Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GJ別冊「激闘関ヶ原」

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ゲームジャーナル別冊「激闘関ヶ原」を購入。本作は元々、1988年にツクダから発売された作品なので、35年ぶりの再版となる。自分は当時、なぜかこのゲームを友人の誕生日プレゼントに贈ったが、結局遊ぶ時は我が家に集まるので、しばらく我が家にずーっと置いておかれて、対戦もしたし、自分でもソロプレイしたし、思い出深いタイトルではある。ツクダ版は、もう手元には無いが……

システム的には、同じくゲームジャーナル別冊として再版された「幸村外伝」と同一であり、単純に攻めたり撃ち返したり、押したり引いたりを繰り返す単純なメカニズムであり、言っちゃなんだが、そんなに細かく頭を使うゲームでもないのだけれど、それなりに戦国合戦の雰囲気は味わえてしまうのが良いところ(褒めてます)。

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地図盤は、旧版と同じくフルマップ1.5枚を横につなげ、関ヶ原合戦全域をカバーしている。史実では戦闘が行われなかった南宮山方面も含まれているが、本作には仮想シナリオも多々収録されているため、そちらを使う可能性もある。ちなみに地図盤は、和紙っぽい手触りになっていて、それもまた雰囲気良し。でも個人的には、プレイする時に透明ビニールマット被せるから関係ないっちゃない……

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地図盤上には、参戦諸将のユニットを配置する範囲が描かれている。

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こちらが東軍・徳川家康本隊。戦闘力・士気・移動力という能力値的には、可も無く不可も無く、平均(444)よりやや士気が高い(454)という程度だが、とにかく数が多い。前線指揮官本多忠勝(676)は頼もしいが……

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こちらは東軍先鋒、福島正則(7*6)、黒田長政(666)、細川忠興(556)、加藤義明(555)といった面々。福島隊の前線隊長・可児才蔵(766)、黒田隊の侍大将・後藤又兵衛(776)あたりがうっかり討ち死にしてしまうと、ゲーム的な戦意喪失はもちろん、東軍プレイヤー本人の士気も下がってしまうのよね。また仮想シナリオとして、中山道を通って登場する徳川秀忠隊もあり。ただしその場合、真田昌幸・幸村親子も登場するのだけれど。また当時は九州にいた加藤清正(7*6)隊も用意されているが、特にシナリオは用意されていないので、史実的には東軍だったのだろうが、なんなら西軍で使ってもいいのかもしれない。ちなみに士気*は、士気チェック無用の鬼ユニット……

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対するこちら、西軍主力の石田三成(7*4)、宇喜多秀家(675)、小西行長(555)。大谷吉継(7*5)は、ツクダ版だと、ちゃんと輿に乗っているシルエットだったのに、このGJ版では普通の武者イラストなので残念。西軍も前線隊長クラスは頼もしく、島左近(7*6)、蒲生郷舎(776)、舞兵庫(666)、明石全登(766)あたりが討ち死にすると、西軍プレイヤー本人の士気がだだ下がるだろう。そして島津義弘(8*6)、島津豊久(7*6)という鬼コンビも……しかしこの35年の間に、島津豊久も有名なキャラクターになったよなあ……

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そして西軍のような東軍のような、小早川秀秋(443)、毛利秀元(554)、吉川広家(665)、長宗我部盛親(766)、安国寺恵瓊(444)といった皆さん。

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さらに仮想シナリオに登場する、毛利輝元(564)、立花宗茂(7*6)、豊臣秀頼(2*1)、真田昌幸(7*6)、真田幸村(8*6)など、史実では関ヶ原にいなかった皆さんも収録され、さまざまな状況が楽しめるようになっている。

シナリオとしては、史実シナリオ(途中から小早川などが東軍へ参入)、不確定シナリオ(誰がいつ寝返るかランダムに決定)、裏切り無し(小早川隊も2イニング目から西軍へ参入)、毛利輝元出陣、田辺城包囲部隊の参戦、大津城包囲部隊の参戦、豊臣秀頼出陣、秀忠と真田隊来援とあるので、好みのシチュエーションを選べば良いと。

まあ、近年では「小早川の裏切りは無かった」説が主流になっているようなので、本作のシナリオには無い、最初から小早川や赤座隊が東軍として行動するのが近年の史実シナリオなのかもしれない。そういった自作シチュエーションも、特に問題無くプレイできるので、試してみるのもアリかと。

 

あと、デザイナー御本人も「西軍ファン」と書かれているので、全体的に西軍寄りの判官贔屓的なレーティングにもなっているが、それはそれでキャラクター物としてはアリかなと。まあ、本来の史実では、最初から小早川隊が東軍に与して西軍の側面を突き崩したんですよ、ということなら、もう少し小早川隊の能力値を上げても良いような気もする。自分が以前プレイした時も、東軍が苦戦したゲームプレイが多かったようにも思う。とりあえず近年主流の「最初から小早川は東軍です」シナリオを勝手に設定して、久しぶりにプレイしてみたいなあ。