Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battalion Combat Series】「Panzers Last Stand」Operation Spring Awakening Solo-Play AAR Part.1 (Tribute to Dean Essig)

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先日亡くなられたウォーゲーム・デザイナー、Dean Essig氏の作品を何かプレイしようと、あれこれ考えた末、氏のシリーズで一番好きなBCS(Battalion Combat Series)から、「Panzers Last Stand」(1945年ハンガリー戦)の中でもまだ未プレイだった「春の目覚め作戦」シナリオを選択。第二次大戦におけるドイツ軍最後の大攻勢という意味でも、追悼プレイにふさわしいかなと。

「春の目覚め」作戦は、1945年3月6日に開始され、3月15日に終了している。本シナリオも、その全期間を扱っている(1ターン=1日)。史実でのドイツ軍の最終進出線はこんな感じ。「Panzers Last Stand」全体としては、さらにこの北(上)にマップ2枚が存在し、盤外右上に包囲されたブダペスト市がある。

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攻める枢軸軍は、バラトン湖とヴァレンツァ湖の間から出撃する。10個装甲師団(ドイツ第1SS、第2SS、第3SS、第5SS、第9SS、第12SS、第1、第3、第23装甲師団ハンガリー第2戦車師団)を擁しているが、その大半は前年末のバルジの戦いで損耗し、補充を受けたばかりの師団で、武装親衛隊と言えど、歩兵大隊の練度(アクションレーティング)は平均以下に落ちている。また第3SS、第5SS、ハンガリー第1は、戦線の穴埋めに使われ、すでに疲労度2(4が最悪)で作戦開始。そしてこれだけ装甲戦力があるのに、それ以外は歩兵師団が3個、騎兵旅団が2個のみという頼りなさ。つまり突破しても側面を支える戦力が少ないという有様。

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守るソ連軍は、ブダペストに近い北部では四重にわたる分厚い防御線を構築しているが、南部では戦線がスカスカになっている。一応、ソ連軍は、枢軸軍が攻勢をかけてくるとの事前情報を得ていたため、前線の各師団は準備防御(Prepared Defence)に入り、砲兵ポイントも増派されているが、機動予備としては、第5親衛騎兵軍団、第1親衛機械化軍団がある程度で、しかもすでに戦車戦力は損耗している状態なので、こちらもまた頼りない。

ちなみに両軍とも損耗している部隊が非常に多く、初期配置だけで、普段用意しているステップロスマーカーを使い切ってしまい、追加で準備しなければならなかった。

また、いつもならフォーメーションカードを使って各部隊の状況(疲労度、砲兵、準備防御、支援)を表すが、今回は部隊も多く(枢軸軍15、ソ連軍22)、盤面をいっぱいに使うようだったので使用を諦めた。

しかし部隊が多いとは言っても、「Panzers Last Stand」では各ターンにすべてのフォーメーションを活性化させるわけではない。本シナリオでは、各ターン毎に、ドイツ軍が第一種(Primary)活性化割当が6フォーメーション、第二種(Secondary)が3フォーメーション、ソ連軍は第一種が3、第二種も3フォーメーションずつとなっている。第一種に指定されたフォーメーションは、部隊練度判定(SNAFU)に成功すれば第2活性化まで行える。第二種に指定されたフォーメーションは、第2活性化は不可である。なので盤面には結構な数のユニットが並んでいるが、北部で睨み合っている部隊はほとんど活性化させないと思う。

また、この時期のハンガリー戦では天候も気になるが、天候表を見ると、好天(視界4ヘクス)はまったく無く、ほとんどが悪天(視界1ヘクス)か、たまに通常(視界2ヘクス)という程度。これでは長射程を誇るドイツ軍戦車も、至近距離でソ連軍戦車と撃ち合わなければならない。地表状態は常に悪く、自動車化(Truck)移動力は半減される。これも、戦術(Tactical)移動力を持つ戦車ユニットは前進できても、自動車化歩兵が追随できないという事態になりそうだ。

というあたりまで確認したところで、追悼ソロプレイ開始……