Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Compass/GDW「The Third World War」Battle for Germany Solo-Play AAR Part.1

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今年3月に購入した「The Third World War」の和訳ルールがクロノノーツゲームさんにアップされたので、早速ソロプレイしてみることに。一応、1980年代に発売されたGDW版(ホビージャパンでのライセンス版)はプレイ経験があるけれど、だいぶ昔のことだし、今回のCompass版「Designer Signature Edition」は、アートワークこそ今風になったものの、ルール周りはほぼストレートな再版なので、プレイ感を思い出してみようと。ちなみに今回は中欧戦線(西欧空域)だけを扱う「Battle for Germany」シナリオの短期ゲーム(3ターンのみ)を選択。核攻撃ルールは省略と。

というわけで設定1989年X月X日、ペルシア湾岸での政情不安を皮切りに、欧州でもワルシャワ条約機構軍が東西ドイツ国境付近に集結。これを西欧侵攻の兆候と捉えたNATO軍は、開戦前の第0ターン、後方地域の各ユニット毎にダイスを振り、前方移動を開始した。ベルギー軍、オランダ軍はなお国内に留まっているものの、フランス軍の一部部隊はすでにライン河を越え、西ドイツ領内に入っている。NATO軍主力となるアメリカ軍、西ドイツ軍、イギリス軍は国境付近で(決して準備万端とは言えない)戦線のようなものを形成した。

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そして第1ターン。天候は晴天。まず西欧空域での航空優勢を得るために、ワルシャワ条約軍は、空戦値を持つ航空ユニットをすべて航空優勢任務に割り当てた。正直、直協任務や打撃任務に適しているMig-27やSu-24まで投入するのは適材適所とは言えないが、こうでもしないと航空優勢が得られないし(航空優勢任務に就いているユニットが多い方が航空優勢を得る)、第2ターン以降のNATO軍の増援を見ても、ワルシャワ条約軍が航空優勢を握れるのは第1ターンだけだと思われる。しかし、こうまでして航空優勢を取ることが本当に正しいのかは疑問……

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航空優勢を得たワルシャワ条約軍は、Tu160ブラックジャック爆撃機隊に、最新鋭のSu-27とMig-29戦闘機隊を護衛に就け、NATO軍の滑走路爆撃へ向かわせた。成功すればNATO空軍基地に弾痕(クレーター)を生じさせ、任務に就ける航空ユニットを減らし、さらに上手くいけば滑走路上にいた航空ユニットを撃破できる可能性もある。

これに対してアメリカ軍のF15戦闘機隊が要撃に上がり(航空優勢を得ていないので1ユニットしか要撃できない)、Su-27隊と相討ちに(双方撃墜)。残ったTu-160は滑走路爆撃へ向かったが、NATO軍の防空ミサイルに阻まれ、任務を中断して帰投してしまった。

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続いてワルシャワ軍は、ソ連軍のMig-29とMig-23、チェコ空軍のSu-17というストライク・パッケージを2つ編成し、フルダ峡谷に展開するアメリカ第3、第8機械化師団に対して打撃任務を行った(成功すると地上ユニットを混乱させ、移動力を減らす)。これに対してアメリカ軍のF-16、イギリス空軍のトーネードF戦闘機が要撃に上がったが、護衛のMig-29戦闘機との空戦で、F-16は帰投させられ、トーネードFは撃墜。Su-17による打撃任務も、第8機械化師団に1打撃を与えたのみで終わった。

これもルールを思い出すために試してみたが、後になって反省。第1ターンは直接地上戦闘を支援する直協任務に割り当てた方が良かったと思う。そしてワルシャワ条約軍は、制空戦闘に航空機を注ぎ込みすぎたせいで、打撃や直協任務に就けるユニットが少なくなっている。

と、第1ターンのお膳立てが終わったところで、ようやくワルシャワ条約軍第1インパルスの第1梯団サブ・インパルスの移動。各前線部隊は東西ドイツ国境を越え、または国境にいるNATO軍の攻撃に向かった。ポーランド空挺師団は、港湾都市キールの南に降下。これを迎撃に上がったデンマーク空軍のF16戦闘機隊も、護衛のMig-29に撃墜されている。国内から出発したポーランド軍主力部隊は、行きがけの駄賃とばかりに西ベルリン守備隊を包囲。

しかし北方では、戦闘比2対1、3対1という、やや頼りない地上戦が発生。これを支援すべく、直協任務のSu-25フロッグフットに(なけなしの)Su-27、Mig-29を護衛につけて送り出したものの、どちらもNATO軍要撃機に追い返される始末。そして早くもこの時点で、ワルシャワ条約軍はこのターンに使えるSu-27、Mig-29、Mig-23という、空戦値3以上の戦闘機を使い切ってしまった。

また中部から南方では戦闘比8対1、7対1という箇所もあったが、そこには逆にNATO軍が、温存していたF15Eストライクイーグル、ミラージュ2000を護衛に就け、A10地上攻撃機(戦闘比を有利に4シフトする)、ハリアー等を投入。3箇所での直協任務がすべて成功し、戦闘比を4対1、3対1に推移させた。

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この直協が効いたか、ワルシャワ条約軍最初の攻撃は痛み分け(双方1混乱)ばかりで、ほとんど進めていない。実は一番期待していなかったチェコ軍が、戦闘比1対1ながらも西ドイツ第10装甲師団を退却させたり、西ベルリンも無血占領できたが、第一梯団の攻撃としてははかばかしくなかった。

続いてワルシャワ条約軍第1インパルスの第2梯団サブ・インパルス。敵ZOCにいないユニットが移動・戦闘を行える。ワルシャワ軍は、とても戦闘機とは呼べないMig-27やSu-24(空戦値1)を掩護に就けて直協に送り出したが、対するNATO軍ももはや空戦値の高い戦闘機は残っておらず、旧式のF4ファントム等で要撃するもいずれも失敗。結果、この第二梯団への直協の方が成功してしまった。

そしてポーランド軍部隊は、西ドイツ第3装甲師団を後退させ、リューベックの西に回り込み、すでに降下していたポーランド空挺師団と連結。リューベックの西ドイツ第6装甲擲弾兵師団を包囲した。一方、東側の精鋭・東ドイツ軍(練度7)は、同じく西側の精鋭・イギリス軍(練度8)を攻撃。Su-25フロッグフット(戦闘比を3シフト)の直協もあり、1個師団と引き換えにイギリス第3機甲師団を除去した(EX)。またイギリス第1機甲師団も混乱3を被って後退している。しかしフルダ峡谷周辺では、いまだにアメリカ軍機甲騎兵連隊が踏ん張り、ソ連軍を国境線で食い止めている。

この後、NATO軍予備インパルスとなり、後方の部隊が前線に向かったが、あくまで戦線の整備だけでまだ反撃が行える状況では無かった。

そして再びワルシャワ条約軍第2インパルスの第1梯団サブ・インパルス。ポーランド軍部隊は、西ドイツ第6装甲擲弾兵師団を除去してリューベックを占領。ただし西ドイツ軍の最後の一太刀で全部隊、混乱1を被った。ソ連東ドイツ軍も、ハノーヴァーに立て籠もっていた西ドイツ第1装甲師団を除去し、これを占領。

中部フルダ峡谷でも、ようやくソ連第1親衛戦車軍スタックが、アメリカ第11機甲騎兵連隊を除去して西ドイツ領内に突入。アメリカ第3機械化歩兵師団、第2機甲騎兵連隊も後退し、ソ連第8親衛戦車軍の先鋒がニュルンベルグに迫っている。この後退により、アメリカ第1機甲師団が国境で孤立することに。一応NATO軍も直協支援を送り込んでいるが、ワルシャワ軍の防空網に阻まれ、対地支援機は帰投するしかなかった。

続くワルシャワ条約軍第2インパルスの第2梯団サブ・インパルス。ハノーヴァーを陥落させたソ連東ドイツ軍スタックが余勢を駆ってブレーメン南にいる、アメリカ第2機甲師団を攻撃。しかしここには西ドイツ軍のアルファジェット隊が直協に駆けつけ、攻撃側は混乱2を被った。この時点で両軍とも、航空支援任務の航空機を使い切っている。

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この後、ようやくNATO軍セグメントとなり、第1ターンの増援が到着。アムステルダムの事前集積基地(POMCUS)にはアメリカ第4機械化師団が登場し、オランダ、ベルギー、フランス軍も前線に着き始めている。西ドイツ、デンマーク、中立国オーストリア等の地域予備部隊も動員開始。

NATO軍第1インパルスでは各所で反撃が実施され、決定的な打撃は与えられなかったものの、ワルシャワ軍スタックを後退させつつ、前線で疲弊した部隊を後方へ引き抜き、第2インパルスで混乱を1回復させる、という手順が取られた。孤立しかけていたアメリカ第1機甲師団ニュルンベルグまで後退。

とまあ、これにて第1ターン終了(最初の一週間)。手番としてはワルシャワ軍、ワルシャワ軍、NATO軍、ワルシャワ軍、ワルシャワ軍、NATO軍、NATO軍、NATO軍という流れになるため、一般的な「I Go, You Go(俺の番、お前の番)」的なウォーゲームの3~4ターン分ぐらいのボリュームがある。

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ちなみにこちらが第1ターンに撃墜された両軍の航空ユニット。奇数個の場合、次のターンにランダムに1個が復活し、それ以外は永久除去となる。この続きはPart.2にて……