Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battalion Combat Series】「Valley of Tears」

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プレオーダーしていた戦術作戦級シリーズBCS(Battalion Combat Series)第6弾「Valley of Tears」が到着。BCSはこれまで第二次世界大戦の戦闘をテーマとしてきたが、今回はなんと第四次中東戦争が舞台。ちょうど開戦(1973年)から50周年にちなんで発売されたが、おりしも現実の中東世界では、ハマスイスラエルの戦闘が激化するという、なんとも気まずいタイミングでの発売となった。

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第四次中東戦争は、シナイ半島方面と、ゴラン高原方面で戦闘が行われたが、本作ではその両戦線を包括している。こちらシナイ半島戦線は、フルマップ3枚を連結して、地中海からスエズ湾に至る長大な戦線をカバーしている。まあ、長大とは言っても、今までのBCSと同様、1ヘクス=1マイル(1.6km)なので、かなり詳細に描画されていると。

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有名な激戦地、中国農場(と言っても、実は日本企業の支援によって建設された農業試験場。農場の看板だかチラシだかの漢字を見たイスラエル兵の勘違いによって命名)もこちらに。

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そしてゴラン高原編のマップは1枚に収まっている。シナリオとしては、両戦線を用いるフルキャンペーン、シナイ半島キャンペーン、ゴラン攻撃キャンペーンシナリオの他に、シナイ半島のマップ1~2枚だけ用いるシナリオが3本、ゴラン高原だけのシナリオが2本収録されている。

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カウンターシートは5枚、カウンター総数1400個。うち2/3がユニット系だが、こちらはイスラエル軍ユニット。当時の装備戦車は、アメリカ製のM-60、イギリス製のセンチュリオン戦車だが、さすが第二次世界大戦当時のBCS戦車能力値と比べると、超高性能に見える。練度(アクションレーティング)も高く、なかなか頼もしいが、1ステップしかない部隊も多々ある。

また本作では、今までのBCSでは見られなかった航空戦ルールも導入されており、F-4Eファントム、ミラージュIIIC、A-4スカイホーク等、航空ユニットも導入されている。

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こちらはシナイ半島方面に現れるエジプト軍ユニット。もちろんサガー対戦車ミサイル装備ユニットもあるが、ユニットの能力値だけ見れば、火力としては強力だが、射程は2ヘクス(3.2km)の防勢射撃能力(Limited AV)を持った対戦車砲といった感じ。しかしエジプト軍には一部、対戦車ミサイルを装備したBMP部隊もあり、そちらは攻勢射撃能力(Red AV)として急襲攻撃(Shock Attack)にも使えると。

他にもエジプト軍には、スエズ運河を渡る水陸両用部隊や、架橋フェリー部隊もあり、もちろんMig21等の航空ユニットも登場する。

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こちらはゴラン高原方面に現れるシリア軍。エジプト軍もそうだが、射撃値(Armor Value)7のユニットがT-54/55戦車装備らしく、射程としてもイスラエル軍戦車とは互角であり、アクションレーティングでやや劣る、といった程度。良い勝負だ。

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こちらには、サウジ、クウェートリビアアルジェリアイラク、ヨルダンといった部隊も登場。

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航空戦ルールはまだ詳しく読んでいないが、シナイ、ゴラン両戦線に航空ユニットを割り振り、さらに制空(Air Superiority)、敵防空網制圧(SEAD)、近接航空支援(CAS)、長駆深攻(Deep Strike)を行わせるという、なかなか凝った作りになっている。

フルキャンペーンの場合、開戦の10月6日から始めて、20日以降から停戦チェックを行い、場合によっては史実の停戦日(10月25日)を越えてさらに戦う可能性まで試せるようになっている。BCSとしても、航空戦という新ルールが導入されたので、それがどのように機能するのか、是非試してみたい。