Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「戦国武将列伝9 中国編」

きっちり毎月買い続けている「戦国武将列伝」シリーズの第9巻「中国編」が出たので購入。もちろん中国地方の戦国武将と言えば「毛利元就(とその一族)」が思い浮かぶが、本書のはしがきにもあるように、そのような毛利氏中心史観は、江戸期の軍記物の影響が強いそうで、実際の史実はまた別だったり、中国地方を長く制したという意味では、大内氏や尼子氏の方が、戦国中国地方を代表する人物なのだろう。高名な郡山城合戦(少数の毛利軍が、大軍の尼子軍を撃退)についても、その戦略目的や経緯など、かなり毛利氏寄りにバイアスがかかった状態で伝わっているようなので、そういった旧来のイメージを刷り込み直すのも面白い。

ちなみに主著者・光成準治氏の「関ヶ原前夜」でも、関ヶ原戦において印象の薄い毛利輝元について、いや実はなかなかしたたかに、そして能動的に行動していたフシがあるとの見解でそちらも面白かった。戦国時代の研究も日々進んでいるようなので、専門の研究書までは手が出ないが、せめて本書のような本ぐらいには目を通しておきたいと思う。