Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Eagle of France】Hexasim「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」

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クロノノーツゲームさんから、フランス製のナポレオン会戦級シリーズ「Eagle of France」の「Fallen Eagles II : Waterloo 1815」(2022年発売)を購入。その名の通り、お題は1815年6月18日に行われたナポレオン戦争最後の大会戦、ワーテルロー戦。「II」とあるように、初版は2015年発売だが、未見なので差異はよくわからない。

先日購入した「Battles of Napoleon」シリーズの「Eylau 1807」のデザイナーズノートを翻訳したところ、『Eagleシリーズは、プレイするのは楽しいけれど、ナポレオン時代の感覚が足りない』というデザイナー本人の感想が書かれていたので、だったら比較検討しようと入手してみた。こうして1つゲームを買ったせいで、また別のゲームが欲しくなるということは往々にしてある……

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まず地図盤は、1ヘクス=200メートル。「Triumph & Glory」が1ヘクス=300メートル、「Eylau 1807」が1ヘクス=150メートル、バタイユが1ヘクス=100メートルなので、この手の会戦級ゲームとしては大まかな部類だが、ワーテルローの戦場がフルマップ2枚に収まっているのは手頃だなと。バタイユや「Wellington's Victory」のように、フルマップ4枚だとなかなか……

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また、ウーグモン城館、ラ・エイ・サンテ農場、プランスノア近辺だけを切り取った、ミニシナリオ専用の地図盤も付いている。これは便利。

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カウンターシートは4枚、カウンター総数520個と、こちらも手頃にまとまっている。

こちらはフランス軍。指揮官カウンターには肖像画が入り、活性化判定用のイニシアチブ値と、回復や練度(QF)判定を修正したり、自力で活性化できるスタック数を表すリーダーシップ値を持つ。

戦闘ユニットは、歩兵/騎兵が連隊、1兵力が歩兵/騎兵100人を表している。各戦闘ユニットには、兵力・練度(QF:Quality Factor)・移動力が記され、裏面は戦力減少(ステップロス)面を表す。

特徴的なのは、ナポレオン会戦級ゲームでよく見られる隊形ルールが無いこと。各ユニットを縦隊や横隊や方陣に転換することはない。そこは「Eylau 1807」のデザイナーからも『ナポレオン戦争のウォーゲームで隊形ルールが無いなんて、なかなか難しい決断だ』とツッコまれていたけれど、本作のデザイナーに言わせれば、その場その場で適切な隊形に転換できるかどうかは、各ユニットの練度に含まれていると。つまり、もし騎兵ユニットが敵歩兵ユニットを白兵攻撃した時に、ダイス目が悪くて騎兵側が損害を被るようなことがあったら、それは多分(ゲームとしては表現していないけれど)その歩兵ユニットが方陣に転換して迎え撃ったのだろう……と解釈すればいいと。

またデザイナー氏曰く、騎兵が歩兵の方陣に突っ込むようなことは史実的にほぼ無く、一応それが可能なルールを入れて面倒なマーカーや修正を入れるようなことはしなかったと。そう、なので本作には、よくある隊形マーカーや方陣マーカーも無い。

ちなみに、これもナポレオン会戦級ゲームではよく見かける、ユニットの「向き」ルールも基本的には無く、選択ルールで採用してもいいことになっている。

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こちらはイギリス他の連合軍。ちなみに活性化しやすい指揮官で言うと、ナポレオン、ウェリントンブリュッヒャーが最良の11(ダイス2個振って11以下なら活性化)、ネイが10、アクスブリッジが10、各軍団長は8程度。

個人的には、各ユニット毎に練度が異なっているのが好み。「Eylau 1807」は、そこがエリートか新兵かの一律なので、それこそ「雰囲気が感じられない」んだよなー。

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各フォーメーション(軍団/師団)には、「目標地点に向かう」「防御する」という命令か、「命令無し」状態、増援部隊には「長距離」命令が与えられ、それは命令シート上でマーカー管理される。軍司令官、軍団司令官は、各ターン毎に2回まで活性化できるが、連続活性化は不可。

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活性化したフォーメーションは、攻勢射撃、移動、白兵戦闘の宣言、戦闘前の騎兵退却、機会射撃/反撃突撃、防御射撃、白兵戦の解決、騎兵追撃、という順で手番を進めていく。

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こちらは戦術カードと、フルバトル・シナリオのみで使用される選択ルールの戦略カード。シナリオ開始前に3枚ランダムに引き、1枚だけプレイできるというもの。史実的にあり得た選択肢や、ダイスの振り直しや、すでに2回活性化したフォーメーションを3回活性化させる等々。まあ、最初はこれ無しでプレイして、飽きてきたら入れればいいかなと。

まあ、隊形ルールが無いとは言え、「バタイユ」のような精密戦術級システムほど面倒ではないし、「Triumph & Glory」よりもうちょっと細かいという立ち位置を、絶妙と感じるか、微妙と感じるかは人それぞれかなあと。個人的には、1日プレイしてワーテルロー戦をそれなりに進められるという意味では、良さそうだなと。

 

しかしワーテルロー戦のゲームなら、もうバタイユ・シリーズの「La Bataille de Mont Saint Jean   Deluxe 2nd Edition」も買ったし、「Wellington's Victory」も買ったし、しかもどちらもカウンターを全然切ってないじゃないかと我ながら思うが、関ヶ原にしろバルジにしろ、こういった有名会戦はどうしても複数タイトル出ているし、遊び比べたいのよね。とりあえず「Eyrau 1807」との比較も含めて、近いうちに動かしてみたい。