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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【全域戦場 Joint All Domain Operation】対艦戦闘模擬演習ソロプレイ Surface Combat Exercise Solo-Play AAR

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引き続き「全域戦場」の練習ソロプレイ。今回は海空編の模擬演習シナリオ7「対艦攻撃」をソロプレイしてみた。攻撃側アメリカ軍は、アーレイバーク級駆逐艦×2隻(DDG71バリー、DDG72カーティス・ウィルバー)。防御側中国軍は、052D昆明駆逐艦×2隻(DDG11南京、DDG12厦門)。それぞれすでに位置特定マーカーが置かれた状態で対峙し、先攻・後攻順に対艦攻撃の手順を学ぶだけのシナリオである。

ちなみに、もしこの両者が探知を行うなら、アメリカ軍アーレイバーク級は、水上の小目標の探知距離が1ヘクス、大目標の探知距離が2ヘクスになっている。052D級駆逐艦はステルス設計船体なので、レーダー断面積は「とても小さい」ため小目標となり、隣接1ヘクスまで近づかないと探知できない。しかし「とても小さい」目標に対しては、探知距離が1/2(切り捨て)となり、この場合は0になってしまうので探知はできない。つまりアーレイバーク級単独では052D級が見つけられず、ヘリコプターを飛ばしたり、早期警戒機からの情報によってその位置を探るしかない。

一方、中国軍の052D級駆逐艦は、小目標探知距離が2、大目標探知距離が4。アーレイバーク級のレーダー断面積も「とても小さい」ため、探知距離は2となり、さらに半減されるが、探知距離は1となる。つまり052D級は、隣接ヘクスまで近づいて、10面体ダイスを振って探知値3以下が出れば、アメリカ軍駆逐艦の位置を探知できる。中国軍艦船の多くは、この小目標2/大目標4ヘクスという探知距離を持ち、たとえ相手がステルス艦であろうと、半分の小目標1/大目標2ヘクスなら探知可能になっている。

※追記:ただしアーレイバーク級にしても、052D級にしても、探知値が中抜きの数値で示されているため、「区域探知」止まりで、「位置特定」まではできない。結局、こういった索敵は、実数字の探知値を持つ索敵ヘリや早期警戒機を頼ることになる。

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では、水上反応攻撃セグメント。先手・アメリカ軍の駆逐艦2隻は、RGM-84Mハープーン対艦ミサイルを発射した。ちなみにハープーン対艦ミサイルの射程は2ヘクス。

アーレイバーク級のハープーン対艦ミサイルの火力チャネル数(一度に兵器を発射できる数、蛇口の太さ)は(2)なので、それぞれ2ヒットずつ、合計4ヒットを撃ち込んだ。

対する052級駆逐艦のHHQ-9B防空ミサイルは、火力チャネル数が(3)もあるので、各艦3ヒット、2隻で6ヒットで迎撃できるが、飛来するハープーン対艦ミサイルが4ヒット分なので、そこまでする必要もないだろうと、2ヒットずつ合計4ヒットで迎撃した。4ヒット分のハープーン対艦ミサイルに対して、4ヒット分のHHQ-9B防空ミサイルで迎撃したので、1ヒットずつ割り振ることになる。ハープーンは、電子防御6、物理防御4。HHQ-9Bはこれを-3、-4ずつ妨害するため、ハープーンの防御値は3、0に落ちてしまう。たとえ電子防御判定で10面体ダイスを振って3以下を出しても、物理防御判定で0以下を出すことはできないので(このゲームでは、10~1の数値が書かれた10面体ダイスを使用する)、物理防御判定には自動的に失敗し、ハープーンはすべてたたき落とされ攻撃失敗と。

一方、後手・中国軍も、52D級駆逐艦2隻から、YJ-18A対艦巡航ミサイルを発射した。こちらの巡航ミサイルは、射程8ヘクスとなっている。

52D級駆逐艦のYJ-18Aの火力チャネル数は(2)なので、一度の攻撃で2ヒットのYJ-18Aを発射できる。2隻の駆逐艦から2ヒット発射したことで、巡航ミサイルは4ヒットとなる。

対するアメリカ軍も、SM-2MRスタンダードミサイルでこれを迎撃。こちらも火力チャネル数は(2)なので、2隻の駆逐艦からそれぞれ2ヒット、合計4ヒットをYJ-18A巡航ミサイルに発射した。これも、4ヒットのYJ-18A巡航ミサイルに対して、4ヒットのSM-2MRスタンダードを割り振るので、それぞれ1ヒットずつ判定することになる。

YJ-18A巡航ミサイルは、電子防御力6、物理防御力4だが、SM-2MRはこれを-3、-2ずつ妨害するため、最終的な防御判定値は電子が3と物理が2。今回は運良く、2ヒットのYJ-18Aが迎撃をかいくぐり、アメリカ軍駆逐艦に接近した。

今度は、アメリカ軍側の被害判定。2ヒットのYJ-18A巡航ミサイルが、2隻のアーレイバーク級に1ヒットずつ飛んでいく。アーレイバーク級駆逐艦の電子防御値は6、物理防御判定は5。しかしYJ-18Aは、それを-4、-7(!)妨害できる。つまり電子防御値は2、物理防御値は0となり、電子防御判定に失敗したら、物理防御判定は無視して命中、撃沈となる。DDG71バリーはこの電子防御判定に成功したが、DDG72カーティス・ウィルバーはこれに失敗、巡航ミサイルを喰らってあえなく撃沈された……

ちなみに「近防」と書かれた僚艦防御機能を使うと、追加で物理防御判定が行えるが、この場合は巡航ミサイルの威力が強すぎて、何回判定ダイス振っても無理。

 

このように水上艦を撃沈するには、その迎撃能力を上回る飽和攻撃を行うか、あるいは迎撃ミサイルが弾切れになるのを待つのが定石……という現実的な状況が再現されている。となると、全体的に数的優位な中国軍が有利なわけで『戦いは数だよ兄貴』なのだ。また、兵器ユニットの特性なども踏まえた上で、どれだけ迎撃ミサイルを撃ち返せばいいか等も数値的に判断する必要があるだろう。

アメリカ軍としては、水上艦艇やミサイルの性能的に追いつかれているので、洋上航空戦や潜水艦戦など含めて、どう対処すればいいか、現実同様、なかなか考えさせられそうだ。