Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【同人】「ソコトラの一番熱い日」

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小さなウォーゲーム屋さんから、同人ウォーゲーム「ソコトラの一番熱い日」を購入。たぶんこれが2023年最後の、ウォーゲーム的な買いものかなと。同人ゲームとは言っても、デザイナーは「戦国群雄伝」シリーズでもお馴染みの福田誠氏だし、クオリティとしては、正規に流通しているウォーゲーム作品と変わらないレベル。

お題は、わかる人には分かる某作品の第三次世界大戦(1948年設定)で、アフリカ東岸に位置するソコトラ島へ日本・イギリス軍が上陸し、島を守備するドイツ・イタリア軍と交戦するというもの。なんじゃそりゃ?歴史的にそんな戦い無かったよね?と言われても、そういう作品なんだから仕方ない。某作品中では、ドイツ第15装甲擲弾兵師団に属するパンテルII戦車大隊が、日本軍の上陸堡に突撃し、双方とも甚大な損害を被るという展開が描かれていたが、それを再現した仮想シミュレーションゲームである。

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地図盤はハーフマップ1枚。ゲームスケールは、1ヘクス=300メートル、1ユニット=小隊~大隊、1ターン=15分という「Panzer Blitz/Leader」に近い戦術級。盤面には、日本軍の上陸地点と、独伊軍が守るラス・カルマ飛行場が描かれている。某作品中では(ああ、面倒くせえな)、ドイツ軍戦車隊による日本軍上陸堡への突撃が中心に描かれていたが、本作では、作品中では描かれなかった、その後の日本軍によるラス・カルマ飛行場攻略も含まれている。

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こちらが守るドイツ軍、イタリア軍。ユニットの能力値は、シンプルに攻撃力・防御力・移動力。とりあえずパンテルII小隊ユニットは頼もしいが、作品中の史実では(以下ネタバレ)。

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対する日本軍ユニットがこちら。ちなみに同人ゲームとは言え、カウンターはしっかりとした厚みがあるので、むしろコマンドマガジン付録の薄っぺたいカウンターより全然良い。

ゲームは、先攻・後攻順に、増援、支援攻撃(砲爆撃)、移動、戦闘を繰り返し、戦闘も戦闘比を用いたシンプルなもの(I Go, You Go)。一応、独伊軍の機械化ユニットだけが2ヘクスの戦闘後前進(突破前進)ができる。シナリオは、ドイツ装甲戦闘団による突撃シナリオと、それを撃退した後の日本軍の前進を描くシナリオの2本立て。シナリオ特別ルールとして、日本海軍航空隊の地上支援、駆逐艦「初雪」による海岸からの直接艦砲射撃と、それに対するドイツ軍戦車の攻撃、パンツァーカイル(パンテルII+装甲擲弾兵スタック)による戦力2倍等もあり。

とりあえずウォーゲームとしては非常に基本的な作りであるうえに、作品中のディティールも盛り込まれているので、某作品は小説として知っているけれどウォーゲームは知らない、という方でも楽しめるんじゃないかと思う。

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