Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【Company Scale System】「The Fulda Gap : The Battle for the Center」

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プレオーダーしていたCSS(Company Scale System)第6弾「The Fulda Gap : The Battle for the Center」が到着。このCSSシリーズ、WWII太平洋戦線のサイパン島グアム島テニアン島西部戦線モンテリマール、東部戦線ノボロシースクと来て、今回は1985年想定の第三次世界大戦モノと相成った。本作は、今までのCSSと同じく、1ヘクス=500m、1ターン=2時間、1ユニット=中隊というスケールで、東西ドイツ国境の中央部に位置するフルダ峡谷に対してワルシャワ条約軍が攻め込むという、良くあるWWIII想定となっている。たしかにフルダ峡谷を舞台としたWWIII仮想戦は数あれど、このスケールでの作品は初めてのような気がする。 

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ちなみに本作は、CSSシリーズの中でも「Modern War Vol.1」と称されており、本作に続いて、南部のホフ峡谷、北ドイツ平原、東西ベルリン市街戦(これはマップ2枚)が企画されている。まあ、さすがにSPIのセントラルフロント・シリーズのように連結はできないが、別の戦場も予定されていると。そのため、本作ではすでにカウンターのミスが発覚しているが、ルールブック巻末に『訂正カウンターはベルリンに付ける』と書いてある。いや、それ出るの、いつなんだ。と言うか、早くもエラッタが多い。

http://talk.consimworld.com/WebX?233@@.1ddcadd9!enclosure=.1de1b79a 

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本作は、フルマップ4枚でフルダ峡谷周辺をカバーしている。1ヘクス=500mなので、4枚併せても、70✕52ヘクス=35km✕26kmという範囲。これ、攻め込むワルシャワ条約軍からすれば、開戦日+3日ぐらいで突破したい範囲だろうか。本作では、5本あるシナリオのうち、2本は開戦初日のみ、キャンペーンで開戦から5日間までを扱っている。さらに開戦4日目、6日目からのNATO軍の反撃シナリオもあり、両軍とも攻防が担えるシナリオが用意されている。 

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登場する部隊は、まずアメリカ軍第11機甲騎兵連隊、第3機甲師団、第8機械化歩兵師団という、WWIIIウォーゲームに触れた方ならお馴染みの面々。第3機甲師団と第8機械化師団は、いまだにM60A3戦車、M113装甲車装備だが、最前線を担う第11機甲騎兵連隊には、1985年当時の新鋭戦車M-1、M-3騎兵戦闘車(イラストは無い)が配備されている。ただそのM-1戦車も、まだ初期の105mm砲装備だったりする。しかしM-1戦車は、これも当時の最新技術である、チョバム装甲を有しているため、いったん撃破結果をくらっても、一度それを無視し、それ以降はチョバム装甲が無くなったものとして、装甲値が下がった状態となって、また撃破結果を被れば除去される仕様になっている。

また、基本的にCSSは、各旅団・連隊ごとに司令部カウンターが用意され、いったん潰走した(地図盤から取り去られた)ユニットは、その司令部の周囲に復活する形となっている。しかし第11機甲騎兵連隊だけは、連隊司令部が無く、連隊指揮官と3名の大隊指揮官カウンターが司令部として機能する。さらに第11機甲騎兵連隊は、連隊活性化チットをコスト無しでカップに投入でき、それを引いてプレイした後、もう一回、今度はコストを支払って再度カップに投入できるという、例外的な扱いになっている。まあ、そういう処理でもしなければ、ワルシャワ軍の物量に潰されてゲームとして成立しないのかも。 

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こちら、黒や灰色の強面カウンターは、西ドイツ第5装甲師団と第53郷土防衛旅団。第5装甲師団には、すでに(やはり当時新鋭の)レオパルド2戦車が配備されている。もちろん120mm砲装備なので、M-1戦車の火力7を上回る、火力8を誇っている。ちなみに本作での火力や防御修整は、今まで出版された第二次大戦モノのCSSと同格ではない。たとえば「CSS:Montelimar」では、ドイツ軍のパンター戦車を火力7と評価しているが、だからといってM-1戦車と同じ火力ということではない。あくまで10面体ダイスで判定するシステム内で、第二次大戦、第三次大戦の車輌を、別個に格付けした形になっている。これは、10面体ダイスを用いたGTS/CSSシステムの限界なので致し方なし。 

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こちらがNATO軍の航空支援カウンター。戦闘機には長距離空戦力/短距離空戦力(カウンター左上)もあるが、A10サンダーボルトの防御力(右上)の高いこと。またAH64アパッチは、まだアメリカ軍のどの師団・連隊にも配備されておらず、独立した航空支援とされている。

そのAH64アパッチは、ヘルファイヤ対戦車ミサイルを搭載しているが、各対戦車ミサイルごとに火力と射程が記されたカウンターが用意されている。アメリカ軍のTOWなら火力7、射程2~6だが、ヘルファイヤは火力8、射程2~12と長射程になっている。 

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そしてこの、お洒落な春物コートみたいな色のユニットが、ソ連第79親衛戦車師団。さすが親衛師団、最新のT-80戦車が配備されている。しかしT-80も、火力7とは言え、相対するM-1戦車は防御修整-5。単純に言えば、7-5=2、10面体ダイスを振って0~2を出せば、M-1戦車に潰走チェックをさせられるが、撃破の可能性はまったく無い。となれば、T-80中隊ユニットを3個スタックさせて、大隊として運用し、火力を7+1+1=9に上げ、集中射撃でさらに+1=10-5とすれば、10面体ダイスの目0~5の範囲で、20%で撃破、40%で潰走チェックとなる。いや待て、それは隣接ヘクスから射撃した場合の話。射距離が2ヘクス以上離れると-3修整が付くのだから、結局、撃破の目は無くなってしまう。やはりいつものGTS/CSSのように、M-1戦車に弾幕を浴びせて視界を奪い、その隙に隣接ヘクスまで突っ込んで大隊全力で集中射撃をしろということか。それでも、最初の撃破結果はチョバム装甲で無かったことにされるのか。結構厳しいな、ソ連軍戦車…… 

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こちらは、ソ連第27、第39、第57自動車化狙撃(モーター・ライフル)師団、第119独立戦車連隊。このあたりになると、T-62M戦車もちらほらと。

ちなみに両軍部隊の質で言うと、部隊練度(Troop Quality)が最も高いのは、アメリカ第11機甲騎兵連隊、西ドイツ第5装甲師団の7。ソ連軍は、各自動車化狙撃師団が練度5、第79親衛戦車師団が練度4という、親衛の名にふさわしくない有様。もちろんNATO軍の方が、指揮範囲も長く、派兵(Dispatch)値も高く、臨機応変に戦える印象。ソ連軍は、戦力がある割に、それを効率的に運用できないだろう。このあたり、当時のアメリカ軍で論じられた「OODAループ」=相手より早く決断と行動を回すことで、相手を麻痺させる=が上手く再現されるような気がする。

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こちらが、ワルシャワ軍の航空支援カウンター。

その下に見えるコミッサール(政治局員)は「CSS:The Little Land」でも登場したが、特別イベント等でワルシャワ軍の正規指揮官が除去された場合に、NATO軍プレイヤーによって!強制的に置き換えられるという、一種の嫌がらせカウンター。コミッサールは、NATO軍プレイヤーによって置かれたワルシャワ軍ユニット(スタック)の部隊練度を3下げ続けるという、厄介な輩である。 

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他にも、1980年代戦らしく、核兵器NBC防護ペナルティ、避難民などのルールもあり。 

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また航空ディスプレイ上で、AWACS優勢、航空優勢なども表現されているが、このあたりが詳しくやりたいならGMT「Red Storm」がオススメかと。自分も、10年前だったら「Red Storm」買っていただろうなあ……(遠い目)

とりあえず、基本ルールやチャートは今までのCSSと変わりないので、差分さえ読んでしまえば、すぐにプレイできそうだ。CSSでの戦車戦は、無傷か、潰走か、一発除去かという、0か100かみたいな割り切り方なので、あまり面白くなさそうだが、そのあたりも確かめたい。1ユニット中隊スケールとはいえ、ソ連軍は大隊スタックでの運用が求められるから、NATO軍との差異も分かりやすいし、戦力は多くても鈍重なワルシャワ軍と、戦力は少なくても機敏なNATO軍という、OODAループ対決として見るのも面白い。そういや、同じくOODAループを意識したWWIIIゲーム「Less Than 60 Miles」も、いずれまた挑戦してみたいタイトル……