Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battles of Napoleon】「Eylau 1807」Solo-Play AAR Part.2

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さてアイラウ会戦、第2(09:00)ターン。天候は晴天。フランス軍には、ダヴー率いる第3軍団の2個師団が増援としてやって来る。ここで両軍は各フォーメーションの命令を変更し、第1ターンは防戦のみだったフランス軍も、いくつかの師団に「攻撃」命令を与えた。とは言え、攻勢的な命令を受けているフォーメーションはロシア軍の方が多く、第2ターンもロシア軍が先攻として、最初の活性化キューブを行使できることになった。第2ターンの活性化キューブ数は、フランス軍が13個、ロシア軍が12個(+同時射撃戦キューブ2個)。疲弊ポイント(AFP)は、フランス軍が11減って195AFP、ロシア軍が12減って196AFPとなっている。

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ロシア軍は、右翼のMarkov師団、第4師団を前進させて、増援で登場したフランス第3軍団第1師団を牽制する構え。この後、肩を並べるように第2師団も登場。

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そして早くも同時射撃戦キューブが引かれ、すでに2ヘクスまで接近していたロシア第5師団とフランス第4軍団第2師団との間で、短距離(火力2倍)砲撃が交わされた。

両軍はこの後、お互いの活性化で次々に相手に隣接していく。次の同時射撃戦キューブが引かれるまでに、良好な射撃位置に就いておきたい。

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そして両軍が組み合った状態になったあたりで、2個目の同時射撃戦キューブが引かれた。増援で登場したフランス第3軍団第2師団は、ロシア軍最右翼のMarkov師団の側面を包囲している。負けじとMarkov師団も撃ち返し、双方ステップを削り合った。

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中央部でも、最初の同時射撃戦に続いて、ロシア第5師団と、フランス第4軍団第2師団との間で撃ち合いになる。1ヘクスから射撃できるのは4戦力までで、横隊なら火力2倍だが、正面ヘクスにいる敵はすべて射撃しなければならず、火力を分割して射撃する必要がある。なので、8火力で1ヘクスを撃つか、4火力で2ヘクスを撃つという場面が大半だった。8火力でも基本的にはダイス2個振って8以上が出ないと当たらない(ダメージが入らない)し、最大でも2ダメージなので、ちまちまと戦力を削り合っていく(目標が縦隊や方陣なら3ダメージ入る可能性もある)。

また同時射撃戦は、双方1ユニットずつ交互に射撃していくため、図のような硝煙マーカーを置いて射撃したことを示していく。たしかにこのようなマーカーを置いていかないと、どれが射撃して、どれがまだ射撃していないのか混乱するだろう。

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ロシア軍左翼の第3師団も、フランス第7軍団第1師団と交戦中。こちらでは第1ターンからの砲撃戦によって、ロシア軍砲兵が1個、フランス軍砲兵が2個除去され、それぞれ疲弊ポイントが減っている。

これだけのユニットをひとつずつ射撃判定していくのは面倒と言えば面倒だが、個人的には、雰囲気が出ていて悪くないと感じた。野蛮で危険な白兵戦なんてやらずに、ちまちました射撃戦だけで何とかなるならそれで良いじゃないかと、当時の兵士も思っていたかもしれない。

ただ、射撃戦で与えられる通常のダメージ範囲は1か2だし、カップに2個入れられる同時射撃戦キューブが引かれずに終わるターンもあるかもしれず、撃ち合いの末、彼我の戦力バランスが優位になるようなら、歩兵強襲/騎兵突撃をかけて戦線を食い破るタイミングも生じてくるのだろう。

せっかくなので騎兵突撃もやってみようと、フランス第4軍団騎兵2個連隊を、ロシア第4師団へ突っ込ませてみた。距離は3ヘクス先から。防御側のロシア軍スタックは、いずれも方陣形成チェックに失敗し、横隊のままこれを迎え撃つしかない。一応、防御射撃で1ダメージは与えたが……

……ロシア軍はどちらも堅守判定(死守判定とはダイス修正値が異なる)に失敗し、2戦力を失って、移動力4ヘクス分、退却。スタックしていた2個砲兵ユニットは、どちらも非牽引状態だったので除去され、ロシア軍の疲弊ポイントがまた2AFP減った。突撃したフランス軍騎兵は、空いたヘクスに前進して疲弊する(カウンター裏面)。

騎兵突撃に成功しても与えるダメージは2、歩兵強襲では1ダメージなので、射撃戦と同じく、一発で大ダメージが入るような感じではない。こうして相手の戦線を崩して、突破口から部隊を流し込み、敵を側面などから複数攻撃してダメージを累積させる……という手を目指した方が良いのだろうか。

フランス軍は、連続活性化を得たので、突撃して疲弊した騎兵連隊2個をUターンさせて後方へ呼び戻し、代わりにまた別の騎兵連隊2個を、ロシア第3歩兵師団の側面へ突撃させた。途中、ロシア第4師団ユニットの隣接ヘクスも通過したが、このゲームにはZOC(支配地域)ルールが無いし、敵の正面ヘクスではなかったので対応射撃も受けなかった。

ここでもロシア軍は方陣形成チェックに失敗し、横隊のままフランス軍騎兵2個から突撃され、堅守判定にも失敗し、2戦力を失って退却した。

これに対してロシア軍も連続活性化を得て、後方で「保持」命令を受けていた右翼騎兵予備を「攻撃」命令に変更し(チェック成功)、一気に前線に送り込み、戦線を食い破ったフランス軍騎兵に突っ込ませた。

すでに疲弊面になっていたフランス軍騎兵はこの突撃に耐えられず、あえなく退却。敵ユニットに隣接しながら後退したユニットは、さらに1戦力を失った。

というところでフランス軍、ロシア軍1個ずつ活性化キューブを残した状態で第2ターン終了。とりあえず今回の練習ソロプレイはここまでとした。

 

ここまでの第一印象としては、精密戦術級バタイユ・シリーズと同じく1ユニット=歩兵大隊/騎兵連隊級ながらも、細かいディティールは省略して、軍管理やフォーメーションの命令などに重点を置いたシステムに感じた。散兵ルールも無いし、戦列歩兵と猟兵の違いは移動力程度だ。しかし一応、隊形変換ルールはあるし、ユニットの向きもあるので、ナポレオン戦争の雰囲気は感じられる。

ポジティヴに評価すれば「遊びやすいバタイユ」「地図盤2枚に収まるバタイユ」とも言えるし、ネガティヴに評価するなら「大ざっぱなバタイユ」「炭酸の抜けたバタイユ」と言えるかもしれない。いや、これはこれでアリだと思うし、これぐらいの重さ、遊びやすさがスイートスポットだというウォーゲーマー氏もおられるだろう。結局、地図盤4枚のバタイユや「Wellington's Victory」は現実的には遊びにくいし、敷居が低いのはこちらだなと思う。

個人的には、同時射撃戦キューブによって射撃するタイミングが勝手に決められるという「Across 5 Aprils」的な活性化ルールが自分に合わないんじゃないかと思ったが、そんなことはなくて安心した。「A5A」の場合、フォーメーションも戦闘もすべてチット任せなので、自分が部隊を能動的に動かす部分が少なくて不満だったけれど、こちらは自軍のキューブさえ引けば、どのフォーメーションを活性化するかは自分で決められるので、それを考えるのも面白かった。

もしシリーズ続編が出たら、多分買うだろうなあ。そしてシステムの軽さから言っても、バタイユや「Wellington's Victory」系より出番がありそうだ。でもバタイユの細かさも好きなので、バタイユの代替品にはならないけれど、こちらにはこちらで良さがあるという、なんとも微妙な立ち位置に感じている。同じ大隊級スケールで、複数のシリーズを追いかけるのは大変だけれど、第二次大戦の大隊級もGOSSとBCS両方追いかけてるからなあ(つまり時代を問わず大隊級好きと)