イタリアのThin Red Line Gamesの新作「The Dogs of War」が到着。2019年に購入した、仮想第三次世界大戦・C3シリーズ「Less Than 60 Miles」に続く、シリーズ第2弾である。すでに「Less Than 60 Miles」も売り切れだが、今回の「The Dogs of War」も、今年1月12日から発売が開始され、1月25日には売り切れており、いったい何個制作したんだと。このメーカーの作品は、出たら即買いしかない。
このシリーズは、SPIの「Central Front」シリーズと同じく、1985年夏、西ドイツへ侵攻したワルシャワ条約軍を、NATO軍が迎え撃つ状況を連隊~大隊規模で表現し、そこへ「NATO Division Commander」のような命令システムを搭載したという、仮想WWIIIゲームファンには、たまらない構成になっている。最近、1980年代の仮想WWIIIゲームも多く出版されているが、自分としてはイチオシのシリーズである。
その第2弾である本作は、『良きフォークランド(紛争)の日々は終わった』とあるように、主役は、ライン川駐留イギリス軍(通称BAOR:British Army of the Rhine)。地図盤は「Less Than 60 Miles」の北部に隣接するようになっており、北ドイツ平原に位置する大都市ハノーバー周辺を包括している。言うなれば「Central Front」シリーズでこのテーマを扱った「BAOR」のリメイク作とも言える。
このシリーズの作戦想定としては、攻めるワルシャワ条約軍は、中央のフルダ峡谷(Less Than 60 Milesの地図範囲)ではなく、こちらの北ドイツ平原を主攻勢軸としている。たしかにフルダ峡谷には、精強なアメリカ軍部隊が待ち構えているし、そこへ正面から主力を叩き込むよりも、地形的にも平坦な北ドイツ平原を指向するのは納得。昔なつかしいジョン・ハケット著の仮想戦記「第三次世界大戦」でも、ワルシャワ条約軍は北ドイツ平原を突っ切ってオランダまで侵攻したし、トム・クランシーの「レッドストーム作戦発動(ライジング)」でも、このハノーバーの南から、ウェーザー河を目指す戦闘経緯が主に語られていたので、そのあたりを読みながら地図を眺めると、雰囲気作りに役立つと思う。
今回登場する部隊は、NATO軍側が、もちろんイギリス・ライン川軍団に加えて、西ドイツ軍、ベルギー軍。ワルシャワ条約軍側は、 すべてソ連軍になっている。そう、やはりワルシャワ側としては主攻勢軸なので、頼りにならない衛星国の部隊(ポーランドやらチェコや東ドイツ軍)は投入していないのだろう。
こちらが本作の主役、イギリス軍カウンター。シナリオ的には1985年夏想定なのだけれど、もうチャレンジャー1戦車って実戦配備されていたのだろうか。一応、イギリス軍戦車大隊の中には、アメリカ軍のM-1戦車大隊と同じく「攻撃力6-防御力5」という頼もしいユニットも垣間見える。「5-4」戦車大隊は、まだチーフテン戦車装備か?
こちらは、西ドイツ軍カウンターの裏面。シリーズ前作「Less Than 60 Miles」では、戦闘ユニットの裏面には何も書かれていなかったが、本作から、そのユニットが良く用いるであろう態勢が記された面が印刷されている。たしかに実際プレイした際、一部の状態カウンターが足りなくなったので、これはありがたい処理。まあ、できれば「Less Than 60 Miles」のカウンターも、この仕様で出し直してほしいが。
こちらは、ベルギー軍ユニット。恐らくまだレオパルド1戦車装備(5-4)、機械化歩兵はM113装甲兵員輸送車装備(2-5)で、フォーメーション的にも数が少なく頼りない。
対するソ連軍は、さすが主攻勢軸だけあって、カテゴリーAクラスの親衛戦車連隊(8-6)がぞろぞろいる。 しかし我が家に届いたソ連軍カウンターシートは、若干印刷がズレていて、部隊番号の頭が切れているユニットも多々……もうちょっと頑張りましょう。※追記:後日、メーカーから、正しく印刷されたカウンターシートを送ってもらいました。
カウンターシートは全7枚。過半数はマーカー類。
イベントカードは、両軍合わせて45枚。「Less Than 60 Miles」には無かったカードは、NATO側では「Wallmeister(橋梁の爆破)」「ポーランドの叛乱(ワルシャワ軍の再補給が減る)」、ワルシャワ軍側では「バルト海の危機(NATO軍の航空支援を吸引)」 「第76親衛空挺師団の投入」等。
「Less Than 60 Miles」と「The Dogs of War」を連結すると、このような形に。我が家の150cm✕90cmテーブルには乗り切らないので、もしプレイするならVASSALかなと。まあ、マップ1枚だけでも結構、プレイが重たいゲームなので、個人的に連結プレイまで出来るんだかどうだか。とは言え、前作も軽く一度プレイした程度なので、ルールが再整理されたこの機会に、また触れてみたいと思う。