メルカリにて、機動戦士ガンダム(いわゆるファースト)のシミュレーション・ウォーゲーム「ニュータイプ (ソロモン攻略戦)」の中古品を購入。発売は1981年。もちろん当時、映画版三部作の公開に併せて発売されたゲームで、もう40年以上昔のシロモノになる。ツクダホビー製のガンダム系ウォーゲームとしては、最初に発売された「ジャブロー戦役(モビルスーツによる詳細な地上戦)」、2作目の「フォートレス(激戦ア・バオア・クー)(簡単なシステムで大規模な艦隊戦も可能)」に続く第3作目となる。
自分も当時このゲームを買ったし、この後もツクダ製のガンダム系ゲームはいろいろ購入したが、お金に困った時期にすべて売り払ってしまった。しかし地元の友人karter氏(Zガンダム大好きマン)から『しまった、売るんだったら俺が引き取れば良かった』と言われたので、そうか、売る前に相談すれば良かったなあ……と思っても後の祭り。そういう哀しい事情があったので、karter氏のためにもまた買い戻そうと。
そんな貧乏悲話はともかく、本作は「ファースト・ガンダム」のモビルスーツ、モビルアーマー同士の詳細な宇宙戦闘を扱っている。本作の続編として艦船の戦闘も追加した「ホワイトベース」という作品も発売され、そちらも当時購入したが、恐ろしく手間がかかる割に……という感想だけ記憶している(でも、いつかそちらも再入手するかも)。
地図盤は、縦長のハードボード盤が4枚。うち1枚には、ジオン軍の宇宙要塞ソロモンが描かれているが、本作では単なる雰囲気(フレーバー)に過ぎない。ただし後発の「ホワイトベース」を導入すると、この要塞ヘクスに固定砲台カウンターを配置して、迫り来る連邦軍艦船と撃ち合う……んじゃなかったっけ?(購入当時、実際そこまで大がかりなプレイはしなかったと思う)
本作は、言うなればモビルスーツ同士の宇宙での空中戦ゲームなので、1ユニットはモビルスーツ/モビルアーマー1機を表している。いや宇宙での空中戦って日本語としておかしいのだが、本作では高度という概念も導入されておらず、あくまで二次元の水平機動のみなので、空中戦にすらなっていない。なにしろ1981年当時、子供も遊ぶであろうガンダムゲームに三次元立体機動を強いるのは酷というものだし、それで正解だったと思う。しかし後のツクダ・ガンダムゲームではそれが導入されるのだが……
ツクダホビー製ガンダム系ウォーゲームの変遷という意味では、各モビルスーツ/モビルアーマーのカウンターには、それぞれの機体の後ろ立ち姿が描かれているが、このスタイルは本作(とホワイトベース)のみか。このグラフィック、購入した当時、ちょっと驚いたというか、違和感も覚えた。結局、後々のゲームではこの仕様は採用されなかったので、まあ、そういうことよね。
各モビルスーツ/モビルアーマーユニットには、白兵戦値、機動修正値(相手の攻撃を避ける)、装甲修正値、移動力、最小直進距離が記されている。上の画像で言うと、マグネット・コーティング・ガンダム(GDM)の最小直進距離は2ヘクスなので、恐ろしく小回りが効くが、ガンダムスカイ(GDS)(あったなそんなの)は最小直進距離14ヘクスと。
さらに本作では、パイロットと武装もそれぞれカウンター化されており、それぞれ搭乗した機体、装備した機体の数値を修正する形になっている。また主人公アムロ・レイのように、物語中でそのパイロット能力が進化していくキャラクターについては、複数のカウンターが用意されている。これも後発のガンダムゲームでは、機体データカードという形に変化していく。
こちらが連邦軍の皆さん。本作は映画版に併せて発売されたものの、どちらかと言えばテレビ版の再現に努めており、Gアーマーだのなんだのも収録されている。また映画版ではホワイトベースに2機搭載されていたガンキャノンも、カウンターは1機しか用意されていない。このあたりも続編の「ホワイトベース」で2機用意されたり、映画版のコアブースターも収録されていたはず。
こちらはジオン軍の皆さん。ザクレロの後ろ姿がかわいいと思うのは俺だけだろうか。本作はあくまでも宇宙戦闘ゲームなので、グフやズゴックなどは収録されていない。また「ジャブロー戦役」の追加ユニットとして、シャア専用ゲルググとギャンのカウンターが収録されている。
ゲーム手順としては、①両軍のパイロット回復、②先攻の移動、③先攻の攻撃、④後攻の移動、⑤後攻の攻撃、⑥両軍の被害確認、となっている。基本的には「I Go, You Go」的な単純な流れだが、一応、仮想的な同時進行なので、先攻側の攻撃によってモビルスーツが撃破されたとしても、すぐにユニットやパイロットを除去するのではなく、反撃するチャンスが与えられている。
本作にはデザイナーズノートの類いが付いていないので、制作陣の思惑はまったくわからないが(ツクダのオペレーション誌に載っていたっけ?)、撃破された側にも一応、反撃するチャンスが与えられているというのは、一方的にやられたら、想定プレイヤー層である小中学生が遊ぶ気をなくしてしまうことを意識しているのだろうか?
射撃は、命中判定、被害判定の二段式。まず射距離ごとに基本命中値が定められ、そこに個々の武装の当たりやすさ(命中修正値)、自機パイロットの技量(命中修正値)、自機の速度修正(速度が速ければ避けやすいが当てにくく、遅ければ当てやすいが当たりやすい)、目標機の当てにくさ(機動修正値)、敵機パイロットの技量(回避値)、敵機の速度修正、敵機をどの方向から攻撃したか(正面からは当てにくく、側面・後方からは当てやすい)を加味して、命中したかどうかをダイス2個振って判定する。
命中したら、その武装の火力が、射距離によって増減され(近ければ火力が増し、遠ければ減る)、被害判定表でまだダイスを2個振る。この時、ダイス修正として、敵機の装甲修正値、双方のパイロットの戦闘修正値を加味して結果を出し、撃破、戦闘不能、移動不能、兵器破壊、気絶といった結果になる。
白兵戦は、敵ユニットと同一ヘクスで行われ、双方の総白兵戦値(機体と武装とパイロットの白兵戦値の総合計)の差によって、接触戦、白兵戦という2つの解決表で結果を見る。
発売当時、中学生だった自分は、すでに「Squad Leader」にも触れていたので、この程度の修正はまあ慣れていたが、当時としては細かい部類のウォーゲームだったかなと(参考比:バンダイ系のウォーゲーム)。もちろん、機体ごとの特殊能力……ブロウブロやジオングのオールレンジ攻撃や、ビグザムの磁場バリアー、ギャンのシールドもルール化されている。
シナリオは、テレビ版に準拠し、アムロとシャアの初邂逅から、ルナツー脱出作戦、コンスコン強襲、ソロモン戦、対ビグザム戦、対エルメス戦、ア・バオア・クー戦等が用意されているが、自分とKarter氏は当時、好きなモビルスーツに好きなパイロットを乗せて、単なるドッグファイトを楽しんでいたような気がする。まあ、こうしてまた再入手したので、あまりヒストリカル・シナリオは遊ばず、好き勝手な組み合わせを楽しむんじゃないかな……