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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「Strike-Counter Strike」Brawling (Main Battle Scenario) Solo-Play AAR

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先日届いた「GTS Briefing vol.1」付録「Strike-Counter Strike」の専用ルールと背景記事も翻訳完了。早速、主戦闘シナリオである「Brawling」をソロプレイしてみることに。

シナリオの筋書きとしては、1944年11月23日にドイツ教導装甲師団が2本の攻勢軸(第901と第902装甲擲弾兵連隊+IV号戦車2個中隊+V号パンター戦車2個中隊)をもって攻撃を仕掛けたものの、アメリカ軍騎兵グループの遅滞行動によって阻まれ、初日の戦闘は終了。教導装甲師団は、さらに2日目の攻撃を再開しようとしているが、すでにアメリカ軍戦線の背後には第44歩兵師団の増援に加えて、第4機甲師団の先遣部隊も到着しており……という攻勢2日目朝からの戦闘を扱うことになる。

そのためシナリオ配置は、ご覧のようにドイツ軍が押せ押せの状態からスタートすることになる。実はアメリカ軍とドイツ軍の配置範囲がカブっているので、アメリカ軍ユニットをもっと前倒しにも配置できるが、そうするとドイツ軍にビタ付けされる状態から始まってしまい、それはそれでどうなんだと。一応、本作は規模的にはGTS入門者向けだが、初期配置はGTSのベテランでもちょっと悩まされるかも。

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ドイツ軍西側の攻勢軸を担う第901装甲擲弾兵連隊+IV号戦車2個中隊は、史実通り、BaerendorfからRauwillerへ向かっている。前述の通り、アメリカ軍M8グレイハウンド装甲車、M5A1スチュアート軽戦車はIV号戦車にベタ付けされているが、配置範囲的にどうしようもない部分もある。しかしこのドイツ軍の右側面(画像では左)から、アメリカ第4機甲師団が攻め込んでくるはずなので、防御用の88mm砲半個中隊をどこに配置するか、考えておかないと……

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一方、ドイツ軍東側の攻勢軸、第902装甲擲弾兵連隊+V号パンター戦車2個中隊も、史実通り、WeyerからShalbachへ向かっている。こちらも目の前の騎兵グループは潰せるかもしれないが、この後、アメリカ第44歩兵師団+第776駆逐戦車大隊と相対するはずなのでどうなることやら。

さて第1(11月24日0700時)ターン。最初のチットは教導装甲師団と決まっているが、これがまず派遣(Dispatch)ダイスで最良の「0」を叩き出し、早くも派遣ポイント3を獲得。やる気満々である。続くチットも、ドイツ軍直接指揮、第901装甲擲弾兵連隊、第902装甲擲弾兵連隊と、まさにドイツ軍の押せ押せ状態。正面ではV号パンター中隊が一撃でM8装甲車中隊を吹き飛ばし、IV戦車中隊はもちろん、擲弾兵中隊まで通常射撃でアメリカ軍騎兵グループに損耗を与えつつある。増援の1個大隊はKirrberg正面に展開。またアメリカ第4機甲師団の来襲に備えて、88mm、20mm砲半個中隊も防備に就いた。

続くチットでアメリカ第4機甲師団の先遣部隊、タスクフォース・チャーチルが登場。これがKirrbergの支援に駆けつけ、さらにアメリカ軍直接指揮チットでM4A3シャーマン2個中隊がドイツ軍射撃ゾーンにも突入。M7プリースト自走砲の支援砲撃も加えて、ドイツ軍右翼を牽制した。そして最後までアメリカ第44歩兵師団チットが引かれなかったため、このターンは何もできず、翌ターン最初のチットとしてプレイされる。おかげでこのターンに来るはずだった第44歩兵師団の増援展開が遅れるハメに……

第2(0900時)ターン。今度は逆にアメリカ軍が、第44歩兵師団チットに続いて、第4機甲師団B戦闘団(CCB)チット、第4機甲師団チットと連続活性化。タスクフォース・チャーチルはKirrberg正面に展開し、M4A3シャーマン中隊がSdkfz251/9シュツンメル75mm自走砲装甲車を撃破。さらに後続のタスクフォース・ジャックスは地図盤中央のRauwiller付近まで進出した。

対するドイツ軍も、Weyer付近のアメリカ軍ユニットを一掃して、その戦線に大きな突破口を開け、Schalbachへ向けて前進。このターン増援の装甲偵察大隊もこの突破口へ投入し、戦果の拡大を狙っている。そちらにはアメリカ第44歩兵師団の2個大隊が急行しているが、増援が1ターン遅れたため、まだ防備は固まっていない(陣地に入っていないの意)。そして最後まで引かれなかった第901装甲擲弾兵連隊チットが、翌ターン送りに。

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第3(1100時)ターン。このターンは、両軍ともフォーメーションチットを入れ合い、激戦の予感。まずKirrberg方面では、戦車支援の無いドイツ軍が大苦戦。間接砲撃とM4A3シャーマン戦車からの直接砲撃によって早くも1個擲弾兵中隊が除去された。射撃ゾーンを形成する20mm砲も弾幕によって制圧され、88mm砲の射界にはさすがにアメリカ軍も入ってこない。

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Baerendorf村ではいまだに騎兵グループが踏ん張っているが、他の騎兵ユニットはあらかた除去されてしまった。しかしHirshland村に入ったSdkfz251/9は、M18ヘルキャット駆逐戦車に撃ち込まれ半壊。

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またアメリカ軍タスクフォース・ジャックスのM4シャーマン戦車中隊は、先手チットを活かして、まだ縦隊状態だったドイツ軍装甲偵察大隊を砲撃し、Sdkfz250/8中隊を一発撃破。負けじとドイツ軍も、V号パンター戦車中隊を前進させ、増援で来たばかりの第776駆逐戦車大隊のM18ヘルキャット駆逐戦車中隊をこれまた一発撃破。

しかし両軍とも、いきなりの激戦で直接指揮ポイントを消費しまくり、派遣ポイントも払底しと、早くも師団全体としては息切れ状態に陥っている。

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第4(1300時)ターン。教導装甲師団と第44歩兵師団は、なけなしの派遣ポイントを消費してそれぞれフォーメーションチットを投入。Kirrberg、Baerendorf方面では大きな進展は無く、撃ち合いに終始した。

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Drulingen以東では、ようやくドイツ軍がアメリカ軍騎兵グループを駆逐して前進。V号パンターも2個中隊がかりでM4A3シャーマンと撃ち合っているが、まだそれを除去できていない。教導装甲師団もこの時点で指揮・派遣ポイントが0になったので、今回のソロプレイはここでお開きとした。

シナリオとしては、このサヴェルヌ峡谷での戦闘のクライマックスだけを切り取っているので、いきなり本格的な戦闘を味わえるのが良いなと。ただ、指揮・派遣ポイントが全然足りず、2日間の戦闘としてどうそれを配分するかが悩ましい。まあ、それはどのGTSシナリオでも同じだろうけど、初日の攻勢をどこかで切り上げ、指揮・派遣ポイントの回復に入り、翌日により継続的な戦闘を目指すのかもしれない。そういう意味では、GTSの戦闘システムだけでなく、2日間の師団マネジメントまで習得できるんじゃないかなと。個人的にはかなり好感触。時間があれば戦闘2日目まで進めてみたい。