Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Avalon Hill「Panzer Leader」

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アバロンヒル社のWWII戦術級ゲーム「Panzer Leader」(1974年製)を再購入。今から41年前、中学1年生だった自分が初めて買ったウォーゲームをまた買い直した。

いや、昨年SPI/HJ「第二次欧州大戦」を購入した古書店サイトをチェックしていたら、「Panzer Leader」が適価で入荷していて、状態も良さそうだったので、ついぽちってしまった。最近この手の古典的なタイトルも、だんだん中古価格が上がってきたように感じるし、買える時に買っておくかと。

内容は、第二次大戦・ヨーロッパ西部戦線での戦闘を、1ユニット=小隊レベルで再現するというお馴染みの内容。小学生の時、タミヤの1/35戦車プラモに親しんできた自分が、ほとんどウォーゲーム情報を知らなかったのに、まず最初の一作として本作を選んだのは、今から考えてもドンピシャな選択だったと思う。いやルールシステムはいろいろとツッコミどころがある本作だが、当時発売されていたウォーゲームの中から言えば妥当な選択だったってこと。東部戦線を扱っている姉妹作「Panzer Blitz」よりも、ノルマンディ、マーケットガーデン、バルジといった戦場の方に馴染みがあったし、箱絵を見て『ロンメル駆逐戦車(ヤークトパンター)よりタイガー戦車だな』と思って買った覚えがある。その時の思い出は以下に。

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地図盤は4枚。架空の地形を、状況設定に合わせて縦横につなげ、史実の戦いに模した戦場をでっち上げる、という仕組みは姉妹編「Panzer Blitz」と同じ。「Squad Leader」ももちろんこの系統だが、戦術級ゲームでは今でもよく見かける。

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西部戦線での戦いなので、ドイツ軍と、英米連合軍のユニット400個弱が収録されている。しかしあらためて見ると、こんなにカウンターが少なかったんだと驚かされる。今では、カウンター1000個2000個のゲームもざらにあるので、そのあたりの感覚がマヒしているが、初めて買った当時は『うわあ、こんなに沢山、いろいろな戦車のコマが入っているぅぅ!』と興奮したものだ。

また当時の自分の戦車的な知識は、タミヤのプラモデルと、小学生向けの戦車の本を何冊か買っていただけなので、アキリーズとか、M18ヘルキャットとか、GW38が何なのか、分からなかった。

さらに言えば、連合軍ユニットに奇妙なシンボルと「ARM」と書かれたコマを見つけ、子供ながらに『ARM……腕?』とか頭をひねっていた。それがArmored Infantry(機甲歩兵)の略だと気付くのは、同梱されていた英文の編成表を読めるようになった後のことである。

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状況設定は20本。当時すでに映画「史上最大の作戦」「遠すぎた橋」「バルジ大作戦」「レマゲン鉄橋」は見ていたので、ほとんどの背景はすんなり理解できた。しかし当時、どのシナリオをよく遊んだかは覚えていない。たしか年末に友人と『クリスマスだから、派手な奴やろうぜ』と、最もユニット数の多い「パットンの反撃」をやったのは覚えているが……

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ゲームに慣れてきた後、英文ルールブック後半の史料も読むようになった。これは「Panzer Leader」がとても親切だったところだけど、各小隊ユニットが、兵士何名、機関銃何丁、車輌何台から構成されているか、全部書いてあったことが、このレベルの戦術戦闘を理解する助けになってくれた。さらにその上位の師団編成図もあり、実際の戦争は、そういう組織や人数規模で行われるんだなあと。なにしろ当時は、テレビで「コンバット」や「ラットパトロール」ばかり観ていたので、戦争=少人数で行うものというイメージ的な刷り込みがされていたのだ。そう言う意味では、中学1年生の自分にとって、とても教育的なウォーゲームだった。

まあ、2年前に、ふと「Panzer Blitz」を譲っていただいた時から、そのうち「Panzer Leader」も買い直すかもしれないなあと思っていたが、やっぱり入手してしまった。今さらカウンターを切ってプレイするかと言われると微妙だが、一応、自分が初めて買ったウォーゲーム作品として記念碑的に手元に置いておこう(プレイするならVASSALで)。