Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】アザー・ガット「文明と戦争」(上下)

イスラエル歴史学者アザー・ガットの「文明と戦争」中公文庫版を購入。こちらもハードカバーの時から買おう買うまいか、ちらちらと視界には入っていたし、文庫化されても、うーん、でもホビー・ウォーゲームの参考文献としてここまでのモノが必要かなあ?などと思いながらスルーしてきたが、先日のサッポロ辺境伯さんとの「戦争の野蛮性」という話題から、だったら読んでみるかと入手。

先日の駄弁り会でも、野蛮な時代の戦争を、理知的な時代の自分たちがウォーゲームとしてプレイするという、齟齬のような感覚についておしゃべりしてきたが、その野蛮な戦争は現生人類(ホモ・サピエンス)のどこから生じたのか……という、非常に根源的なテーマを掘り探る内容になっている。

古代~近世にかけての会戦級というスケールで言えば、何万何千という兵士が決戦場で相まみえて、射撃戦や白兵戦で殺し合うのだけれど、支配者や指揮官たちはどのようにそれを強制していたのか、そして兵士たちも含めてそこにどのような動機を見いだしていたのか、ということも知っておくと、理知的な時代に生まれた自分が会戦級ウォーゲームをプレイする際にも、自分の中に眠れる、人類としての暴力性を(あくまでゲーム盤上で)解き放つカギになるかもしれない。