Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

Compass/GDW「The Third World War : Designer Signature Edition」

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Compass Gamesの新作「The Third World War : Designer Signature Edition」が到着。初めてキックスターターを使って事前注文したものの、達成されて1ヶ月経ってもモノが届かず、Compassにメールしたら送ってくれたという……蕎麦屋の出前じゃないんだからさあ。

それはともかく本作は、かつて1980年代にGDWから発売されていた仮想第三次世界大戦シリーズの4作、「The Third World War : Battle for Germany(中欧編)」「Arctic Front(北欧編)」「Southern Front(南欧編)」「Persian Gulf(中東編)」をまとめて再販したモノ。日本でもホビージャパンから、欧州編をまとめた日本語版「ザ・サード・ワールド・ウォー」と「ペルシアン・ガルフ」として発売されていた。自分も当時、日本語版を購入し、特に中欧部分は何度もプレイした覚えがある。当時はすでにSPIが潰れていて、1970年代製の現代戦ゲームが入手しにくくなっていたが、そこへ颯爽と1980年代産の現代戦ゲームとして登場したように感じていた。個人的にも、自分とはちょっと年代がズレるSPIの現代戦ゲームよりも、本作の方が『僕ら世代のゲーム』のように感じられた。

システム的にも、今現在GMTから発売されている「Next War」シリーズのご先祖様的な立ち位置(特に航空戦)にあるゲームだと思うので、再販を非常に楽しみにしていた。まあ、ウクライナ戦争によって、まさに第三次世界大戦の危機が叫ばれる中、本作が届いたというのも、なにかの因縁なのかもしれない……

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地図盤は、フルマップ6枚。1ヘクス=45km。こちらは「Arctic Front(北欧編)」用の地図盤B。旧GDW版ではヘクス径が小さく、ハーフサイズに分割されていたが、今回のCompass版ではヘクス径も拡大され、旧版の地図盤を2枚連結した形になっている。ちなみに旧ホビージャパン版の地図盤は紙質が悪く、折り目からメリメリと破れていく悲しい仕様だった……

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そしてこちらが旧「The Third World War : Battle for Germany」(中欧編)の地図盤AとD。旧版は地図盤Aの範囲のみだったが、今回の再版にあたって範囲が東側の地図盤Dにまで拡張され、ポーランド全域はもとより、当時まだソ連邦領内だったリトアニアベラルーシウクライナといった地域まで収められている。この拡張地域が発売前に公開された時、ウォーゲーマーたちから『そこ必要?』というツッコミが入ったが、実際、本作でもこの地図盤Dを使用するシナリオは用意されていない。まあ、そのうち追加シナリオとして、NATO軍の東側逆侵攻シナリオが発表された暁には使うのかもしれないが……

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こちらは「Southern Front(南欧編)」の地図盤C。実は旧版では、地図盤Dのウクライナルーマニアも含まれていたが、今回の再版では、あまり必要ないだろうということで省略してプレイするようになっている。そこを使いたければ、地図盤Dの一部を継ぎ足して使えと。ちなみに当時の自分は、「Battle for Germany」と「Southern Front」を連結するシナリオをよくプレイしていたと思う。「Arctic Front」はあまりプレイした覚えが無いなあ。

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こちらは「Persian Gulf」(中東編)の地図盤EとF。一応、自分も日本語版「ペルシアン・ガルフ」は購入したが、プレイした記憶は無い。ただ当時、湾岸戦争が始まったので、本作のイラク軍などのユニットを見て、その戦闘をシミュレーションしてみたことはある。するとどう考えても多国籍軍の圧勝になり、実際そのような展開になったので、ああ、このゲームって正しかったんだなあと感心したのは覚えている。

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カウンターシートは9枚、カウンター総数2052個。ただし戦闘ユニット系はその半分以下で、大半はマーカー類になっている。1ユニット=師団が基本で、一部、旅団/連隊規模のユニットも存在する。

こちらはソ連軍ユニット。カウンターも旧版より大きくなり、デザイン的には子孫であるGMT「Next War」シリーズに似せてきている。旧版とは違って、各ユニットにステップロス面が設けられ、スタック規模や、ZOCの種類、移動クラス、NBC防護能力の有無などが記載され、ぱっと見て判別できるようになっている。航空機ユニットも、表面に整備値が記されている(旧版は裏面)。

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こちらはアメリカ軍を筆頭とするNATO軍。ソ連軍は赤、アメリカ軍は緑、というのは旧版と同じだが、それ以外の国色は旧版から結構変わっていて、どれがどれやら。また旧版には、アメリカ軍の謎の新鋭機「F19フリスビー」(トム・クランシーのレッドストーム作戦発動でお馴染み)ユニットが付いていたが、今回も付いている。もちろん、そんな機種は実在しないので、リアルさを求めるゲーマー向けに、旧版には無かった「F117ステルス攻撃機」が追加されている。

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そしてマーカー類の山。

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セットアップシートは各シナリオ毎に用意され12枚。そういや旧版では、ユニット裏面に配置ヘクスが記されていたっけ。

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ターン進行表、ターンシークエンス表、戦闘結果表、戦闘比管理トラックと、図表類もてんこ盛り。

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各戦域ごとの空戦ディスプレイは切り離して使うスタイル。

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さらに地形効果表、各国区別表、地図盤外移動ディスプレイ(これは旧版には無かった)、核攻撃と空輸管理ディスプレイ、中立国参戦ディスプレイ、「Persian Gulf」で導入された外交カードと、補助シートも充実している。全部広げたら、えらいスペースを喰うだろうが……

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プレイブックには、旧版にも載っていたFrank Chadwick氏の記事がそのまま再録されているが……そうそう、各地上ユニットの攻撃力・防御力をどのように算定したか、公開されていたんだよね。こういう形で戦闘力を算出するのが適正かどうかはともかく、当時の自分(高校生)はとても納得していた。

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陸戦部分のゲーム手順だけ採り上げると、まずワルシャワ軍セグメントとしてワルシャワ軍第一梯団の移動・戦闘、第二梯団の移動・戦闘、NATO軍の移動・戦闘、ワルシャワ軍の第二移動・戦闘を行い、次にNATO軍セグメントとしてNATO軍の第一移動・戦闘、NATO軍の第二移動・戦闘を行うという変則的な流れになっている。1ターン内で見れば、双方3回ずつ移動・戦闘のチャンスがあるのだが「I Go You Go」ではないと。まあそれも、当時想定されたワルシャワ軍怒濤の梯団攻撃と、それに対するNATO軍のエアランドバトルだかなんだかを表すためのものだろう。

空戦部分は、各戦域毎に航空優勢を争い、地上ユニットの戦闘支援や、補給遮断、ディープ・ストライク、敵航空基地(滑走路)破壊を行うというもの。このあたりは、後のGMT「Next War」シリーズにも受け継がれている。

とまあ、ボリュームたっぷりの内容だし、個人的にも懐かしいタイトルなので、そのうち「Battle for Germany」あたりからプレイしてみたい。

ちなみに昔、コミケで本作の「極東編」も発売されていたが、これもCompassから出してくれんかのお。

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(2022年7月19日追記):Compass Gamesから訂正カウンターが到着。どうやらプレオーダーした顧客のところには自動的に送付されていたようだが、自分はキックスターター経由だったせいか、いつまで経っても届かないので、こちらからCompassに『送ってくれ』とメール。特に返事はなかったけれど、2週間で届いた。まあ、送ってくれればいいけど、こういう扱いでは、Compassキックスターターは使わない方が良いなあと。あくまでプレオーダーした方が良さそうだ。