Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【全域戦場 Joint All Domain Operation】Package 01-A + DLC (台湾編・海空戦コアキット+追加カウンターシート)

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小さなウォーゲーム屋さんから、中国・上海のWar Drum Games(WDG)の新作「全域戦場 Package 01-A」とその追加カウンターシート「DLC(ダウンロード・コンテンツ)」3種を購入。本作は、英語タイトル「Joint All Domain Operation」とあるように、21世紀の戦争領域……陸戦、海戦、空戦、電子戦、サイバー戦、特殊部隊、弾道ミサイル無人機(ドローン)等を、まとめて表現しようとする意欲作シリーズの第1弾。21世紀の汎用ウォーゲーム・システムという意味では、デジタルゲームで言うところの「Command Modern Operations」のボード・ウォーゲーム版を狙ったようにも見える。

その汎用システム第1弾の舞台として選ばれたのは、台湾周辺地域。この「01-A」は、海空戦コアキットであり、ルールブックとしては、共通ルールである「全域戦場」海空戦ルールと、台湾周辺地域の特別ルールを含んだシナリオブックが入っている。ちなみに同梱されているルールは「Ver1.0」だが、すでにネット上では最新版の「Ver.1.05」が公開されているので、翻訳される方はそちらをどうぞ。

もちろんルールも中国語で書かれているので、自分も買うかどうか迷ったが、結局購入した後、Twitterで……じゃねえ、Xを通じて、WDGのGavinHuさんから「Chat GPT」での翻訳をオススメしてもらい、実際使ってみたところ、Google翻訳やDeePL翻訳とは段違いの精度だったので、すぐ有料版(毎月20ドル)のChatGPT4.0も申し込んでしまった。

すでにChatGPT4.0を駆使して、本作のルール、シナリオ、エラッタとルール改訂、DLCの追加説明と、ひととおり日本語化できたので、そこから読み取れた情報を基にご紹介してみよう。

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まずメインの地図盤には、中国沿岸、台湾本島、沖縄、南九州、フィリピン北部までが含まれている。1ヘクス=75km。台湾本島のミニマップもあるが、これは台湾本島のセルがユニットで混雑しないよう、海空戦マップにはレーダーユニット等だけを配置し、ミニマップには陸上戦ユニットを配置するようになっている。

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ちなみに本作では、固有の国名は表記されておらず、各陣営とも固有のアルファベットで呼ばれている。そのあたりもX経由で、アジアのウォーゲーム事情に詳しい田村寛さんに教えていただいた。

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カウンターシートは5枚。こちらは「T(台湾)」と「M(アメリカ)」軍ユニット。

海上ユニットは、6000~7000トン級の大型艦船1隻か、3000トン級の中型艦船2隻か、1500トン級の小型艦船4隻か、潜水艦なら1~2隻。1航空ユニットは、戦闘機12~10機か、支援機1~4機というスケール。

海上ユニットに記されている数値は、対艦火力と射程、防空射程、航続力(移動力)はもちろん、物理防御力、電子防御力、探知値(大目標と小目標)、探知距離、騒音値、データリンク能力の有無、レーダー断面積など、かなり詳細。また別紙にて、ミサイル等の残弾もチェックするようになっている。

航空ユニットにも、空戦力と射程、敵機の物理/電子防御力を下げる修正値、対艦/対地火力、物理防御力、電子防御力、航続力、探知値(大目標と小目標)、データリンク能力、レーダー断面積が記され、今までこのジャンルの有名タイトルだったVictory Gamesのフリート・シリーズを上回る芸の細かさ。

登場ユニットとしては、アメリカ海軍の空母ロナルド・レーガンアメリカ級強襲揚陸艦、F35BライトニングII戦闘機、E3Aセントリー空中管制機、MV-22Bオスプレイ、台湾軍のF16AB、ミラージュ2000戦闘機などに加え、無人機やミサイル、地上施設(レーダー基地等)もユニット化されている。本作のカウンターに含まれているかはわからないが、一応ルール的には、地下施設に対して地中貫通弾頭による爆撃を行えるようにもなっている。

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こちらは「Z(中国)」軍ユニット。空母遼寧山東はもちろん、軍民両用のRO/RO船、中国の最新戦闘機も登場している。特に第5世代戦闘機と呼ばれるJ-20戦闘機は、F35Bを上回る探知能力と空戦射程を持ち(先制できる)、DLCで追加されるF22ラプターとも探知値では互角、射程では上回っている。

このあたりの能力評価について、艦船マニア、軍用機マニアの皆さんはああだこうだと論じたくなるだろうが、我々が今まで見て来たウォーゲーム評価は、ほとんどがアメリカ人、日本人ゲームデザイナーの評価なので、ここでいったん中国人ゲームデザイナーの見解を見てみるのも面白いと思う。

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ちなみに箱に添付されている小さなカウンターシートは、エラッタの交換用カウンター。それもなんて書いてあるのか、読むのに苦労した……(^_^;)

1ゲームターン=4時間。順番としては……

 ・開始フェイズ(増援と再建)

 ・第1航空作戦フェイズ(航空哨戒と海上哨戒、艦隊探知、それに対する迎撃)

 弾道ミサイルフェイズ

 ・第1海上作戦フェイズ(航続力3の艦艇が移動、探知、水上/水中攻撃)

 ・第2航空作戦フェイズ(対地/対艦攻撃、機動防御、それに対する迎撃)

 ・第1陸上作戦フェイズ

 ・第2海上作戦フェイズ(航続力2以上の艦艇が移動、探知、水上/水中攻撃)

 ・第2陸上作戦フェイズ

 ・第3海上作戦フェイズ(航続力1以上の艦艇が移動、探知、水上/水中攻撃)

 ・維持フェイズ(航空機の帰還と整備)

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左から、艦船の発射基数表、ヒントカードと呼ばれる両面印刷の一覧表、そして艦隊カード(CAP/戦闘上空哨戒を示す)。

シナリオは練習用が8本(空中戦、対空射撃、対地攻撃、戦闘無しの艦隊移動、対艦攻撃、弾道ミサイル迎撃をそれぞれ学ぶ)、本格シナリオが5本(と言いつつ、1本は1ターンで終わる弾道ミサイルシナリオ)。まあ、とにかく21世紀の海空戦の要素が省略されずに全部入っているので、まずは練習用シナリオからひとつずつ確認してみたい……

……と、ここまでが「01-A」海空戦コアキットのおおざっぱな内容。今回はコンポーネントばかりの紹介となったが、ゲームシステムについてはいずれまた、練習シナリオをソロプレイする時にでもお伝えできればと思う。一応、ざっとルールを翻訳した限りでは、たしかに「All Domain」の名前通り、21世紀の戦争のさまざまな側面を網羅しているし、どれも省略していない。これがGMTの「Next War」シリーズだと、本来が陸戦ウォーゲームで、空戦は結構詳細だが、海戦はオマケ、サイバー戦や特殊部隊は後付け、というバランスになっているが、本作はどれも意欲的に取り入れている(本作でも、電子戦、サイバー戦は選択ルールだが)。その分、プレイ難易度は高くなってしまうが、21世紀の戦争にご興味のある方は是非触れていただきたいと思う。

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続いて「01-A」用の追加カウンターシート「DLC」その①、アメリカ海軍空母カール・ビンソン打撃部隊セット。つまり空母ロナルド・レーガンと併せて、アメリカ軍空母機動部隊が2つになると。こちらには、強化されたF35C+戦闘機も含まれている。

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続いて「01-A」用の追加カウンターシート「DLC」その②、グアム空軍部隊セット。グアム島アンダーセン空軍基地に駐留するアメリカ軍機が追加され、F22Aラプター、B-1B、B-2A、B-52H爆撃機、RQ-4Bグローバルホーク無人機の他、ターミナル高高度防衛システムTHAADも登場する。

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さらに「01-A」用の追加カウンターシート「DLC」その③、航空自衛隊、南西方面航空隊セット。数こそ少ないものの、F35JB、F-2AB、F-15J/JSI、PAC3等が登場する。

 

そしてさらに、この海空戦キットと連結できる、「01-B」陸上戦コアキットと追加カウンターシートDLCも購入してあるが、その紹介はまた後日……