数年前からプレオーダーしていた、WWII作戦戦術級シリーズGTS(Grand Tactical Series)の新作「Race for Bastogne」が到着。2017年に発売された「Operation Mercury」以来、5年ぶり6作目である。メインデザイナーだったAdam Starkwether氏がMMPと別れて以来、シリーズの開発ペースは落ちたが、こうして無事に発売されて一安心。ここ数年は、Starkwether氏がCompass Gamesから発売している、GTSの改変版とも言える、CSS(Company Scale System)に触れてきたが、あまりピンと来ず、もうパチモンのCSSはいいから、本物のGTSをくれ!という感じだった。
そんな今回の新作は、タイトル通り、1944年12月のバルジの戦いの焦点のひとつ、クレルボーからバストーニュへというドイツ軍の進撃と、アメリカ軍による防御、後退、籠城戦を扱っている。期間としては、ドイツ軍が攻勢を開始した12月16日から、12月25日までで、パットン第3軍によるバストーニュ解囲までは扱っていない。
ゲームスケールは、今までのGTS作品と同じく、1ヘクス=500m、1ターン=2時間。ただしヨーロッパの冬ということで、日中ターンが5ターンしかない(15時ターンの次は夜間ターン)。同じく9月のマーケット・ガーデン作戦を扱った「The Devil's Cauldron/Where Eagles Dare」は、1日の日中ターンが7ターンもあった(19時ターンまで日中)ので、1日のうちにやれることがだいぶ違いそうだ。
地図盤は、フルマップ2枚を縦に連結してクレルボー~バストーニュを描き、南のウィルツだけ小さな追加地図盤になっている。サブタイトルが「Seven Roads to Hell(地獄への7本の道)」なので、道路網を見てみると、クレルボーからバストーニュ手前のロングヴィリーまでは、一級道路が1本しかなく、ドイツ軍としてはこれを打通しないと面倒なことになりそうだ。
クレルボーと言えば「TCS:Bloody 110」の舞台。もちろん作戦序盤の、クレルボーを守るアメリカ第28歩兵師団の戦闘もシナリオ化されている。
カウンターシートは8枚、カウンター総数1408個。とは言ってもGTSの場合、マーカー類が多いし、実際、半分以上はマーカーである。
戦闘ユニットは、旧来のGTS作品同様、1ユニット=中隊。こちらはバストーニュを死守したアメリカ第101空挺師団だが、マーケット・ガーデン作戦時よりも部隊練度(Troop Quality)は落ちている。かつて最高の部隊練度を誇った「バンド・オブ・ブラザーズ」こと第506空挺連隊第2大隊E中隊も、練度7に落ちている(それでも優秀)(すでにウィンターズ中隊長はいない)(と思ったら、史実イベント「Nuts!」が発動すると部隊練度が上がることが判明(^_^;)
またグライダー中隊をよく見ると「GTS:The Greatest Day」から導入された、軽迫撃砲火力(師団活性化の第1アクションでも射撃可能)になっている。
左は、史実ではボコボコにやられたアメリカ第9機甲師団の皆さん。右は、それをボコボコにやっつけたドイツ第2装甲師団の皆さん。
そして第2装甲師団と共にバストーニュへ向かった、ドイツ教導装甲師団の面々。ずらずらと並ぶパンター戦車ユニットを見れば、なんでこれでバストーニュを奪えなかったのよ、と言いたくなるくらい頼もしい。そして作戦時のパンター戦車には夜間暗視能力があったとする選択ルールもある。
さらにドイツ第26国民擲弾兵師団、第5降下猟兵師団の皆さん。ヘッツアー駆逐戦車はGTSでは初か。
こちらは、各師団ディスプレイ。指揮値(Command Rating)と派遣値(Dispatch Rating)は可変式らしく、複数の数値が記されている。
こちらは盤外移動ディスプレイ。特別ルールは、地雷、後衛(Rearguards)、跨乗(Piggyback)モード、イベント等があるが、今までのGTS作品で既出のルールばかりなので、特に目新しいものは少ない。
シナリオは7本。ミニ地図盤のみを使用する練習シナリオから、地図盤1枚のみのシナリオ、フルキャンペーンと、いろいろ揃っている。とりあえず近いうちに特別ルールを訳して、実プレイまでこぎ着けたい。