Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【全域戦場 Joint All Domain Operation】弾道ミサイル模擬演習ソロプレイ Ballistic Missiles Warning Exercise Solo-Play

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引き続き「全域戦場」海空編の検証プレイ。今回は、模擬演習シナリオ8「弾道ミサイル」編である。攻撃側中国軍は、台湾TP-3ヘクスにある、台湾軍FPS-115弾道ミサイル早期警戒システムの破壊を目的として、大陸からDF-11A短距離誘導弾を2ポイント発射する。短距離とは言っても、DF-11Aの射程は700kmもあるそうで、1ヘクス=75kmの「全域戦場」スケールでは射程9ヘクス、台湾全島を射程圏内に収めている。実際、台湾解放作戦に向けて大量に備蓄されているという話もある。

ということで、DF-11Aの発射基数を2ポイント消費。しかしこんなに備蓄があるなんて相手方としては嫌になるな……ちなみに弾道ミサイルの目標とできるのは、位置特定マーカーが置かれているユニットか、固定状態(移動不能の基地など)のユニットのみ。

これに対して台湾軍は、隣のTP-2ヘクスにPAC-2、PAC-3、ホークの混合防空ミサイルユニットを配備しており、この迎撃を目指す……という1ターン、弾道ミサイル戦闘フェイズのみのシナリオ。

続いて、弾道ミサイル攻撃の飛行経路の宣言。大陸奥地から発射された弾道ミサイルは、海空戦マップの盤端に描かれた進入ポイントから飛来する。そこから目標地点まで直線を引き、それが飛行経路となる。この飛行経路を、探知力「W」(三次元早期警戒レーダー)を有するレーダーユニットが探知範囲に収めている場合、その攻撃に対して「ミサイル警告ポイント」が得られる。探知範囲をミサイルが1ヘクスずつ移動するごとに「ミサイル警告ポイント」が累積される。

飛来するDF-11Aミサイルのレーダー断面積は「やや大きい」ので大目標となる。今回の場合、MS、PH、TC-3、TP-2ヘクスに4つのレーダー基地があるが、MSとTC-3レーダー基地の大目標探知距離は6ヘクス、PHとTP-2レーダー基地の大目標探知距離は7ヘクスなので、4つのレーダー基地はすべて、この飛行経路を探知範囲に収めている。

まず、一番大陸に近いMSレーダー基地は、飛行経路6ヘクスをすべて探知範囲に収めているので、ミサイル警告ポイントは6となり、10面体ダイスを6個振る。その中で「1」が1個でも出れば、早期警戒レベル1を提供できる。ひとつのレーダー基地が提供できるのはレベル1だけなので、ダイス目で「1」が何個出てもそれ以上、早期警戒レベルは上がらない。今回はダイス6個振って「1」がひとつ出たので、MSレーダー基地はこのミサイル発射を捉え、早期警戒レベル1に成功した。

続いて、TC-3とPHレーダー基地もダイス6個振ってそれぞれ早期警戒レベル1、TP-2レーダー基地もダイス6個を振ったが「1」が出ず探知に失敗。結果、早期警戒レベルは合計3となった。この早期警戒レベルがまったく得られなかった場合、迎撃を行うこともできない。そしてこのレベル数が、弾道ミサイルの迎撃そのものにも貢献することになるが、それは後ほど……

ここで、TP-2ヘクスの台湾軍防空ミサイルユニットによる迎撃開始。このユニットは3兵力値(ステップ)を有し、それぞれ1兵力値ごとにPAC-2かPAC-3を火力チャネル(1)によって1ヒットずつ発射できる。PAC-3弾道ミサイル(兵器ユニット)を迎撃する際には、射程1を使えるので、TP-3ヘクスに落下する際に、隣接ヘクスで、終末飛行状態のミサイルを迎撃できる。そして3兵力値があるので、それぞれ1ヒットずつ発射し、合計3ヒットによってDF-11A弾道ミサイル2ヒットを迎撃することになる。それぞれの弾道ミサイルに対して、PAC-3が2ヒット、1ヒットと割り振られる。

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終末飛行状態のDF-11Aは、カウンター裏面の終末落下状態となり、物理防御力は14。ここで早期警戒レベルを2倍にし、DF-11Aの物理防御値14-6(早期警戒レベル)-4(PAC-3の電子防御妨害)=4なので、10面体ダイスを3回振って、4以下が出れば、PAC-3の迎撃をかわせる。DF-11A弾道ミサイルは、これを回避すれば、TP-3の台湾軍FPS-115早期警戒システムに着弾し、台湾側の防御判定に入る……はずだったが、今回は終末段階で2ヒットとも迎撃されてしまった。

 

と、このように「全域戦場」では弾道ミサイル迎撃を表現している。21世紀のウォーゲームも多々あるし、弾道ミサイルが登場するゲームも今まであったが、ここまで丁寧にその手順を表したゲームもなかなか無いと思う。そしていかにレーダー網が重要かが、よくわかるシステムになっている。当然『だったら弾道ミサイルを撃つ前に、敵のレーダー基地を潰せばいいじゃないか』となるし、対レーダー基地攻撃任務の重要性も理解できるかと。そして今回のように、2発の弾道ミサイルを迎撃するのに、3発のPAC-3を消費するという迎撃をいつまで続けられるのか、という消耗戦的な部分も考えさせられてしまう。ちょうど昨日、ガザ地区でも、イスラエル軍の防空システムを超過するようなロケット攻撃が行われたようだが、時代は飽和攻撃なのか……