Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battalion Combat Series】「Panzers Last Stand」Festung Budapest Solo-Play AAR

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ようやく年内の仕事も終わり、年末年始のウォーゲーム時間に突入。

とりあえず2021年中に検証しておきたい案件から潰そうと「BCS:Panzers Last Stand」のブダペスト包囲戦部分だけプレイしてみることにした。この包囲戦を再現するために、BCS2.0から「6.1 市街戦」ルールが実装されている。しかしブダペスト包囲戦をプレイするのは、地図盤4枚をすべて用いるキャンペーンゲームだけで、包囲戦だけを切り取ったシナリオは存在しない。とは言え、ある意味、他の戦線とは隔絶されているので、包囲戦だけを切り取ってもプレイできるんじゃないかと。自分としても、ルールを翻訳したのに、実際どのようなものなのか、確かめないと気が済まないし。

上の写真がキャンペーン第1ターン=1945年1月2日時点でのブダペストの包囲状況である。市内に籠城する枢軸軍部隊(ドイツ軍、ハンガリー軍)は、ドナウ川を挟んで、西岸のブダ側部隊、東岸のペスト側部隊というフォーメーションに統合されている。

対する包囲側のソ連軍は、西岸のブダ側に3個歩兵軍団(1個は予備)、東岸のペスト側に4個歩兵軍団(1個はルーマニア軍)を配している。しかしこの1月2日の時点では、1個軍団を除いて、すべて疲労度が3か4(最悪)となっている。恐らくここまで攻め込んでくる過程で疲弊したのだろう。そのため1月2日ターンから、さあはい、総攻撃ですよとはならないだろう。また今回は、航空ポイント、補充ポイント、活性化割当などは、すべて他の戦線に回されているという想定で行ってみた。

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とりあえず第1(1月2日)ターン、ソ連軍は唯一、疲労度1だった第75歩兵軍団のみで、ブダ側北部へ攻撃を開始した。守るドイツ軍SS騎兵部隊は、すでに都市(Urban)ヘクスに陣取っている。この都市ヘクスでは、戦闘結果表での「後退」結果は無視される。そして防御側が1ステップロスを被るたびに、その都市ヘクスの支配レベルが「防御側完全支配」⇒「防御側部分支配」⇒「攻撃側部分支配」⇒「防御側撤退」と変化していく。1ターンに変化する支配レベルは3まで、という制限(6.1d)もあり、なかなか一発でその都市ヘクスを奪うことは難しい。

また、守るドイツ軍は、練度(アクションレーティング)も高く、都市の防御効果もあり、なかなかステップロスを与えられそうにもない。幸いソ連軍は、砲兵だけは潤沢にあるため、これを打撃砲爆撃(Destruction Barrages)として使い、防御側に複数のステップロスを与えることにした。

打撃砲爆撃は、最大3砲兵ポイントを投じて1ポイント毎にダイスを1個振り、そのスタックの各ユニットにステップロスを与えたかどうかを判定する。あいにく都市ヘクスに対しては出目6でしかヒットとならないため、最大3個振ってもひとつもヒットしないかもしれない。しかしギャンブル的に言うなら、6が3つ出れば一気に支配レベルが3変化し、一発で「防御側撤退」に追い込めるかもしれない。

他にも、射撃ユニットがあれば、歩兵による通常攻撃の前に、防御側ユニットを直接射撃(Attack by Fire)してステップロスさせる手もある。しかし今回は、ソ連軍に攻勢射撃ユニットが少なく、枢軸軍の支援射撃ユニットが強めだったので、その手は使わなかった。

実際、この第1ターンのソ連第75歩兵軍団の攻撃でも、事前の打撃砲爆撃で1ステップロスを与え、通常戦闘では一方的に負けてしまったものの、ドイツ軍が居座る都市ヘクスの支配レベルを1段階落とし「防御側部分支配」とした。

それ以外のソ連軍軍団は、この第1、第2、第3ターンと回復にいそしんだ。

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そして第4(1月5日)ターン、東岸のペスト側部隊が疲労度0に戻り、揃って攻撃を開始した。しかしいずれの攻撃もイマイチで、都市ヘクスを奪うどころか、籠城部隊のステップをたいして奪うことも出来なかった。

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続く第5(1月6日)ターンには、西岸のブダ側ソ連軍も疲労度0に回復し、攻撃を開始した。しかしこのターンの東西両岸でのソ連軍の攻撃もはかばかしくない。なにしろどの軍団も活性化値が6(最悪)なので、第一活性化のみで終わる場合が多く、継続的な攻撃が行えていない。運良く第一活性化の部隊機能判定(SNAFU)が「成功(Full)」だった場合は、潤沢な砲兵を活かすべく、あえて作戦目標(OBJ)マーカーを2カ所に分けて、砲兵ポイントを3ずつぶち込み、なるべくダイスを多く振るようにした。作戦目標マーカーを2つ重ねれば戦闘結果表でボーナスが得られるが、それでは1カ所しか攻撃できないし、砲兵ポイントを使い切れずに終わってしまう。

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第6(1月7日)ターン、ようやく東岸のペスト側で枢軸軍が後退し始めた。市街戦ルールが適用されない市の外縁部では、通常通り3ヘクス後退する部隊がある一方、都市ヘクスの部隊は1ヘクスしか後退していない。また都市ヘクスでは、防御側が後退したからといって、自動的に戦闘後前進はできない。上の写真(左上)でも、ぽっかり1ヘクスが空いているが、これは攻めるソ連軍が都市ヘクスから枢軸軍を叩き出したものの、第二活性化に失敗したため、続けて前進できず、そのヘクスを奪えていない状態にある。

この写真では、間違えて枢軸軍ペスト守備隊司令部マーカーが表のままだが、すでにこの時、このフォーメーションは活性化済みである。もし未活性なら、奪われたヘクスにまたユニットを送り込み、そのヘクスを保持することもできる。

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第7(1月8日)ターン。ブダ側のSS騎兵大隊に対して、3ポイント打撃砲撃をぶち込んだところ、出目が6・6・6で3ステップロス、支配レベルも一気に3変わり、撤退に追い込んだ。まあ、実際そういうこともあると。しかしここでも、攻めるソ連軍は第二活性化にしくじり、空いた都市ヘクスに前進できずにいる。そして翌ターン、SS騎兵大隊は再び前進し、その都市ヘクスを堅持した。このように都市ヘクスに対しては、防御側を叩き出したら、すぐ第二活性化でそのヘクスを埋めておきたいが、活性化値の低いソ連軍では、なかなかそれが出来ないだろう。

対する枢軸軍も、フォーメーションが2つしかないため、ターン序盤で活性化した後に都市ヘクスから追い出されると、そのヘクスを取り戻す余力が無くなってしまう。

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そして第8(1月9日)ターンともなると、またソ連軍フォーメーションの疲労度が3やら4に落ちてきたので、ここでまた数日、回復にいそしむことになる。しかしここまで戦った割にはほとんど攻囲が進展していない……というあたりで、今回はお開きとした。

とりあえず、この包囲戦だけ切り取っても、シナリオのような形で遊べることは遊べる。ただ、非常に地味というか、特にソ連軍プレイヤーは骨が折れる作業が続くので、それを楽しめるかどうかが問題。もしキャンペーンゲームをやるなら、ベテラン勢は地味な包囲戦を担当しつつ、それ以外のプレイヤーには派手なコンラート作戦をやってもらうとか?