Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

エポック/IED「三国志演義 コンプリート・エディション」

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かつてエポック社から発売された「三国志演義」(1986年)と「三国志演義エキスパンション・セット」(1987年)が、IED/国際通信社からまとめて「コンプリート・エディション」として再販されたので購入してみた。自分も発売当時から遊んできたタイトルだし、今でも機会さえあれば断らないゲームなので、懐かしいというより、単純に新版が出たのねという感じ。一応、9人までプレイできる三国志マルチゲームになっている。

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旧エポック版の地図盤では、上庸と長安の境界線にも山脈が描かれてしまい通行できない、というエラッタがあったが、こちらの新版ではちゃんと修整されている。

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9人プレイに対応した9色の勢力+中立勢力カウンターは、旧版の趣そのままに。

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そして本作の肝であり、華でもある、武将・文官カウンター。旧版では、君主の能力変化をキャラクターシートにペン等で書き込む方式だったが、新版ではカウンターを置いて管理する形になっている。このあたり、発売から37年(!)経ち、その間に進化・発展してきた一般ボードゲームの利便性が取り入れてあってありがたい。しかし文官カウンターのシルエットはみんな孔明みたいだな(全員羽根扇子持ち)。

もちろん旧「三国志演義」には武将カウンターしか収録されておらず、後に発売された「エキスパンション・セット」で文官カウンターが追加されたが、当時の生産コストという事情があったとは言え、やはりこうして武将・文官揃ってワンセットだよなと。

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イベントカードである「天命札」も、旧2セットからすべて収録されている。

ルールブックも、今風にカラーで解説されている。シナリオブックは別になり、収録シナリオは7本。官渡(199年)、成都入城(209年)など史実に沿ったシナリオもあるが、そういやそんなシナリオ、プレイしたこと無いな……と今さら気づいた(^_^;)

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実はまだ旧エポック版も我が家に残っている。たぶん「エキスパンション・セット」が発売された後、1987年以降にまとめて買ったんじゃないかな。自分の場合、10年ほど前にいったんウォーゲーム・コレクションを整理して、所有ゲームを50個以下にするという大ナタを振るったが、その大災厄を生き延びたというか、それでも手元に置いておきたかったぐらいにはお気に入りのゲームだった。いや、自分が好きというより、我が家に集まる地元の友人たちの方が三国志好きだったのだ。

ちなみに自分は、武将・文官カウンターの隅にボールペンで色をつけ、魏・呉・蜀に所属するキャラクターがすぐに判別できるようにしていた。しかしそんな準備をしていたにも関わらず、ヒストリカル・シナリオを遊んだ記憶がまったく無い。

我々はいつもシナリオ2「覇者への道」ばかり、ずーっと遊び続けていたのだ。このシナリオ2は、とにかく全武将・文官カウンターをごっちゃに混ぜてランダムに引き、オリジナル桃園の誓いによって滅茶苦茶な組み合わせの君主・家臣団を結成し、領土拡張戦をするという、自由すぎるシナリオなのだが、とにかく我々はこのシナリオにハマった。たとえば、最初の君主が夏侯惇で、最初の家臣が龐統袁術張飛、なんて組み合わせにもなったり、いやそれはまだマシな方で、どうでもいい能力値のキャラばかりで国作りを始めることになったり、そればかり楽しんでいた。ある意味、このゲームを歴史シミュレーションゲームとしてプレイしたことは一度も無く、ただ単に、キャラ物のファミリーゲーム的に遊んだことしかなかったと思う。しかし当時、その程度の軽さでプレイできる歴史テーマのマルチゲームも少なく、それはそれで貴重だったかなと。そして今こうして新版を手にしても、ヒストリカルシナリオをやる気はあまり無く、結局また、キャラクターごった煮シナリオをやるんだろうなと(^_^)

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ちなみに、これはちょっと贅沢なリクエストかもしれないが、当時のシミュレイター誌7号、9号に掲載された、デザイナー氏による武将・文官解説も再録してほしかったなと。

自分の場合、三国志にしろ戦国武将にしろナポレオン時代の将軍にしろ、いや第二次大戦の部隊や、戦車、軍用機、軍艦といったメカにしても、それぞれのウォーゲームにおいて付けられた能力値に関して、あまり不快に思ったことがない。たぶん、自分の中に、歴史上の人物や、部隊や兵器に関して、固定観念が無いのだと思う。だいたいは『ああ、このゲームの作者はそういう評価なんだな』と思うぐらいで、目くじら立てることもない。このシミュレイター誌の人物紹介にしても、作者から『真面目な三国志ファンの方、怒らないでください……ませ』とあるし、正直、自分もたいして三国志は詳しくないので、さほど思い入れが無い分、何の抵抗も無くプレイできたし、たぶん新版も、何の疑問も持たずに、また滅茶苦茶な桃園の誓いで盛り上がるんだろうなと(^_^;)