Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

SPI/AH「Panzergruppe Guderian」

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5月から進めていた仕事が終わってようやくホッとひと息。その解放感からか、ふらっとメルカリで中古のアバロンヒル版「Panzergruppe Guderian」(通称PGG)を買ってしまった。今から24年前の2000年にも、当時ヤフオクでジャンク品みたいな中古を買ったが、それもだいぶ以前に売却してしまったので、二度目の購入になる。我が家のウォーゲーム・コレクションの場合、デカくて細かくて面倒くさいゲームが大半なので、こういった午後から始めて、12ターン完遂とはいかなくても夕方までに良いところまで行ける対戦向きゲームも揃えておかないと、いざ友人が来た時に困るので。(同じ理由でコマンドマガジン版「ロシアン・キャンペーン2」もコレクションに残留)

お題はもちろん1941年7月、グデリアン将軍率いるドイツ第2装甲集団スモレンスク近郊での戦いを描いた作品で、今さら言うまでもない古典的な作戦級ウォーゲーム。2000年に入手した際も何度もプレイしたが、あいにく2005年のBlog開設以前の対戦なので、特に記事としては残っていない。近年では当時の戦況も研究が進み、ほぼ同じ題材の「OCS:Smolensk」をプレイすると本作とはかなり雰囲気が違ったりもする(PGGのようにサクサク前進できない)のだけれど、それはそれ、これはこれ。あくまで50年近く前のウォーゲームとして大目に見よう。

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元版SPIのシンプルな地図盤を、アバロンヒル的にハードボード化した、今で言うところの「ダブルネーム」的な出版だったんだよなあと。

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2000年に購入したジャンク品は、ユニットも切り離し済みでカウンターの四隅もクリップしてあった(個人的には好きではない)が、今回は原型を留めた形で切り離されていた。一応、BGG(Board Game Geek)のカウンターシート画像とつき合わせたところ、欠品も無くて良かった良かった。

今回の出品には、本作の日本語訳ルールが掲載されている「TACTICS誌 1985年12月号」も付いていた。自分もすでに持っているが、あればあったで対戦する時はお互い手元にルールを置いておけるかなと。

基本、自分は「新しい物好き」の「面倒くさいゲーム好き」なので、こういった古典的かつシンプルなゲームはもういいや、とも思うのだが、この手のゲームがまったく無いとそれはそれで困ったりもする。だから単純なNAW(Napolen at War)に毛が生えたようなTLNB(The Library of Napoleonic Battles)シリーズも揃えていると。「PGG」を前回ソロプレイしたのは2006年なので、20年近くぶりにまた触れるかも……

【Campaign in Europe】World at War #99「Italian Campaign」

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「隔月刊ディアゴスティーニ式・SPI 第二次欧州大戦」とも言える、World at War誌99号付録にして「Campaign in Europe」第3弾「Italian Campaign」を購入。今号はその名の通り、1943年6月~1944年6月にわたるWWIIイタリア戦線を包括したシナリオをプレイする。

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SPI/HJ「第二次欧州大戦」の地図盤Dと比較するとこんな感じ。

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World at War誌の前々号付録「Drive on Leningrad」、前号付録「Case Blue」の地図盤と連結してみた。さらに次号付録「D-Day to the Rhine」(西部戦線)が加わる予定。

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今回もカウンターシートは1枚のみ。今回のディアゴスティーニ企画初登場のアメリカ軍、イギリス軍ユニットを見ると、移動力的には機械化率が高く、戦力的にはドイツ軍とさして変わらないものの精鋭度で劣っている。まあ、それを補って余りある航空支援と艦砲射撃があるのだろうけど、上陸時に海に追い落とされないためにも、後退をキャンセルできる精鋭部隊……空挺やコマンド部隊が必須になるんだろうなあと。おっと、アメリカ=カナダ合同第1特殊作戦旅団「悪魔旅団(Devil's Brigade)」もいるじゃないの。

シナリオは、シチリア上陸作戦から始まるはずなので「Drive on Leningrad」「Case Blue」より上陸や海上輸送といった側面がさらに重要になるだろうし、より統合作戦的なゲームになるのかなと思う。まあ、それも一度プレイしてみないと。

将来発売される予定の「Campaign in Europe」エキスパンションキットのカウンターも用いて、44年後半以降の、ゴシックライン等の戦役シナリオも予告されているので、今のうちにディアゴスティーニの一部として確保しておかないとね……

 

【参考文献】軍事研究1月号別冊「ウクライナ戦争に見る現代戦争術」

雑誌「軍事研究」の2025年1月号別冊「ウクライナ戦争に見る現代戦争術」を購入。昨年出版された「ウクライナ戦争 大反撃戦」と同じく、「軍事研究」誌に掲載されたウクライナ戦争関連の記事+書き下ろしという構成。

今号では、ウクライナ軍によるクルスク侵攻、アメリカ製戦闘車両(M1エイブラムズ戦車とM2ブラッドレー歩兵戦闘車)を装備したウクライナ第47機械化旅団、両軍のドローン戦術などについての記事が載っているが、個人的に興味深かったのはロシアの継戦能力とそれを支える財政や資源能力に関する分析記事。経済制裁の効果について疑問視する部分もあり、ウクライナ戦争の経済戦争面も把握するには良いかなと。

【参考文献】ミハイル・ジロホフ「ウクライナ戦争航空戦 2022.2-2023.8」

新刊「ウクライナ戦争航空戦 2022.2-2023.8」を購入。ウクライナの軍事ジャーナリストによる、ウクライナ戦争最初の一年半の航空戦を、一ヶ月毎に区切って、詳細に著述した一冊。なにせフェイクニュースが飛び交う情報戦でもあるので、本書もまともな戦闘記録として残そうとしているのか、戦果を上げた人物や、死傷者、捕虜など、克明に部隊名や階級まで記され、撃破された航空機等についても可能な限り詳しく書いてある。まあ、フェイクを使っているのはロシア軍だけではなく、戦争序盤で話題になった「キーウの幽霊」なるエース・パイロットの話も、結局ウクライナ側のプロパガンダだったしね。とにかく全編まさに「戦闘詳報」という感じだが、情報が濃密すぎて全部は頭に入ってこない(^_^;)

もちろん航空戦といっても、巡航ミサイルやドローンといった21世紀の航空戦的な面も記されている一方、それを迎え撃つのが、トラックの荷台に機関銃載せただけの原始的な対空車輌だったりして、ハイ・ロー・ミックス感は否めない。

すでにGMT Gamesでは、ウクライナ戦争を題材としたボード・ウォーゲーム「Defiance」も企画されているし、戦争が継続している間も、それが終わった後も、さまざまなタイトルが出版されるのかなと思う。航空戦だけを切り取るなら「Red Storm」みたいなゲームが連想されるが、「全域戦場」のような統合作戦系ゲームも出るのだろうか。まあ、それをワクワクして待つのも不謹慎に感じるが、まずは戦争が終わって、その経緯を歴史としてゲームや書籍で振り返れる時代になることを祈る……

【Advanced Squad Leader】「ASL Arnhem 2024」

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ASL(Advanced Squad Leader)の新作シナリオ集「Arnhem 2024」を購入。その名の通り、1944年9月のマーケット・ガーデン作戦中にアーネム(Arnhem)周辺で行われたイギリス軍とドイツ軍の戦闘を扱ったシナリオ4本が収録されている。実際これは2024年9月12日~15日まで開催されたアーネム ASLトーナメントで使用され、販売収益は、現地の空挺博物館(ハルテンシュタインとアーネム橋)に寄付されるとのこと。

すでにヒストリカル・モジュールとしてアーネム周辺での戦闘を扱った「A Bridge Too Far」も出ているが、「Arnhem 2024」はまた全然違う形のシナリオが収録されている。

数日前にもX/Twitterで、ASLの今後の商品展開がアナウンスされ、中には「Star Leader (ASL meets BattleTech)」などというワケワカメな企画も挙げられていたが、とにかく商品展開が多くて、それをどこまで追いかけられるのだろうかと疑問に思ったり。なにしろ実プレイがまったく追いついていないので、このまま諦めてコレクションとして愛でて終わるか、それともある程度プレイすることになるのか、なかなか考えさせられる将来計画である……

GDW/IED「第五次辺境戦争 Fifth Frontier War」

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GDWから1981年に発売され、日本でも1986年にホビージャパンから日本語版が発売された「第五次辺境戦争 Fifth Frontier War」が、新たにIED(コマンドマガジン編集部)から再販されたので購入した。しかし当初は「500部限定出版」という話だったが、アナウンスが出た数日後には各ショップにて注文受付停止となり、その後また受付が再開されたので、500部以上作ることにしたのかもしれない。本作は、SF-TRPG「トラベラー」の背景世界=スピンワードマーチ宙域を舞台としたウォーゲームであり、なおかつその戦闘経緯を「トラベラー」のキャンペーンにも応用できるというサプリメントでもあるため、単なるウォーゲーマー以外にも、欲しかった層がいたのかなと。

自分も1980年代当時「トラベラー」はプレイしていたが、あいにくこの「第五次辺境戦争」は買い逃してしまっていた。X/Twitterでもつぶやいたが、この時期は、面白いゲームタイトルが沢山出版されていたものの、当時高校生のお小遣いで、来た球を全部打つわけにもいかず、残念ながら「第五次辺境戦争」は見送ったと。いや、もちろん今から振り返れば「メックウォー'90」買うより「第五次辺境戦争」買っておけよと思うのだが、当時はゲーム鑑定眼もまだ養われていなかったし。また当時は、友人Karter氏がSFゲーム担当としてGDW「インペリウム」を買ってくれたので、彼に任せておけばいいやとスルーしていたら、Karter氏も買わなかったという。まあ、二人とも高校三年生で大学受験だったのでタイミングも悪かったが、それから38年経って、こうして再販版を入手したのも、ちょっと感慨深い話だ。なのでホビージャパン版と同じ加藤直之氏のボックスアートで再版してくれたのも結構嬉しい。

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さて本題。フルマップの中央には、スピンワードマーチ宙域の一部、帝国領とゾダニ領が接する、まさに辺境宙域が描かれている。1ヘクス=1パーセク(3.26光年)と、本家「トラベラー」の宙域図と同じスケール。て言うか、パーセクなんて単位も「トラベラー」で覚えた気がするなあ。

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TRPGとしての「トラベラー」はだいぶご無沙汰だが、三つ子の魂百までとはよく言ったもので、この宙域図を見ても、アルファベットが宇宙港タイプで、▲が偵察局基地、★が海軍基地、雲みたいなマークはガスジャイアントだなと、いまだに覚えている。そして大概の「トラベラー」キャンペーンも、リジャイナから始めたよなあと。

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宙域図の周囲には、各世界(ワールド)がボックス化され、宙域図では表示しきれないさらに細かい情報……テクノロジーレベルや大気状態、防衛部隊の有無などが記されている。防衛部隊がいるワールドに地上部隊ユニットを送り込めば、このボックス内で地上戦闘になると。

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こちら赤いユニットが帝国軍。オレンジは(犬人間的な宇宙人)ヴァルグル軍。艦船ユニットは小艦隊を表しており、地上部隊ユニットは軍から大隊ユニットまでさまざま。「インペリウム」は宇宙戦主体だったので艦艇ユニットばかりだったが、本作は地上戦の割合も大きいので、地上ユニットも多数登場している。地上部隊ユニットに記されている数値は「戦闘力・テクノロジーレベル」だが、そのレベル差がそのまま戦力比シフトとなるため、小戦力・高テクノロジー部隊と、大戦力・低テクノロジー部隊の違いも表されている。「インペリウム」の宇宙戦闘は、ビーム戦、ミサイル戦が分けられていたが、本作での宇宙戦闘は、もっと簡易的な一括判定になっている。

こちら青ユニットは、ゾダニ(旧来はゾダーン表記)軍。緑ユニットは、ソードワールズ軍(SNEのファンタジーTRPGではない)。

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戦闘損失は%で被るため、それを表示するためのマーカー。戦闘力20の地上部隊ユニットが50%損失を被ると、戦闘力10になるという話。

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こちらは艦隊編成シート。小艦隊は、艦隊として編成していないジャンプ移動できないが、偵察艦小艦隊は未編成状態でもジャンプ移動できる。

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ルール的には、両軍とも艦隊を編成し、ゾダニ側は4ターン先まで、帝国側は5ターン先までジャンプ移動を計画(プロット)する。途中で移動計画を破棄することも可能だが、その場合にはいったん移動停止/補給となり、また4or5ターン先で移動を再開する。また各艦隊は、再ジャンプ移動の前に燃料補給をする必要があり、基本的にはそのような補給ができる星系(ワールド)をたどって移動したり、タンカーを用いて艦隊補給を行っていく。「インペリウム」にもタンカー、整備といった要素はあったが、本作の方がより厳しくというか、詳細に艦隊補給が表現されているため、ゲーム難易度としてもこちらの方が高いし、計画移動という点でも面倒にはなっている。

まあ、単純に宇宙艦隊戦ゲームが楽しみたいなら、もっと簡便な「インペリウム」で良いと思うが、地上戦まで含めたり、お互いの移動計画が噛み合わない「戦場の霧」(宇宙でも霧とはこれいかに)を味わいたいなら本作なのかもしれない。とりあえず自分も初入手なので、まずはプレイしてみないと……

【Advanced Squad Leader】「Special Ops ASL Scenario Bundle vol.1」「Special Ops ASL Starter Kit Scenario Bundle vol.1」

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本日、唐突に、MMP社からASL(Advanced Squad Leader)のPDFシナリオ集2点発売された。まずひとつ目は、MMP社から発行されている「Special Ops」誌の1~10号までに掲載されたASLシナリオ(ナンバーO1~O20)をまとめた「Special Ops ASL Scenario Bundle vol.1」。こちらはPDFや電子書籍販売を中心としたWargame Vaultで販売され、価格は15ドル。自分も「Special Ops」を毎号きっちり定期購読しているわけではないので、このようにまとめ販売してくれるとありがたいし、こういうのでいいんだよ(孤独のグルメ風)と思ったり。

20本のシナリオを見てみると、なぜか1914年の第一次大戦・東部戦線シナリオ(O5 The Tsar's Infernal Machines)があったり、1939年のハンガリーvsスロバキア戦(O11 Short-Lived Offensive)や、終戦間際のヤークトパンターvsM36ジャクソンの駆逐戦車同士の戦闘(O14 Wiking Horde)、ノルマンディ上陸当日のドイツ軍東方大隊のジョージア騎兵vsアメリカ第101空挺師団(White Russians)等、バラエティに富んでいる(シナリオとして面白いかどうか、プレイするかどうかはまた別)

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もうひとつは「Special Ops ASL Starter Kit Scenario Bundle vol.1」。こちらも同じく「Special Ops」誌掲載のASLスターターキット用のシナリオ20本をまとめたもの。同じく15ドル。シナリオナンバーとしては、S37~S40、S52~S63、S72~S73、S90~S91。各種ASLスターターキットを買い揃えていても、こういった隙間に公開されたシナリオもあるので、シナリオナンバーが揃っていない方も多々おられるかと思うが、そこを埋めてくれるシナリオ集になるかなと。

こちらのシナリオ20本は、入門者向けのスターターキット用なので、本式ASLほど尖った設定は見当たらなかったが、朝鮮戦争シナリオが1本(S91 Ready or Not)が入っていて、あれって?スターターで朝鮮戦争って出来るんだっけ?とか思ったり。まあ「Forgotten War」からカウンターを引っ張ってくればいいんだろうけど。

 

しかしシナリオが揃うのは良いけれど、ここ数年ASLは全然プレイしていないので、そろそろどこかのタイミングでまた取りかかりたい。老眼鏡も買ったので、細かい数値やルール文章も読めるようになったしなあ……