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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「増補改訂 帝国陸軍機甲部隊」

津田沼丸善にて、ちくま学芸文庫から復刊された「帝国陸軍機甲部隊」を購入。そのまま同じビルに入っているロイヤルホストで甘いモノを食べつつ、ひととおり目を通してきた。加登川幸太郎氏の著作は、角川ソフィア文庫から「戦車の歴史」も復刊されたが、そちらはちょっとスルー。来た球をなんでも打てるほどお金は無いのよ。しかし昨年「三八式歩兵銃 日本陸軍の七十五年」が復刊された時に、この「帝国陸軍機甲部隊」も文庫化されないかな~と思っていたので、ありがたい。

本書はタイトル通り、帝国陸軍機甲部隊がどのような変遷をたどってきたかを、技術、編成、運用面での、当時の人々の試行錯誤を中心に語られている。著者の加登川氏を含めて、当時まだ黎明期の戦車というガジェットを前にして、戦車・機甲兵種に対する無理解や偏見も受けつつ、帝国陸軍にはどのような戦車が必要だったのか、どのような機甲部隊が必要だったのかを模索していた様子がうかがえる。

結局、決定的な正解に至らぬまま帝国陸軍機甲部隊は終戦を迎えるわけだけれど、じゃあどうすれば良かったのか?と言われると、やはり判然としない。南方の島々で使うのも難しく、と言って北方の大陸でソ連軍相手に戦うには数が乏しいし、それだけの量産体制も無いと。米軍の本土上陸に備えた反撃用の部隊は準備されていたものの、実際、米軍が上陸してきたら、圧倒的航空優勢下で撃破されるか、上陸海岸に向かうのを航空阻止されたんだろうなあ……などと、あれこれ想像してしまった。

ちなみに津田沼は、戦車第二連隊、千葉陸軍戦車学校があった土地なので、そういった街で本書を読むというのもある種の感慨があるなあと。