Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「GTS Briefings vol.1 : Strike-Counter Strike」

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プレオーダーしていた、WWII作戦戦術級シリーズGTS(Grand Tactical Series)専門誌「Briefings vol.1」が到着。本誌44ページ、付録ゲーム「GTS Strike-Counter Strike」のルールブック24ページ、カウンターシート2.5枚、フルマップ1枚、図表2枚という構成になっている。

しかし2008年にシリーズ第1弾として「The Devil's Cauldron」が登場して以来15年、遂にGTSも単体で別冊が出るようになったかと思うと感慨深い。個人的にGTSは大好きなシリーズだし、かつてアバロンヒル「Panzer Leader」からウォーゲームに入門した元戦車プラモ少年なので、スケールはちょっと違うものの、21世紀版「Panzer Leader」のようにも感じている。

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さて、付録ゲーム「Strike-Counter Strike」の舞台は、1944年11月23日~27日の、フランス=ドイツ国境に近い北部アルザス地方、サヴェルヌ峡谷。すでにストラスブールには、フランス第2機甲師団が突入しており、ドイツ軍はこの後背を断つため、翌月に行われるアルデンヌ攻勢に参加予定だった教導装甲師団を引き抜き、これを攻撃させた。しかしアメリカ第4機甲師団の反撃によって押し戻され……という展開。この戦闘に関して日本語で読める文献としては、フォン・メレンティンの「ドイツ戦車軍団」に、著者自身が前線視察に行き、教導装甲師団長バイエルライン将軍と出会うくだりが載っている(両者とも北アフリカ戦線で有名)。

一応、小粒な作品ながらもシナリオは6本収録。最長のキャンペーンシナリオは11月23日午後から27日午後まで全25ターンを扱うが、ショートキャンペーン&主戦闘シナリオは25日夜間までの14ターン、27日のアメリカ第4機甲師団の反撃のみ扱うシナリオが5ターン、さらに練習用の3ターンシナリオが2本という構成になっている。まあ、小品とは言え、GTSの全25ターンは相当長いので、実際にプレイするなら14ターン、5ターンシナリオあたりが穏当か。

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フルマップ1枚の3/4程度が地図盤で、それ以外の部分にはドイツ教導装甲師団アメリカ第4機甲師団と第44歩兵師団の師団ディスプレイが並んでいる。しかしこれ、できれば手元で管理したいので、本来なら今までのシリーズゲーム同様、別表化してほしかったなあ。まあ、切り取って使う手もあるが……

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「ドイツ戦車軍団」には「米第四機甲師団のB戦闘団はベーレンドルフの村で頑強に戦っていた」とあるが、それがこのBaerendorfか。

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こちらがドイツ教導装甲師団ユニット。もちろん今までのGTS作品同様、1ユニット=中隊規模となっている。

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対するアメリカ軍ユニットも、すでにこの時期、M4A3 76.2mm砲搭載型が登場し、V号パンターに見劣りしない性能になっている。まあ、GTSの場合、個々の兵器性能はもちろん、師団、連隊、戦闘団単位の戦闘効率性や、支援砲撃力も重要だけれど。

またルール的にはGTS2.0が適用されているため、後から登場した、紫色の軽迫撃砲火力や、茶色の自活砲撃火力(Organic Artillery)も採用されている。

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オマケとして既存のGTS作品「The Greatest Day」「Operation Mercury」「Race for Bastogne」の訂正カウンターも付いている。またGTSの場合、対戦する両軍毎に異なるデザインのマーカーを必要とするため、今回の雑誌形式のアイデアが出た際も「両軍のマーカーを入れられるのか?」という懸念があったが、とりあえず何とかなりそうな量のマーカーが入っている。

「Strike-Counter Strike」の特別ルールはさほど多くなく、GTS経験者なら、直読みでもプレイできる程度。ただしGTSの基本ルールブックは入っていないので、MMPサイトからダウンロードする必要がある。まあ、これを買うような人はすでにGTS作品を持っていて、手元にルールブックもあるんだろうけど。

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本誌記事は、入門解説記事に加えて「GTSにおけるコマンド部隊の概念」「強襲」「砲兵」「Strike-Counter Strikeの史実背景」「Operation Mercuryでのマレメ飛行場攻略」「Operation Mercuryのソリティア」「Day of TigerシナリオAAR」「VASSALでのwizardの使い方」等。

とりあえず、ルール直読みでいきなり「Strike-Counter Strike」をプレイしてもいいけれど、せっかくなので史実記事含めて訳してから取り組もうかなと。