Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GMT「Triumph & Glory」+「C3i #13」「C3i #14 Lonato」

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またしても買い直し案件。2000年に発売されたナポレオンの会戦級ゲーム「Triumph & Glory」(未切り離し)を再入手してしまった。2001年にいったん購入し、仲間内で結構ヘビロテ的に対戦したが、2017年に処分。しかし今年は、バタイユ、Campaign of Napoleon(CoN)、The Library of Napoleonic Battles(TLNB)と、ナポレオン戦争のシリーズ・ゲームを買い直してきたので、だったらこれもいっとくかと。一応、以前購入した時のBlog記事も残っているが、あらためて記録しておこう。

本作は、故Richard H.Berg氏デザインの会戦級ゲーム。ゲームスケールは、1ヘクス=297メートル(325ヤード)、1ターン=75分、1戦力=歩兵200人/騎兵150人/砲4門(ほぼ連隊単位)と、TLNBより細かく、バタイユよりは大ざっぱという中間的な立ち位置だ。ナポレオン戦争の会戦の場合、徐々に参加兵力が増え、戦場も広くなるため、統一システムで表現すると、どうしてもスケールに合わない会戦が出てきてしまう。そのため、TLNBとバタイユを持っていても、このT&Gスケールがちょうどいい、という会戦もあるはず。

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こちらはハーフマップ規模の、カスティリオーネ会戦(1796年8月5日)と、ラーブ会戦(1809年6月14日)。こういった小規模の会戦でも、このT&Gスケールだとそれなりに遊び応えのあるゲームになっている。

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そして三帝会戦ことアウステルリッツ会戦(1805年12月2日)。ちょうどフルマップに収まっており、個人的にはアウステルリッツ会戦最良のスケールだなと。これがTLNBだとおおざっぱになるし(まだプレイしてないけど)、バタイユだとフルマップ数枚分になってしまうので(持ってないけど)、現実的に言うなら、お昼頃から対戦し始めて、夕方にはちゃんと終わるという意味でも良いシナリオだったなと。

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しかしフルマップ2枚を連結したワグラム会戦(1809年7月5~6日)となると、さすがナポレオン戦争最大級の会戦だけあって、このスケールで表現すると結構大変だった気がする。アスペルン=エスリング会戦(1809年5月21~22日)は、この左側の地図盤だけを使用。

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カウンターシートは4枚、カウンター総数1160個。システムとしては、各軍団毎にチットが2枚ずつ用意され、カップからランダムに引かれた順に活性化する。ただし各ターン毎に、両軍司令官の能力によって指揮下に置かれた軍団は制限無く行動できるが、命令を受領していない軍団は行動が制限される。また命令を受領していなくても、軍団長の采配(ダイス判定)で、制限無く行動できる可能性もあり。そのため1ターンのプレイ時間は長くなるが、ままならないチットに一喜一憂するのは楽しかった。

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ユニットが攻撃する際には、まずいったん接敵(士気)チェックを行う必要がある。複数スタックで攻撃を宣言したら、一方のスタックが接敵に失敗し、残ったスタックが単独で攻撃しなければならず敗退……という場面がよくあった。このあたり防御側の防御射撃を表しているのだろうが、こういった面でも、TLNBよりちょっと細かく、バタイユ寄りなスケールだなと思った。

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そして今回、訂正カウンターが付いているC3i誌13号も入手。これも2000年発売。

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さらに追加シナリオ、ロナト会戦(1796年7月31日~8月4日)が付いているC3i誌14号も入手。こうしてどんどんC3i誌で追加シナリオを出してくれれば良かったのに、このT&Gシリーズは、この後「Borodino」が出ただけで終わってしまった。一応、シリーズ第3作としてライプツィヒ会戦も出すと予告されていたが、デザイナーのBerg氏も2019年に亡くなってしまい、その夢も潰えた。自分の中で、この「Triumph & Glory」は、2000年代の傑作ゲームだったんだけどなあ……惜しい……

またフランスのウォーゲーム雑誌Vae Victisにも、本作とほぼ同じルールのJours de Gloireシリーズが付録化されているが、ちょっと違うなあ、という印象。もうそちらまで手は出さないが、一応「T&G」の血脈は生き残っていると。