Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【C3 Series】「Die Festung Hamburg」デザイナーズ&デベロッパーズノート翻訳

1985年仮想の第三次世界大戦「C3」シリーズ「Less Than 60 Miles」「The Dogs of War」に続いて、第3弾「Die Festung Hamburg」のデザイナーズノート、デヴェロッパーズノートを翻訳しました。TRL Gamesの「Die Festung Hamburg」のゲームページ(上記リンク)の一番下に、日本語翻訳ルールと共にリンクが貼ってありますので、ご興味のある方はご活用ください。

今回、ゲームデザイナーとデヴェッロッパーの間で議論になったのは『1985年当時のオランダ軍は頼りになる軍隊だったのか?』という問題です。デザイナー氏は、当時のオランダ軍は徴兵制でやる気が無く、労働組合の力も強く、その戦闘効率性も低かったのでは?と指摘しています。

対してデヴェロッパー氏=当時ヨーロッパ派遣軍に勤務していた元イギリス陸軍大佐は、いやそれは誇張された情報であると主張しています。確かにそのような問題はあったけれど、当時のアメリカ国防筋が予算を獲得するために『ほら、見ての通りヨーロッパの軍隊は頼りになりませんよ、だから我々アメリカが軍事予算を確保して彼らを守ってあげなければ西側世界は滅んでしまうんですよ』的な政治宣伝をして、その見解がそのまま1970~80年代のウォーゲーム制作にも浸透し、他の冷戦期仮想ゲームでもオランダ軍が弱くなったと。しかし実際、西ドイツに駐留していたオランダ軍は、西ドイツ連邦軍と同等の効率性を持っていたと指摘しています。

結果、「Die Festung Hamburg」では、ドイツ駐留オランダ軍ユニットの指揮力は高いものの、オランダ本国駐留の予備ユニットの指揮力は低いという、折衷案が採られています。そういう制作経緯を知っておくと、「Die Festung Hamburg」におけるオランダ軍の扱いにもちょっと注目してしまいますね。