小さなウォーゲーム屋さんから、スペインのウォーゲーム雑誌「ALEA」40号を購入。この雑誌を購入するのは初めてで、付録ゲームは「Bailen 1808」なるナポレオン半島戦争の会戦級ゲーム。そもそもは1997年に発表されたボックスゲームの再版のようで、今回の付録版では、バタイユ・シリーズ同様、両軍の軍服を模したカラフルなカウンターになっている。一応「Shadow of the Eagle(ナポレオン帝国の翳り)」というシリーズで、以前にも半島戦争の会戦ゲームがALEA誌に付いてたり、2009年にはWargames誌にカトルブラの戦いが付録化されていたようだ(BGG参照)。
地図盤はハーフマップサイズ。この戦いは1808年7月、スペイン軍がバイレンの街を無血占領し、フランス軍・デュポン将軍の部隊を挟撃。デュポンの部隊は、三度に渡る突撃を敢行したものの失敗し、後から駆けつけたヴィーデルの部隊もろとも15000名以上のフランス兵が降伏し、フランス軍にとって半島戦争最大の敗北となった(しかも捕虜の大半がフランスに帰ることなく餓死)。これによってフランス全軍が後退し、翌月にはポルトガルにウェリントン公率いるイギリス軍が上陸、さらにその先でナポレオン御大がスペインに侵攻するという、半島戦争の分岐点ともなる戦いであったと。こういった、ナポレオン、ウェリントンが登場する以前の半島戦争は、TLNB(The Library of Napoleonic Battles)シリーズでも無視されているので興味深い。
ゲームスケールは1ヘクス=250メートル、1ユニット=歩兵大隊/騎兵連隊/砲兵中隊、1ターン=30分となっている。バタイユ・シリーズは、ユニット規模は同じなものの、1ヘクス=100メートル、1ターン=20分なので、バタイユよりやや大まかな戦術級、会戦級ゲームになる。
指揮官ユニットには戦闘修整、士気修整、戦闘ユニットには戦力、士気レベルが記され、移動力は兵科と国籍によって定められている。裏面は混乱状態。
ゲームターンは、命令、再編成(回復)、先攻・後攻決定、先攻プレイヤーの移動、防御射撃、攻勢射撃、白兵戦、後攻プレイヤーの以下同文、さらに士気阻喪判定、騎兵の疲労回復と続く。射撃戦はファイア・パワーで判定し、白兵戦は戦力比で判定するし、簡易版バタイユとも言えるようなシステムかなと。
ちなみにバタイユ・シリーズでも、このバイレンの戦いは「Print & Play(自分で印刷する)」方式でゲーム化されている。両方、遊び比べてみるのも面白いし、バタイユへの入門ゲームとしても機能しているかもしれない。
しかしスペイン製のゲームを買ったのは、2010年の「Tomb for an Empire」以来だなあ。それももう手放してしまったけれど、シリーズ化を謳いながらそれ一作で終わったという、なんとも頼りない結末だった。ゲームシステムは面白かったけれど、カウンターのデザイン等が見にくく(金地に金字は止めてくれ)、やはり日米製のウォーゲームのコンポーネントと比較すると完成度が低かったように思う。それに比べれば、この「Bailen 1808」はコンポーネント的にも及第点に達しているので、後はシステムとしてちゃんと動くかどうか、試してみなければ……