「Across the Bug River」「Operation Theseus」と同じシステムを搭載したシリーズ第1弾「Crossing the Line」(第2版)も「小さなウォーゲーム屋さん」から購入した。初版は2019年に出版され、その時もちょっと興味を惹かれたが、あっという間に品切れてしまった。しかし今回、地図盤をハードボード化した第2版として再版されたので、初版をスルーして良かったなと。
本作は元々、1995年にMoments in Historyから発売された「Piercing the Reich」のリメイク版だそうだが、あいにくそちらも存在は知っていたものの、特に惹かれることは無かった。自分の場合、コンポーネントの見た目で好みが分かれるので、MiH版は好みではなく、このVUCA版は好みだったのだろう。
本作のお題は、1944年9月~10月にかけてのアーヘン周辺での戦闘。アーヘン市を両翼から包囲せんとするアメリカ軍と、それに対するドイツ軍の反撃を扱う。
カウンターシートは4枚。こちらはアメリカ軍。機甲師団も歩兵師団も指揮範囲15ヘクスという広大な活動領域を誇る。このシリーズでは、戦車と駆逐戦車や突撃砲との違いはあまり表現されていないため、M10駆逐戦車は単なる「弱いM4シャーマン」という感じ。まあ、そのあたりの戦術的ディティールを楽しみたいなら、同じ1ユニット=大隊級のBCS(Battalion Combat Series)か、GOSS(Grand Operational Simulation Series)に挑戦してほしい。
ドイツ軍にはパンター(戦車ポイント10)、ティーガーIIやヤークトパンター(戦車ポイント12)という強力なユニットがあり、アメリカ軍のM4シャーマン(戦車ポイント6)とはかなりの開きがある。この戦車ポイント差は、そのまま戦闘解決の際のダイス修整になるため、M4シャーマンがティーガーIIに攻撃をかければ、ダイス修整-6(超絶不利)となる。プラスのダイス修整を得るには、自軍ユニット(特に同一フォーメーションのユニット)と共に複数ヘクスから攻撃したり、司令部の支援値(砲兵等を表す)をぶち込む必要があり、要するにアメリカ軍は戦力を集中して物量で押し切れと。
本作も、戦車ポイント以外の部分ではあまり差の無い対決なので、バランスの良い対戦が楽しめそうだ。一緒に買った「Operation Theseus」と、どちらから手を着けるかは悩ましいところ。