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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」To the Sea Solo-Play AAR

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昨日に続いて「The Greatest Day: Sword, Juno, and Gold Beaches」の「To the Sea」シナリオをソロプレイしてみた。この導入シナリオは、D-Day当日の夕刻に行われたドイツ第21装甲師団の反撃を扱っている。史実では、ブロニコウスキー大佐率いる戦車隊が海岸へ向かう途中でイギリス軍の射撃を受けて被害甚大、という結果に終わったがさてどうなるか。用いる地図盤はハーフマップサイズ、1700時ターンに始まり1900時ターンに終わるため、2ターンのみのシナリオだが、ドイツ軍は2個戦闘団+海岸防備部隊、イギリス軍は2個歩兵旅団+1個戦車旅団+コマンド部隊+海軍と、結構な戦力が集まっているため、プレイのし甲斐はありそうだ。

6月6日1700ターン時点で、ソード海岸に揚がったイギリス第50歩兵師団先鋒は、すでにヴィエヴィル(Bieville-sur-Orne ヘクス37.022近辺)まで進出している。しかしヘクス29.013の海岸砲台とStp17陣地が落ちておらず、海岸線のWn21、Wn24陣地も健在のため、隣のジュノー海岸とは連結できていない。

ドイツ軍の第一勝利条件は、この海岸線に沿って走る連絡道路Aの確保だ。幸い海岸へ通じるマップ西側の道路はいまだドイツ軍の勢力下にあり、早速最初のチットとしてRauch戦闘団のフォーメーションチットを選択。38(t)対空戦車中隊を一気に海岸の連絡道路Aまで突っ走らせ、道路の打通を狙うイギリス軍コマンド部隊の前に立ち塞がらせた。その他のRauch戦闘団ユニットも同時に北上。交通の要になりそうな47.015、46.015の尾根(Ridge)あたりを確保した(その代わり第二勝利条件のペガサス・ブリッジ奪取は諦めた)。

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続いて第21装甲師団チットが引かれたので、イギリス軍先鋒が籠もるヴィエヴィルへ攻撃開始。まずは面倒そうなシャーマン・ファイアフライ弾幕を張り、IV号戦車中隊✕3が尾根越しに射撃。さらに弾幕の目つぶしが効いているうちにと、捕獲フランス戦車中隊も間合いを詰めたが、これらの攻撃がさっぱり当たらない。それでもドイツ軍は、一応イギリス歩兵中隊1個を除去し、ヴィエヴィルを包囲する形に持ち込んだ。

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こちらが1700ターン終了時。イギリス第50歩兵師団は、海岸砲台、陣地の攻略を進めつつ、ペガサス橋とヴィエヴィルの間隙を埋めるため、第1ノーフォーク大隊、第2ワーウィック大隊(黄色い帯ユニット)を前線に上げている。これら紫火力のイギリス軍ユニットは、師団チットの第1アクションでも射撃可能なので、できるだけ敵に隣接させた方が良いと思って。

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またヴィエヴィルに居る第27独立機甲旅団のシャーマン・ファイアフライは、ドイツ軍から猛射を浴びたものの、無傷でこのターンを乗り切っている。

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こちらが1900ターン終了時。ブロニコウスキー戦闘団は、なんとかファイアフライ中隊1個を撃破し、ヴィエルヴィルの街中へ擲弾兵中隊を突入させた。すでに砲撃で制圧されていたイギリス軍歩兵中隊が強襲で除去され、対戦車砲も下車・展開する間もなく昇天。ヴィエヴィルはドイツ軍の手に落ちた。しかしペガサス橋~ヴィエルヴィル間の平原では、III号戦車中隊がM4シャーマンと歩兵の共同攻撃によって除去されている。またイギリス軍は、ヘクス29.013の海岸砲台とStp17陣地双方を落としており、そちらの部隊も夜間のうちに前線に向かってくるのだろう。

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こちらは海岸へ向かう西側道路の争奪戦。史実ではイギリス第9歩兵旅団長がD-Day当日に戦死したため、こちらに配置された第9歩兵旅団ユニットにも指揮官が無く、ほぼ何も出来なかった。しかしやはり史実通り、この戦区に配置された第20対戦車連隊のM10駆逐戦車が大活躍。Rauch戦闘団の装甲車、自走迫撃砲を次々に一発除去し、組織的な抵抗を粉砕した。

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結局、コマンド部隊は連絡道路Aの打通ならず、ドイツ軍勝利となった。海岸縁のWn21陣地は、写真では制圧されているものの、あと1損耗打撃をくらえば除去、という所で生き残ったのだ。コマンド部隊がいる陣地周辺ヘクスにはドイツ軍の地雷原があり、そこから飛び出してWn21を強襲するには、地雷原脱出チェックに成功せねばならず、これに失敗するユニットが続出し、全力では攻めきれなかった。

ちなみに艦砲射撃は、戦艦2、モニター艦1、巡洋艦4、駆逐艦3と豊富にあったものの、一番強力な戦艦とモニター艦に一度も無線が通じないという残念っぷりである。

たった2ターンのシナリオとは言え、やはり処理するチット枚数が多いため、十分な遊び応えがある。双方ともに複数指揮官を持つため、GTS2.0での独立ユニットの使い方(なるべく複数指揮官の指揮範囲にまたがるように配置する)を覚えるには良いと思う。地雷やコマンド部隊のルールも覚えられるし、今回は使わなかったが、後衛や対砲兵射撃もあり得るし、良い入門シナリオかと。