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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Grand Tactical Series】「Race for Bastogne」''Hold Your Position at All Costs'' Scenario Solo-Play AAR

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先週届いた「GTS:Race for Bastogne」のルールを超特急で翻訳。頼むから同じ月にBCS(Battalion Combat Series)とGTS(Grand Tactical Series)の新作出すとかやめてくれ(^_^;)

とりあえず連休中に味見をしておこうと、シナリオ3「Hold Your Position at All Costs」をソロプレイすることに。このシナリオは、ドイツ軍がアルデンヌ攻勢を開始し、アメリカ第28歩兵師団第110連隊が守るクレルヴォーを攻めるという、キャンペーン序盤を扱っている。かつてTCS(Tactical Combat Series)でも、同じ題材の「Bloody 110」という作品が発表されていた。

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シナリオは、アルデンヌ攻勢が開始される、1944年12月15日夜間ターンから始まる。こちらは、ドイツ第26国民擲弾兵師団の先遣部隊で、すでにウール川を渡り、ホージンゲン周辺に陣地を築いたアメリカ軍の前線に近づいている。

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その北では、ドイツ第2装甲師団の先遣隊、Cochen戦闘団が、やはりウール川をフェリーで渡河し、マールナッハからクレルヴォーへと連なる一級道路を打通せんとしている。ちなみにこのCochen戦闘団、本来は自動車化歩兵中隊で構成されているが、まだウール川を車輌が通れないため、渡河する前に東岸で輸送車輌を放棄し、徒歩部隊として西岸に渡ってきている。ただ、ドイツ軍側の地図盤東端から、川を越えて道路による経路が確保できれば、再び車輌を装備して、自動車化歩兵に戻れる。そのためこの部隊は、徒歩、自動車化、2種類のユニットが用意されている。

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一方、守るアメリカ軍第110歩兵連隊の一部には「活性化無し」マーカーが置かれている。こういった部隊は、史実に基づいたタイミングか、ドイツ軍が接近してきたタイミングで活性化を解除される。

この「GTS:Race for Bastogne」では、史実イベントが発生するターンでは必ず発生し、実際に降伏した第110歩兵連隊も、12月20日1500ターンをもってすべて除去される。また12月22日夜間ターンには、降伏を勧められた第101空挺師団が「Nuts !(ふざけるな!)」と返答し、部隊練度が1上がるなど、史実に沿うような展開に誘導されている。

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ではソロプレイ開始。まずは1944年12月15日夜間ターン。ドイツ軍は、第26国民擲弾兵師団活性化チットを最初にプレイするチットとして選択。そしていきなり派遣ポイント決定ダイスで0を振り(最良)、やる気を見せている。夜間のため移動は鈍いが(移動コストが倍)、第26国民擲弾兵師団の先遣隊は、アメリカ第110歩兵連隊の最前線、ホージンゲンへ接近した。夜間なので火力も2低下しているが、GTSの場合「どれほどダイス修整が不利でも10面体ダイスを振って0が出れば命中」なので、とにかく数撃ちゃ当たる式に、ホージンゲンの陣地を攻撃。運良く、間接砲撃で0が出て、アメリカ軍は1ステップロス。さらにドイツ軍は強襲をかけ、ここでも運良く0を出してアメリカ軍中隊を除去。早くもホージンゲンの街を奪った。

しかし北を進むはずの第2装甲師団チットは、最後までカップに残っていたため、この夜間ターンでは活性化できず、次ターンの最初のチットと相成った。

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明けて12月16日0700時ターン。史実の天候を採用しているので、天候は曇天、霧。視界は2ヘクスに制限され、移動コストが1増加。火力と強襲力は1低下している。

ドイツ第26国民擲弾兵師団は、またも派遣ポイント決定ダイスで0を振り、やる気満々。師団右翼の第77擲弾兵連隊(77.Gren)フォーメーション活性化チットを購入し、ホージンゲンの西に陣取るアメリカ軍工兵中隊に襲いかかった。ここでも間接砲撃が0命中を叩き出し、アメリカ軍工兵は一発でステップロス。その後は歩兵部隊が強襲をしかけて、この工兵中隊も除去した。

0900時ターンも霧。この天候状態では本格的な攻撃は難しいため、両軍ともあえてフォーメーション活性化チットを購入せず、自動的にカップに入れる師団チットだけで、戦線の調整に。GTSではままある、お休みターンというか、次の攻撃のお膳立てターン。第2装甲師団の工兵中隊は、アメリカ軍の間接砲撃に晒されながらも、クレルヴォーへ向かう一級道路に設置された地雷原を除去。第26国民擲弾兵師団も、後方の砲兵隊と連絡をつけている。

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1100時ターン。ようやく霧も晴れ、通常通りの移動、戦闘が可能に。ある意味、ここからが本番。ドイツ軍としては当然のようにフォーメーション活性化チットを購入して本格的な攻勢に移りたいが、いきなりランダムイベントで第26国民擲弾兵師団第39連隊の指揮官が死傷し、代理指揮官(指揮能力が低下する)に交替。そして指揮官が死傷したフォーメーションは、そのターン、フォーメーション活性化がキャンセルされるため、せっかく購入してカップに入れたチットが無駄に……。それでも第26国民擲弾兵師団は果敢に前進し、アメリカ軍と間接砲撃を撃ち込み合い、いかにもGTSな盤面になってきた。

またアメリカ軍は、後方で「活性化無し」とされていたM4シャーマン戦車中隊2個がその制限を解除され、前線へ到着している。こういった確定している史実イベントがいつどうなるかは、一応、プレイヤーの頭に入れておいた方がいいと思う。

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1300時ターンは、天候状態は良くなったものの、両軍とも派遣ポイントが枯渇し、フォーメーション活性化チットが購入できず、またも小康状態。

1500時ターンは、史実イベントとして、ウール川の2つの橋(DasburgとGemund)が開通。これにてドイツ軍は、自動車化/機械化部隊をウール川を越えて送り込めるようになった。またアメリカ軍は、ドイツ軍が接近していた砲兵集結地Aを解散して、後方に避退させた。しかしGTSも長年プレイしてきたが、敵が近づいてきたから砲兵集結地を解散するなんて局面は初めてだったので、あらためてどのタイミングで解散するのか、ルールを読み直してしまった。

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そしてこのターンも、ドイツ軍は派遣ポイントが枯渇し、フォーメーション活性化チットが購入できなかった。それでも第26国民擲弾兵師団は、指揮ポイントを使い切る形で、アメリカ軍迫撃砲陣地、歩兵陣地、M16自走対空砲へ強襲をかけ、そのすべてを除去した。12.7mm機関銃×4を装備したM16自走対空砲「ミート・チョッパー」に生身の歩兵が攻めかかるのは恐ろしいものがあったが、事前に迫撃砲でステップロスを与えた上での決行だった。

しかし失敗したのは、Gemundの橋近くの道路障害をまだ撤去していなかったこと。そのため、このターンの増援である2個フォーメーション(そのうち1つは教導装甲師団から増強部隊)が地図盤に入りきらなかった。ここは次回のプレイでは気をつけよう。

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第2装甲師団もマールナッハを占領。このターンの増援である、装甲車両を伴ったvon Bohm戦闘団もDasburgの橋を渡ってすでに前線に到達している。

そして西ヨーロッパの冬は日が落ちるのが早く、これにて日没。次は夜間ターンとなる。今回はあくまでシナリオの味見なので、ここでソロプレイを終えることにした。

とまあ、ここまでの展開は地味目だが、実質的なプレイ範囲はフルマップの半分程度なので、規模的にはプレイしやすい。今回は第26国民擲弾兵師団の派遣ポイントがやたらと増えたので、フォーメーション活性化チットを注ぎ込んで攻勢をかけられたが、平均的なプレイとしては、ここまで順調にはいかないかも。そして明日17日以降が第2装甲師団、教導装甲師団による突破戦闘になるので、そこまでプレイしたいなら、時間をかける必要があるし、夜間ターンから始まったり、フェリーを使ったりと、そのあたりのルールも最初から目を通す必要もある。

連休中に、もうひとつシナリオを味見できるかな?