広正面攻撃をかけることになるが、果たしてそれで良いのかは疑問。なにしろ「戦力の集中原則」から言えば、どこにも戦力は集中されていないし、いわゆる「平押し」の状態になっている。と言って第一梯団の後方に、第二梯団として控えさせると、ゲームの時間的に、戦闘に参加することなく遊兵化しそうだったので、今回はあえて、NATO軍戦線に広くプレッシャーを与える策を採った。

『「増援の2個師団がこの作戦を達成してくれるでしょう」とセルゲトフが自信たっぷりで予言した。アレクセーエフも、その通りになるだろうと思った。他の点が狂わなければ、のことである』レッドストーム作戦発動

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さて、ゲッティンゲンを南から直接襲う2個師団は、上手くすればNATO軍の第一次防衛線に回り込み、ライネ川を直接渡河せずに超えられるはず。しかしゲッティンゲン前面には、すでに西ドイツ第2装甲擲弾兵師団第4旅団が配置に就いている。後方にも、第2装甲擲弾兵師団の砲兵部隊も到着しつつあり、開戦から9時間、ようやくNATO軍も組織的抵抗の準備が整いつつあった。 

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『ライネ川にかかる橋を取るためには、彼の部隊は、できるだけ迅速に敵前線を突破しなければならない。それには先頭部隊が甚大な損害を被るだろう。突破口を開くには高い代償を伴うが、それだけの価値はある』レッドストーム作戦発動

この第4ターン、第32親衛戦車師団は、三方から包囲したイギリス軍1RTR戦車大隊を攻撃したが、イギリス軍も攻撃ヘリコプターを投入し、これが活躍したのか(支援ダイスは最良の出目10)、損耗を与えられなかった。なにしろイギリス軍ユニットは、最良の指揮力6のため、西ドイツ軍(指揮力5)より手強い。これでも一応、開戦後14ターンの間は、NATO軍が混乱しているためワルシャワ軍側に有利な修整も付いているのだが、その不利さを感じさせないあたりが、さすがイギリス軍。この戦争の数年前にフォークランド戦争という実戦を経験している「戦争の犬たち」だけのことはある。

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そして第10、第12親衛戦車師団の会合点である、地図盤南端のバート・ラウターベルクでは、西ドイツ第44戦車大隊が包囲されるハメに。しかしこれに対する第12親衛戦車師団の攻撃は、堅固な地形(丘陵2+街)が影響してか、一方的に損耗を被る大失敗。続けて第10親衛戦車師団も攻撃をかけたが、こちらも攻撃側の損耗が多いという、ワルシャワ軍としては惨憺たる結果に終わった。西ドイツ第44戦車大隊は、この次のターンもソ連軍2個戦車師団からの攻撃を引き受け、多大な損耗を与えつつ全滅するという、映画化決定的な活躍を見せた。

『ドイツ人の士気と闘志は、見たことも無いほどのものだった。彼は、父親から聞いたウクライナからポーランドへかけての戦闘を思い出した。聞いた時には信じられなかったが、今は信じられた』レッドストーム作戦発動

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一方、同じく南端から侵入した第47親衛戦車師団は、西ドイツ第42装甲擲弾兵大隊を攻撃。しかしこれには、西ドイツ第2装甲擲弾兵師団直轄のLARS多連装ロケット大隊他、潤沢な砲兵火力が支援に入り、西ドイツ軍はノーダメージ、ソ連軍は2損耗という最悪の結果に終わった。  

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続く第5ターン(1800時:日没)、東端から侵入した第90親衛戦車師団、第35自動車化狙撃兵師団が、エルベ=ザイテン運河の向こうに陣取る西ドイツ第11装甲擲弾兵師団第33旅団へ攻撃を仕掛けた。しかし西ドイツ軍は、こちらの支援にも旅団砲兵と攻撃ヘリコプター大隊を待機させており、第90戦車師団は損耗1ずつの痛み分けで防御陣地を剥がしたが、第35自動車化師団は一方的に損耗を被って終わった。 

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一方、ブラウンシュヴァイク南では、引き続きイギリス軍、西ドイツ軍が堅固な防衛戦を展開していた。朝から15時間に及ぶ戦闘によって、すでにソ連軍両師団の支援部隊(偵察、砲兵)は疲労の極みにあり、夜間の内に回復し、翌日の攻撃再開を待つしかない。 

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ここまで理想的な遅滞活動を行ってきたイギリス軍9/12L機甲偵察大隊も、ようやく左右に援軍が到着し、ホッと一息。ソ連第7親衛戦車師団の攻撃も、ここまではずっと離脱して避けてきたが、初めて正面からそれを受けて立ち、見事、損耗1ずつで痛み分けという前線警戒部隊かくあるべしという活躍を見せた(こちらも映画化決定)。 

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一方、南部の第47親衛戦車師団第26戦車連隊は、三度、西ドイツ軍に攻撃を仕掛けるも、三度ともLARS多連装ロケットの阻止弾幕を食らって損耗2ずつを喰らい、開戦後初めて除去されたソ連軍主力ユニットとなった。やはり組織的な抵抗(支援の砲兵の射程内にいる、隣接するヘクスに味方ユニットがいる)が行えるようになると、ソ連軍も甚大な損害を被ると。

そして今さら思うに、第3打撃軍にしろ第20親衛軍にしろ、軍直轄の砲兵や攻撃ヘリコプターはあるものの、麾下の4個師団を同時に支援するほどの余裕は無い。増援で到着した4個師団は、その軍直轄の支援が受けられず、師団自前の火力だけで攻撃を行ったが、それだけでは損耗が激しくなることも分かった。となると、やはり広正面で攻撃するよりも、2個師団で攻め、それが消耗したら次の2個師団に交替させるというローテーション的な攻勢が必要になってくると。しかし対するNATO軍も、狭い正面に戦力と支援火力を集中してくるはずなので、必ずしも上手くいくとも限らない……というあたりが見えてきたところで、今回のソロプレイはここまで。とりあえず開戦初日の日没までやって、おおまかな展開が見えたので良いかなと。

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『いずれにしろソビエト軍の当初の攻撃は、予期したほど強力ではありませんでした。彼らは進撃中ですが、真夜中の時点で15km前進したに過ぎず、2カ所では止まっています』レッドストーム作戦発動 

地図盤全域では、ソ連軍が津波のように押し寄せているように見えるが、各ユニットの下には損耗マーカーが重なり、その内情は酷いものである。これは、開戦0600時ターンから日没まで戦闘を続けていた第32親衛戦車師団の損耗具合だが、予備の自動車化連隊が無傷なのは良いとして、主力部隊の支援を行う偵察大隊、砲兵大隊はすでに損耗4、つまりあと1損耗で除去という限界まで来ている。この状態でさらに戦闘を行うつもりなら、支援大隊を除去する覚悟でもう一発やらせるか、支援無しで戦車連隊独力で攻撃を仕掛けるしかない。なので、夜間ターンのうちに損耗を回復させ、あらためて翌朝から攻撃を再開することになる。しかしワルシャワ条約軍の場合、損耗2までしか回復できず、そのまま再出動となる。同志少将、休んでいるヒマは無いのだよ。

そしてソ連軍がここまで損耗しているなら、NATO軍がさっさと反撃すれば良いじゃないかと思われるだろうが、防御命令を受けている各部隊に攻撃命令を出し直すのも時間がかかるのが本作の良いところ。結局NATO軍も夜間のうちに離脱したり、回復し、翌朝からの攻撃に備えるのだろう。

まあ、これで「Less than 60 Miles」「The Dogs of War」を一回ずつ、序盤のみプレイしたが、今回も命令変更までやるところまでは進めていない。そういった長期戦をやるには、やはりVASSALで記録を保存しておいた方がやりやすいはず。まあ、いずれまた……