Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【La Bataille Series】Clash of Arms「La Bataille de Wavre (2nd Edition)」

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久しぶりのウォーゲーム購入。Clash of Armsにプレオーダーしていた「La Bataille de Wavre」の第2版が到着。毎度おなじみナポレオン戦争の会戦級/戦術級システムで、1815年6月18日~19日にかけてのワーヴル会戦を再現するゲーム、というよりもキット。本作に含まれているのは地図盤と特別ルール程度で、ユニットカウンターは「La Bataille de Ligny」か「La Bataille de Mont Saint Jean Deluxe」に入っているモノを流用してくれと。

ワーヴル会戦は、ナポレオン最後の百日天下の中、退却するティールマン率いるプロイセン軍を、フランス軍グルーシー元帥の部隊が追撃した戦いだが、いや待てグルーシー、モン・サン・ジャン方面から砲声が聞こえているだろう、何を律儀に最初の命令を守って追撃を続けているんだ、そんなザコはいいから早く本会戦(ワーテルロー)に向かいなさいよ……という戦い。

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地図盤は2枚なので、バタイユ・シリーズとしては小振りだし手頃。

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一応、ルールは最新の第5版(チットを引かれた側が一斉に活性化)推奨。でも、こういった中小規模の会戦であれば、チット引いてフォーメーション毎に動かす30周年版ルール(Regulations of The Year XXX)でも良いと思う。まあ、バタイユ・シリーズは、プレイヤーの好みのルールで遊べばいいので、第3版でも、Martial版のプレミア・ルールでも好きに使えばいいだろう。

シナリオは、6月18日+19日両日、19日のみ、18日のみのソロプレイ用(北部の地図盤のみ使用)、また、もしダヴーが別働隊(北方軍右翼)の指揮を任されていたら……という史実バリアントもあり。

さらに1815年のベルギー戦役全体を扱った「L'Armee du Nord」(1993年発売)と連結させ、そちらの地図盤のカトルブラ、リニー、ワーヴル、モン・サン・ジャン区域で戦闘が起きたら、バタイユ・システムに移行して会戦を解決するという魔合体的なシナリオも含まれている。さすがに持ってないなあ、「L'Armee du Nord」。今は亡き神保町の書泉グランデに転がっていたような気もするけど、今さら欲しいかと言われるとそうでもない。スケール的にはTLNB(The Library of Napoleonic Battles)シリーズの「Napoleon's Last Gamble」(SPI Napoleon Last Battlesの21世紀バージョン)を使えば似たようなことが出来そうだけど。

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すでに入手済みの、カトルブラ、リニー、モン・サン・ジャンの箱と比べると、ひと回り小さいことが一目瞭然。あくまで追加キット的な立ち位置。

そして着々とバタイユ・シリーズは揃っていくけれど、プレイはまったく追いついていないどころか、ほぼ死蔵中。まあ、個人的にバタイユ・シリーズは、ゆっくり時間のある時に、整然と美しいユニットを並べて、ちまちまとプレイしたいので、しばらくは蔵書的に眺めていよう。それにしても全然触れてないけれど……

【参考文献】「現代砲兵 装備と戦術」

新刊「現代砲兵 装備と戦術」を購入。雑誌「JグランドEX」の連載記事に、最新のウクライナ戦争の記事もプラスしたという内容。そして「砲兵」とは言っても、RPG-7やジャベリン対戦車ミサイル、AC-130ガンシップウクライナ戦争でのドローンについても言及されているので、広義の砲兵器という意味かと。まあ、ドローンも、まったく新しい概念の新兵器、ゲームチェンジャーというよりは、発射した後、しばらく徘徊して相手が脆弱になったり自軍に有利なタイミングで着弾するという、タイムラグのある「砲兵」と考えればそのカテゴリーに入るんだろうなあと。

個人的に、ボード・ウォーゲームでは、砲兵がユニット化されているよりも、ポイント化されている方が最近は好みだったりする。初めて「NATO Division Commander」で砲兵がポイント化されているのを見た時は『なんだ、ユニット化されてないのかよ』と、ちょっと寂しく感じたが、後にエウロパ・シリーズや、OCS(Operational Combat Series)、TSWW(The Second World War)シリーズで大量の砲兵ユニットを扱うことになると、やっぱりポイント制で良いかなと思うようになった。その大量の砲兵ユニットで戦線が張れたりもするので、だったらカウンター化されていない方がスマートな処理だなと。でもGTS(Grand Tactical Series)で、砲兵ユニットがえっちらおっちら、移動したり、展開したり、無線接触チェックをしたり、という段取りを見るのは好きだったりして、我ながらいったいどっちなんだよと思う(^_^;)

【参考文献】「戦国武将列伝6 東海編」

昨年9月以来、シリーズ刊行が止まっていた「戦国武将列伝」の第6巻「東海編」が発売されたので早速購入。今回は東海地方の武将……と言っても、有名な織田、豊臣の武将たちはまた別の巻でまとめて紹介される予定なので、この第6巻では、今川、北畠、土岐、斎藤といった大名たちと、信長以前の織田氏、家康以前の松平氏や、井伊、奥平、安藤、稲葉といった東海地方の国衆たちも収録されている。このあたり、旧来のドラマや小説などでは、織田信長の天下取り物語の脇役(引き立て役)的に語られる人物が多いが、一人一人その誇張されたイメージを剥がしていくと、新たな発見もあって面白いなと……

【Operational Combat Series】「Operational Matters Vol.2 / Luzon」

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プレオーダーしていた、OCS(Operational Combat Series)の専門誌「Operational Matters 」の第2号が到着。今回の付録ゲームは、DSSSMさんことYutaka Matsuuraさんデザインの「Luzon : Race for Bataan」。太平洋戦争開戦当初、マレー半島攻略等と同時期に行われた、フィリピンのルソン島侵攻作戦を扱っている。日本人デザイナーによる初のOCS作品ということになる。

https://twitter.com/DSSSM00

ウォーゲームで歴史に思いを馳せる

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マップは1枚だが、本来はハーフサイズの作品として制作されたらしく、ヘクス径が大きくなっている。ゲームスケールは、通常のOCS作品同様、1ヘクス=5マイル(約8km)、1ターン=1/2週間。

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シナリオは1本のみで、1941年12月22日から、翌1942年1月5日までの5ターン。あくまで入門者向けの小品といった趣。時期的には、日本軍の上陸から、アメリカ=フィリピン軍のバターン半島への撤退、マニラの無血占領あたりまでを含んでいる。バターン半島の南端にはコレヒドール島(要塞)も描かれているが、その時期まで扱うわけではない。史実的に日本軍は『マニラかバターンか』という選択を迫られたわけだが、その作戦的選択を楽しめるのではないだろうか。

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カウンターは通常サイズで、ユニットとマーカー併せて140個に収まっている。攻める日本軍第14軍はいずれも練度(アクションレーティング)が高いが、守るアメリカ=フィリピン軍は非常に頼りない。いや一応アメリカ軍には戦車大隊ユニットがあるけれど。

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他にも、いわゆるチートシート的な、ユニット識別表、モードや補給概念、輸送の説明表などが付いている。たしかに、今まであっても良かったような便利グッズ。

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ルールブックは綴じ込み式。DSSSMさんによるデザイナーズノート、歴史背景記事も載っている。もちろん英文だが、そのうち公式から日本語も出るのだろう。

本誌には「Luzon」のプレイ例が丁寧に紹介されていて、他にも「OCSの戦略的なコツ・ベスト10」「OCSの戦術的なコツ・ベスト12」「入門者向けのOCSシナリオ紹介」「OCSで初心者がやりがちなミス」といった記事があり、全般的に、今からOCSのメカニズムを学びたい人向けになっているようだ。

しかし個人的には、あいにくOCSに触れる機会も減っていて、2021年購入の「The Third Winter」は練習シナリオのみ、2023年購入の「Crimea」は手つかずという状態なんだけれど、まずは、初の日本人デザイナーによるOCS太平洋戦争ゲームの発売おめでとうございます。

【Battles of Napoleon】「Eylau 1807」Solo-Play AAR Part.2

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さてアイラウ会戦、第2(09:00)ターン。天候は晴天。フランス軍には、ダヴー率いる第3軍団の2個師団が増援としてやって来る。ここで両軍は各フォーメーションの命令を変更し、第1ターンは防戦のみだったフランス軍も、いくつかの師団に「攻撃」命令を与えた。とは言え、攻勢的な命令を受けているフォーメーションはロシア軍の方が多く、第2ターンもロシア軍が先攻として、最初の活性化キューブを行使できることになった。第2ターンの活性化キューブ数は、フランス軍が13個、ロシア軍が12個(+同時射撃戦キューブ2個)。疲弊ポイント(AFP)は、フランス軍が11減って195AFP、ロシア軍が12減って196AFPとなっている。

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ロシア軍は、右翼のMarkov師団、第4師団を前進させて、増援で登場したフランス第3軍団第1師団を牽制する構え。この後、肩を並べるように第2師団も登場。

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そして早くも同時射撃戦キューブが引かれ、すでに2ヘクスまで接近していたロシア第5師団とフランス第4軍団第2師団との間で、短距離(火力2倍)砲撃が交わされた。

両軍はこの後、お互いの活性化で次々に相手に隣接していく。次の同時射撃戦キューブが引かれるまでに、良好な射撃位置に就いておきたい。

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そして両軍が組み合った状態になったあたりで、2個目の同時射撃戦キューブが引かれた。増援で登場したフランス第3軍団第2師団は、ロシア軍最右翼のMarkov師団の側面を包囲している。負けじとMarkov師団も撃ち返し、双方ステップを削り合った。

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中央部でも、最初の同時射撃戦に続いて、ロシア第5師団と、フランス第4軍団第2師団との間で撃ち合いになる。1ヘクスから射撃できるのは4戦力までで、横隊なら火力2倍だが、正面ヘクスにいる敵はすべて射撃しなければならず、火力を分割して射撃する必要がある。なので、8火力で1ヘクスを撃つか、4火力で2ヘクスを撃つという場面が大半だった。8火力でも基本的にはダイス2個振って8以上が出ないと当たらない(ダメージが入らない)し、最大でも2ダメージなので、ちまちまと戦力を削り合っていく(目標が縦隊や方陣なら3ダメージ入る可能性もある)。

また同時射撃戦は、双方1ユニットずつ交互に射撃していくため、図のような硝煙マーカーを置いて射撃したことを示していく。たしかにこのようなマーカーを置いていかないと、どれが射撃して、どれがまだ射撃していないのか混乱するだろう。

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ロシア軍左翼の第3師団も、フランス第7軍団第1師団と交戦中。こちらでは第1ターンからの砲撃戦によって、ロシア軍砲兵が1個、フランス軍砲兵が2個除去され、それぞれ疲弊ポイントが減っている。

これだけのユニットをひとつずつ射撃判定していくのは面倒と言えば面倒だが、個人的には、雰囲気が出ていて悪くないと感じた。野蛮で危険な白兵戦なんてやらずに、ちまちました射撃戦だけで何とかなるならそれで良いじゃないかと、当時の兵士も思っていたかもしれない。

ただ、射撃戦で与えられる通常のダメージ範囲は1か2だし、カップに2個入れられる同時射撃戦キューブが引かれずに終わるターンもあるかもしれず、撃ち合いの末、彼我の戦力バランスが優位になるようなら、歩兵強襲/騎兵突撃をかけて戦線を食い破るタイミングも生じてくるのだろう。

せっかくなので騎兵突撃もやってみようと、フランス第4軍団騎兵2個連隊を、ロシア第4師団へ突っ込ませてみた。距離は3ヘクス先から。防御側のロシア軍スタックは、いずれも方陣形成チェックに失敗し、横隊のままこれを迎え撃つしかない。一応、防御射撃で1ダメージは与えたが……

……ロシア軍はどちらも堅守判定(死守判定とはダイス修正値が異なる)に失敗し、2戦力を失って、移動力4ヘクス分、退却。スタックしていた2個砲兵ユニットは、どちらも非牽引状態だったので除去され、ロシア軍の疲弊ポイントがまた2AFP減った。突撃したフランス軍騎兵は、空いたヘクスに前進して疲弊する(カウンター裏面)。

騎兵突撃に成功しても与えるダメージは2、歩兵強襲では1ダメージなので、射撃戦と同じく、一発で大ダメージが入るような感じではない。こうして相手の戦線を崩して、突破口から部隊を流し込み、敵を側面などから複数攻撃してダメージを累積させる……という手を目指した方が良いのだろうか。

フランス軍は、連続活性化を得たので、突撃して疲弊した騎兵連隊2個をUターンさせて後方へ呼び戻し、代わりにまた別の騎兵連隊2個を、ロシア第3歩兵師団の側面へ突撃させた。途中、ロシア第4師団ユニットの隣接ヘクスも通過したが、このゲームにはZOC(支配地域)ルールが無いし、敵の正面ヘクスではなかったので対応射撃も受けなかった。

ここでもロシア軍は方陣形成チェックに失敗し、横隊のままフランス軍騎兵2個から突撃され、堅守判定にも失敗し、2戦力を失って退却した。

これに対してロシア軍も連続活性化を得て、後方で「保持」命令を受けていた右翼騎兵予備を「攻撃」命令に変更し(チェック成功)、一気に前線に送り込み、戦線を食い破ったフランス軍騎兵に突っ込ませた。

すでに疲弊面になっていたフランス軍騎兵はこの突撃に耐えられず、あえなく退却。敵ユニットに隣接しながら後退したユニットは、さらに1戦力を失った。

というところでフランス軍、ロシア軍1個ずつ活性化キューブを残した状態で第2ターン終了。とりあえず今回の練習ソロプレイはここまでとした。

 

ここまでの第一印象としては、精密戦術級バタイユ・シリーズと同じく1ユニット=歩兵大隊/騎兵連隊級ながらも、細かいディティールは省略して、軍管理やフォーメーションの命令などに重点を置いたシステムに感じた。散兵ルールも無いし、戦列歩兵と猟兵の違いは移動力程度だ。しかし一応、隊形変換ルールはあるし、ユニットの向きもあるので、ナポレオン戦争の雰囲気は感じられる。

ポジティヴに評価すれば「遊びやすいバタイユ」「地図盤2枚に収まるバタイユ」とも言えるし、ネガティヴに評価するなら「大ざっぱなバタイユ」「炭酸の抜けたバタイユ」と言えるかもしれない。いや、これはこれでアリだと思うし、これぐらいの重さ、遊びやすさがスイートスポットだというウォーゲーマー氏もおられるだろう。結局、地図盤4枚のバタイユや「Wellington's Victory」は現実的には遊びにくいし、敷居が低いのはこちらだなと思う。

個人的には、同時射撃戦キューブによって射撃するタイミングが勝手に決められるという「Across 5 Aprils」的な活性化ルールが自分に合わないんじゃないかと思ったが、そんなことはなくて安心した。「A5A」の場合、フォーメーションも戦闘もすべてチット任せなので、自分が部隊を能動的に動かす部分が少なくて不満だったけれど、こちらは自軍のキューブさえ引けば、どのフォーメーションを活性化するかは自分で決められるので、それを考えるのも面白かった。

もしシリーズ続編が出たら、多分買うだろうなあ。そしてシステムの軽さから言っても、バタイユや「Wellington's Victory」系より出番がありそうだ。でもバタイユの細かさも好きなので、バタイユの代替品にはならないけれど、こちらにはこちらで良さがあるという、なんとも微妙な立ち位置に感じている。同じ大隊級スケールで、複数のシリーズを追いかけるのは大変だけれど、第二次大戦の大隊級もGOSSとBCS両方追いかけてるからなあ(つまり時代を問わず大隊級好きと)

【Battles of Napoleon】「Eylau 1807」Solo-Play AAR Part.1

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先日購入したBattles of Napoleonシリーズの「Eylau 1807」をソロプレイしてみた。一応、練習用の小規模シナリオもあるが、このシステムは軍全体の管理ルールがキモだと思うので、いきなり1807年2月8日のグランドバトル・シナリオ(午前08:00ターン開始)を準備してみた。しかし地図盤に書き込まれた各軍団/師団の配置表記が読みにくいなあ……などと思いつつセットアップ開始。

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たいしてルールも読んでいない状態で並べ始めたが、各フォーメーション(軍団/師団)は、それぞれの表記から数ヘクス以内に自由配置する形になっている。デザイナーズノートを読むと、本シリーズの1ヘクス=150メートルという縮尺は、当時の歩兵大隊、砲兵中隊、騎兵連隊の正面幅に相当しているので、基本的には1ヘクス毎に1ユニットを置くようなイメージを持ちつつ、歩兵と砲兵は2個まで(あるいは歩兵1個+砲兵1個まで)スタックでき、また1ヘクスから射撃できるのは歩兵が4戦力、砲兵が8戦力までなので、そのように組み合わせたり(強襲戦闘にはそのような制限はない)。

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またユニットが退却する場合、移動力分のヘクス数を後退し(騎兵は移動力の1/2)、自軍ユニットを踏んづけて退却したら連鎖退却も起きるとのこと。であれば前線ユニットと二線ユニットの間を少し空けて、退却路を確保した方が良いんだろうな、とか思ったり。

ちなみにこの配置画像ではスタックルールを間違えていて、後から手直ししている(スタック制限を超えた3枚スタックが存在している)。

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こちらは軍管理シート。各フォーメーションには命令マーカーが置かれている。フランス軍は、増援部隊が揃うまでは「防御」(射撃可能、1ヘクス移動可)か「保持」(射撃可能、移動不可、2個ユニットが1戦力回復)を選び、ロシア軍の前線部隊は「攻撃」(敵ユニットへ隣接可、強襲/突撃が可能)を選んでいる。

それぞれの命令には消耗度があり、「攻撃」命令は消耗度が高く、「攻撃」命令を受けているフォーメーションが多ければ、軍全体がより消耗していく。

黒と灰色のキューブは両軍の疲弊点(AFP)を表しており、黒が10AFP、灰色が1AFPを意味している。フランス軍は最初の段階で210AFPを有していたが、第1ターンの命令で4AFPを消耗したので、残り206AFPになっている。対するロシア軍は220AFPを有していたが、攻撃命令が多いため11AFPを消耗し、第1ターンの時点で209AFPになっている。

この疲弊点(AFP)は、ユニットの除去、指揮官の死傷、地理的目標を奪われる等でも減っていく。逆に地理的目標を奪ったり、「再編成」(各ユニットが1戦力回復)命令を出せば増えていく。疲弊点がゼロになったら軍全体が崩壊し、ゲーム終了と。

また、各命令には主導権ポイントが付され、その合計はフランス軍が0(攻勢的な命令をまったく取っていない)、ロシア軍が22なので、ロシア軍が第1ターンの主導権を取ったことになる。

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本作ではチットの代わりに、活性化キューブ(AC)を用いて各フォーメーションを動かしていく。両軍は、各ターン序盤の命令フェイズでダイスを1個ずつ振り、その出目+各ターン毎の両軍の修正値+両軍司令官のリーダーシップ値=合計数の活性化キューブを獲得する。今回の第1ターンでは、フランス軍(青いキューブ)が12個(ダイス3+ターン修正5+軍司令官ナポレオン4)、ロシア軍(緑のキューブ)が8個(ダイス2+ターン修正4+軍司令官ベニグセン2)となった。つまり第1ターン、フランス軍は12回、ロシア軍は8回フォーメーションを活性化できるということ(各フォーメーションは最大3回まで活性化できる)。ただしこのグランドバトル・シナリオでは、最後のキューブ2個は活性化せずに捨てられる。

そしてロシア軍は主導権を取っているので、最初に活性化できる緑(ロシア軍)キューブを1個外しておき、それ以外のキューブをカップに入れ、さらに同時射撃戦キューブ(赤)を2個カップに加えてランダムに引き、順次、活性化していく。

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第1(08:00)ターンの天候は晴れ。先手ロシア軍は、右翼のフォーメーションから前進させていく。途中、二度の同時射撃戦(赤)キューブが引かれ、双方はまだ中距離(5~4ヘクス)ながらも砲撃を浴びせ合う。ロシア軍は強力な砲兵スタックを用意していたため、フランス軍に痛打を与えたが、フランス軍砲兵は部隊をバラしてしまったため、さほどの効果は得られなかった。これもう少し火力を集中させた方が良いのかなあ。ただし短距離(3~2ヘクス)なら火力2倍だし、隣接砲撃なら火力4倍にはなる。

特にフランス第7軍団第2師団は、結構な砲撃ダメージを被ったので、師団長が命令変更チェックを行い、「防御」から「保持」命令(戦力回復可)に変更した。

一方ロシア軍も、第1ターンから「攻撃」命令は出したものの、実際に強襲/突撃に及んだフォーメーションは無く、だったら(消耗の少ない)「移動」命令で良かったのでは?と思ったり。しかし後から命令変更を行う場合、師団長が主導権チェックに成功する必要があるしなあ……とあれこれ思い悩んだ。

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カップから引かれた活性化キューブは、軍管理シートの各フォーメーションのマス目に置き、何回活性化したか記録するために用いる。これは結構わかりやすい。そして結果、フランス軍の青キューブ2個が引かれないまま、第1ターン終了……

……と、ルールを確認しながら(そして昼寝もしながら)ちまちま進めていたら、1ターン目が終わったところで日が暮れてしまった。まだ歩兵同士の射撃戦や、強襲/突撃にも至っていないので、第2ターンから先はまた明日以降……

「Operation Typhoon」Panzer Gruppe Guderian Scenario AAR

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今日は、久しぶりに自宅にKarter氏を招いてゲーム会。お題はIED版の「オペレーション・タイフーン」南部シナリオ。一応、SPI/ホビージャパン版も手元にあるが、すでに老眼同士の対戦なので、読み取りやすいIED版で良かろうと。ちなみにKarter氏は、この手の戦力チット式のウォーゲームは初めてである。我々もウォーゲーム歴は40年以上になるが、意外とこのシステムに触れてこなかったもので。

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自分はソ連軍を担当。Karter氏はドイツ軍を担当。

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今回は初対戦の練習プレイなので詳細は省くが、ドイツ軍は序盤、頼りにしていたグロスドイッチェラント連隊が低戦力チットを引き意気消沈。全般的にドイツ軍は戦力チットの引きが平均以下で、対するソ連軍は平均以上のチットを引き当てていた。しかし戦闘判定ダイスは逆に、ドイツ軍が良い出目を出していた。本作の戦闘結果表は、単純にダイス目が大きければ良いとか、小さければ悪いというものではないけれど、狙い澄ましたように良い目を出していた気がする。

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一応、第7ターンまで進めたけれど、徐々に消耗していくドイツ軍と、徐々にユニットを増していくソ連軍の関係性を確認して本日はおしまい。Karter氏的には、システムは理解できたけど、作戦的には難しいなあと。次は、中央部か北部のシナリオもやろうかという話も出たので、気に入ってもらえたのかもしれない。まあ、そのうちに。