Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【Grand Operational Simulation Series】World at War 80号「Hannut : Tank Action France 1940」

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Decision Gamesから発行されている、第二次世界大戦ウォーゲーム専門誌「World at War」80号を購入。「WaW」誌を購入するのは、これが初。今回は付録ゲームの日本語ルールが欲しかったので「小さなウォーゲーム屋」さん経由で購入と。

そんな「WaW」80号の付録ゲームは「Hannut : Tank Action France 1940」。タイトルにはフランスとあるが、焦点となるアニュ(Hannut)の町は、ベルギー領内にある。このアニュ近辺で、1940年5月12日~5月16日にかけて行われた戦闘を「Wacht am Rhein(2012)」「Hurtgen:Hell's Forest」「Atlantic Wall(2014)」「Lucky Forward」と同じGOSS(Grand Operational Simulation Series)システムで再現するというもの。正直、一番最初に『WaW誌にGOSS作品が付く』と知った時は『正気か!?』と思った。なにしろGOSSと言えば、基本ルールだけで英文三段組80ページという、鬼のように詳細なWWII戦術作戦級ゲームなので、そんなもん付録に付けてどうすると。ただ、よくよく調べてみると、今回の付録はGOSSルールの簡略版を使っているそうなので、それはそれで見てみたいということで購入に至った。

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戦場となる地図盤は、フルマップ1枚のうち3/4程度。1ヘクス=1マイルなので、既存のGOSS作品とも同じ縮尺。一応、ヘクス径は大きめなので、ユニットやマーカーの扱いが煩雑なGOSSにしても、これなら扱いやすい。そして地図盤的に描かれた意匠も、まさにGOSS。簡略版だからといって、どこか省略されているような気配は無い。

ちなみにこの地域、ドイツ軍ヘープナー装甲軍団が陽動攻撃をかけた、いわゆるディール線の後方。「ジャンブルー(Gembloux)の間隙」とも呼ばれる一帯で、ここに防衛線を張った、フランス軍プリウー将軍の騎兵軍団(名前は騎兵だが、その実は戦車軍団)との間で、両軍初の、大規模な戦車戦が展開されたというもの。タイムスケールも、3ターン=1日(午前・午後・夜間)なので、既存のGOSS作品と同じ。

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GOSSの戦闘結果表=地上攻撃(GA)解決表は、両軍プレイヤーが、それぞれ二桁にのぼるダイス修整を計算したうえで、お互いにd100ダイスを振り合って決めるという、非常に面倒くさいものだが、それも簡略化されずにそのまま使用されている。いや正直、そこは簡略化された戦闘結果表を出してくるかと思いきや、そんなことは全然なかった。ダイス修整にしても、本家GOSSルール同様、練度差×5とか、機甲/対戦車得点×10とか、そのまんま。つまり簡略化と言っても、ウォーゲーム入門者に向けた簡略化ではなく、あくまでGOSS入門者に向けた簡略化になっている。このゲームで、基本的な戦闘手順や計算に慣れてもらって、本家GOSSに移行してもらうということなんだろう。

じゃあどこが簡略化されているかと言えば、砲兵ユニットが省略され、砲兵支援はポイント化されている。兵站物資(弾薬、燃料等)の割当も無し。えーと、あと何が省略されているんだ……それを探し当てるのが難しいくらい、本家GOSSのルールは多い……

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こちらは、ドイツ軍ユニット。省略されたはずの砲兵ユニットもあるが、一応、本家GOSSルールでもプレイできるように用意されている。そのためユニットデザインも、本家GOSSとまったく同じ形になっている。しかしさすが1940年となると、ドイツ軍戦車ユニットの機甲値(1や3)も頼りない。なにしろ今までのGOSSでは、1944年~1945年のドイツ軍戦車ユニット(パンターなら6、ティーガーIIで7)ばかり見てきたので。

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対するフランス軍にも機甲値3のユニットがあり、第2軽機甲師団(2DM)の練度は攻撃6/防御7と、ドイツ軍装甲師団とほぼ互角だし、良い勝負になりそうな気もする。

とまあ、ざっと見た第一印象で言うと、思っていた以上にGOSS。容赦なくGOSS、という感じ。実際、かなり簡略化されているが、初めてこれでGOSSに触れた方は『なんじゃこの面倒くさいルールは!』と思われるだろう。だがそれがGOSS。個人的には、あまり簡略化せずにGOSSの神髄をぶつけてきたあたり『よし、それでいい』と感じたが、多分、平均的なウォーゲーマーからすれば、単なるイヤガラセというか、高すぎる壁に感じるかもしれない。だがそれがGOSS……