GTS(Grand Tactical Series)第4作「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches(以下TGD)」(1944年6月のノルマンディ上陸作戦~上陸後一週間のイギリス軍戦区を扱う)はまだ未購入だが、N村氏がカウンター(総数約2800!)をすべて切り、FORGER氏と対戦に漕ぎ着けたうえ、ありがたいことに練習プレイにも誘っていただいた。ということで昨日、秋葉原イエサブにて「TGD」に初めて触れることができた。GTS基本ルールもver2.0に変わっており、そのあたりの感触も確かめつつ、である。
まずはN村氏+FORGER氏インストのもと、練習シナリオ「The Black Baron」をHA氏と対戦。こちらはドイツ第101SS重戦車大隊のエース、ミハエル・ヴィットマン中尉の活躍で名高い1944年6月13日のヴィレル・ボカージュ戦を模したミニシナリオである。道路上にずらりと並んだイギリス第7機甲師団第22機甲旅団に対し、ヴィットマン中尉指揮のティーガーI半個中隊と、同じく第101SSのティーガーI中隊が攻撃を仕掛ける形で、わずか1ターンのみだ。チット順も、(第101SSが所属する)第12SS装甲師団チット、ドイツ軍直接命令チット、イギリス第7機甲師団チットの順で活性化するよう決められている。
GTSでは基本、活性化したユニットは移動や射撃などの1アクションを行い、指揮範囲にあれば追加Commandポイントを払うことによって二度目の活性化=第2アクションが行える(ただし第1アクションと同じ行動は行えない)。
ところがヴィットマン中尉に関しては、登場した瞬間に4アクションが可能で、しかも同じアクションをしても良いという。つまり射撃を4回行っても良いわけだ。さらに部隊練度チェックも自動成功するそうで、まさにヴィットマン無双!状態である(ただしシナリオでヴィットマン中尉マーカーが使えるのは1ターンのみ)。
今回はGTS初心者のHA氏にドイツ軍を受け持ってもらったが、さすがヴィットマン、鬼のように凶暴な射撃を連発し、次々イギリス軍ユニットにダメージを与えていく。
ところがヴィットマン中尉、M3ハーフトラックに乗ったイギリス軍歩兵ユニットを強襲(同一ヘクスに進入して互いに撃ち合う)した際、小火器射撃を受けて2Cohesionヒットをくらってしまった。ティーガーIユニットの装甲値-5は、被弾率を50%下げるほど頑丈なのだが、そこはGTS。どんなに不利な射撃でも、10面体ダイス目「0」が出れば何らかの被害が生じてしまうのだ。ヴィットマンが駆るティーガーIは、1ステップしかないため、3ヒットをくらうと除去されてしまう。あわてて2アクションを使って回復したが、さらに小火器射撃で1ヒットを受け、恐るべきイギリス歩兵の逆撃をくらう格好となった(つまりイギリス軍担当の自分が射撃ダイスで「0」を3回出した)。
一応、シナリオ勝利条件であるイギリス軍4ステップ除去は達成し、213高地ヘクスの占領も達成したため、ドイツ軍勝利(最後にM3スチュアート戦車が213高地に滑り込もうとしたがあえなく制圧)。しかしヴィットマンの意外な不甲斐なさに「こいつ偽物では……」との声も上がったり。
気を取り直して、同じくヴィレル・ボカージュ戦を扱った導入シナリオ「Day of the Tiger」(ハーフマップ、4ターンのみ)を対戦。担当は同じく自分がイギリス軍、HA氏がドイツ軍である。
シナリオはまずイギリス第22機甲旅団が盤端から登場し、ヴィレル・ボカージュと213高地に入る所から始まる。今回はその後、連合軍直接命令チットが引かれたため、歩兵は街中と高地に下車したが、この状態が初期配置のようなものである。
次に第12SS装甲師団チットが引かれると、先ほどのヴィットマン中尉+ティーガーI中隊✕1.5個が、イギリス軍ユニットのいないヘクスに忽然と現れるという恐ろしいシナリオなのだ。先に書いたようにヴィットマン中尉マーカーは1ターンのみで消えてしまうが、それでも射撃に適した位置に現れるや、またも鬼のような連続射撃でファイアフライ戦車中隊を1個除去、1個制圧、1個にヒットを与えた。ドイツ軍は213高地を守っていたイギリス歩兵も全滅させたが、森ヘクスの故に、ティーガーI中隊も縦隊(火力が落ち、撃たれやすくなる)にならねば進入・占拠はできず、しばらく空いたままとなった。
これに対しイギリス第22機甲旅団は、ヴィレル・ボカージュの街に籠もる歩兵に陣地を築かせ、後方に控えていたファイアフライ戦車中隊ユニット✕3に射撃や視認に不利なRidge地形を迂回させ、213高地の北側へ送り込んだ。
またイギリス軍は、ティーガーI中隊に隣接しながらも運良く生き残ったファイアフライ中隊とM3スチュアート中隊、さらに3ヘクス先のM10駆逐戦車でちくちくと射撃を繰り返した。しかしRidgeヘクスに陣取ったティーガーIは堅く、ファイアフライ中隊が中隊ボーナスを得て火力を2上げて隣接ヘクスから射撃しても、当たりは10面体ダイス「1」以下である。無論、M3スチュアートと3ヘクス離れたM10駆逐戦車に至っては、当たり目「0」のみ。もう「0さえ出ればいいんだ0出れば」精神で撃つしかないのだが、これが意外と当たってしまい、ティーガーI中隊に2ヒットをくらわせた。
当然、ティーガーIも猛反撃。逆にこちらの射撃は「ダイス目9さえ出なければ中隊ボーナスが入って火力+2」「ダイス目9さえ出なければ当たり」「30%の確率で一発で戦車1個中隊が吹き飛ばせる」ほどの威力なのだが、まず成功するであろうダイス判定なので、Commandポイントを支払って自動成功させるまでもない……という時に限って絶対失敗の「9」が頻発した。おかげで貧弱なM3スチュアート中隊がいつまでも生き残り、ティーガーIの注意を引き続けてくれた。
今回はルール間違いもあったので、3ターンまで進めてゲーム終了。一応ドイツ軍はまだ213高地に入れていないが、増援のIV号戦車、対空砲車輌中隊も来ており、イギリス軍の苦戦は必至である。
まあ練習・導入用シナリオとして「The Black Baron」も「Day of the Tiger」も非常に面白いと思う。ヴィットマン中尉にしろヴィレル・ボカージュ戦にしろWWII戦史ファンには馴染みだろうし、無双ルールもばかばかしくて良い(褒め言葉)。
またGTSver2.0についても、ずいぶんver1.0とは変わったなあという印象だ。目についた点をざっと上げると、強襲手順(勇敢チェック必須、3ラウンド制から2ラウンド制に)、独立部隊の活性化方法(各指揮官に活性可能な独立ユニット数値が記されるようになった)、射撃修整値、盤上からの間接砲撃禁止などなど、細かいマイナーチェンジばかりだが、このver2.0をそのまま「The Devil's Cauldron」「Where Eagles Dare」「No Question of Surrender」には適用できないと思う。やるならユニット数値の見直しも必要になるだろう。
そのためOCSのように基本ルールがバージョンアップされたからといって差し替える必要はなく、旧3作はそのままGTSver1.1で遊び、本作以降はver2.0で遊ぶという、並行して存在する形になるはずだ。近々再版される「The Devil's Cauldron」が特に変更点も無くGTSver1.1を添付されて発売されるのも、そういう意味なのだ。自分も来年は本作を手に入れ、GTSver2.0の研究を深めていきたい。
※ゲームを提供してくださったN村さん、インスト役のFORGERさん、ありがとうございましたm(_ _)m