Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【戦国群雄伝】Game Journal #87「新信長風雲録」

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新刊「ゲームジャーナル」87号が到着。今号の付録は、ツクダ戦国群雄伝シリーズでまだ再版されていなかった「信長風雲録」(1988年発売)のリメイク版「新信長風雲録」。なんと35年ぶりの復活である。長生きはするもんですな。しかしこれまで再版されたゲームジャーナル戦国群雄伝は、(グラフィック面はともかく)基本オリジナル作に沿った形だったが、今作に限っては地図盤やユニット評価も見直され、シナリオも改訂されているようで、旧版とはほとんど別物になっている。旧作に含まれていた桶狭間シナリオも省かれ、畿内を中心とした織田信長vs浅井・朝倉の戦いに絞られている。いや個人的には、この35年間の間に発掘された史実的情報を加味してリメイクしてくれるなら、それはそれで嬉しいし大歓迎。とは言え、2000年に発表されたコマンドマガジン36号「信玄最後の戦い」(信玄上洛のリメイク版)はあまり好きになれなかったので、今号付録もどうなのかな……という微妙な思いはある。

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地図盤は旧作同様、畿内から東海地方が描かれている。

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しかし旧作の地図盤から比べると、とにかく城が増えている印象。

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畿内も、安土城が追加されたり、野田福島城の位置が変わっていたり。

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伊勢志摩、紀伊方面の城も増えているが、このあたりは近畿在住のウォーゲーマーさんや、お城に詳しい人に任せます(^_^;)

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ユニット評価については、まず織田軍から。旧作では織田軍の大将クラスはすべて行動力4(最良)になっていたが、本作では織田信長(★★214)と木下秀吉(★214)のみが行動力4で、他の佐久間信盛(★213)、柴田勝家(★233)、丹羽長秀(★223)、瀧川一益(★223)などはすべて行動力3に格下げされている。これはCMJ36「信玄最後の戦い」でも見られた改訂で、個人的には、働き者の秀吉が信長に可愛がられ重宝されているイメージで面白いなと。そして旧作で織田軍最優秀の大将だった明智光秀は、旧作の★334から★223に下げられた上、足利義昭の家臣に設定変更。これも時期的に見ればそうなのだろう。そして徳川家康は引き続き★★334で、信長にとって頼れる相方になっている。

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対する浅井・朝倉連合軍は、もっと激烈に数値が改訂されている。朝倉義景は★★302から★★203へ格上げされたが、それでも頼りない。しかし配下の朝倉景鏡と景健は、ともに★302から★☆224へ特進。準総大将として合戦の指揮も執れると。

また浅井長政も、★★333から★★234へ格上げされ、信長&家康の行動力4コンビと互角になっている。本誌掲載のデザイナーズノート(福田誠氏)、デベロッパーズノート(近藤友樹氏)を読むと、当時の浅井・朝倉軍の戦略的奇襲効果を表すためとなっているし、それはそれで納得。CMJ36「信玄最後の戦い」では、織田軍武将の行動力を下げると同時に、武田信玄の行動力も格下げされたため、何かこう、信玄の怖さみたいなものが伝わってこなかったが、ここまで互角にされれば、織田徳川プレイヤーにも緊張感が出るだろうし、浅井朝倉プレイヤーにも希望があるんじゃないか……と思ったり。

 

基本ルールは、GJ版「秀吉軍記」バージョンという現行最新版なので、それであらためて畿内の戦いに挑めるのも楽しみ。シナリオは5本あり、志賀の陣、姉川の戦い、それを含む元亀元年キャンペーンの他にも、対六角・三好三人衆シナリオもあり。まあ、どうせプレイするなら元亀元年キャンペーンはやっておきたいなと。

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ちなみに、こちらが35年前に購入した旧ツクダ「信長風雲録」。ただしこれ、我が家ではあまりプレイされなかった。と言うのも、当時我が家では友人2人と、3人がかりでウォーゲームをすることが多く、むしろメンツを集める方が難しい「関東制圧」3人戦とか「九州三国志」3人戦シナリオばかり遊んでいて、純粋に2人向けだった「信長風雲録」の出番はあまり無かったのだ。いや、もしかしたら無理矢理、第3のプレイヤーとして一向一揆雑賀衆を分担していたような気も……なにしろ35年前なので記憶が曖昧……とりあえずこの新版をプレイして、新たな思い出を作ってみよう(^_^)

ちなみにゲームジャーナルからは、9月にツクダ「激闘関ヶ原」も再版されるそうだし、福田誠氏のデザイナーズノートによれば「戦国の一番長い日」(戦国群雄伝関ヶ原キャンペーン)やオリジナル企画、さらに新システムの戦国群雄伝も模索されておられるようなので、引き続きいろいろと期待したい……(^_^)