Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

GJ別冊「幸村外伝 真田幸村・大坂夏の陣」

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2016年に発売された、ゲームジャーナル別冊「幸村外伝」を購入。こちらも1986年にツクダから発売されていた同名ゲームの再版だが、当時これは買わなかったのだ。もちろん当時、自分の視界にも入っていたが、出たゲームを全部買うわけにもいかなかったのでスルーしたと。ちなみに同じシステムで後に出版された「激闘関ヶ原」は購入して実際にプレイもした。単純なメカニズムながらも、意外に手に汗握るシステムだったのが印象深い。そしてこの「幸村外伝」は、大坂夏の陣、最後の天王寺決戦を1ユニット=150~300人というスケールで模している。最近、GJ版ツクダ戦国ゲームを買い直しているが、結局その流れで本作にも手を出したと。

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フルマップ1枚に天王寺周辺の戦闘地域が描かれている。たしかツクダ版は、もっと無味乾燥な、白っぽい地図盤だったような。

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ユニットは、武将、騎馬、騎馬鉄砲、鉄砲、足軽という、当時の兵種別に分かれている。各ユニットには戦闘力、士気、移動力が記され、射撃や白兵戦で士気チェックを強いられ、それに成功すれば踏みとどまり、失敗すれば後退、あるいは除去となる(一発除去もある)。また白兵戦によって敵を除去すれば、ZOC(敵支配地域)を無視して4ヘクス前進という、豪快な敵中突破メカニズムもあり。まあ、突出し過ぎれば袋だたきに遭うのだろうが……

ゲーム手順は非常にシンプルで、自軍の移動、敵軍の防御射撃、自軍の射撃、自軍の白兵戦を繰り返すだけ。しかしこの単純な手順を繰り返していくと、お互いに鉄砲を撃ち合い、士気チェックで怯んだ者は後退し、後続を乗り越えて逃げれば連鎖後退が発生し、士気チェックに耐えた者は攻めかかり、一進一退、押しつ押されつの、いかにも戦国合戦っぽい流れになるので、非常に雰囲気は出ている。

そうなると敵の射撃や白兵戦に耐えられるかどうかという士気が重要になるが、本作の主人公キャラ、真田幸村の士気値は「*」。つまり士気チェックを行わなくてもいいという問答無用ぶりである。仮想シナリオ用の真田昌幸も同様に士気「*」。まあ、豊臣秀頼まで「*」なのはカッコ良すぎる気がするが、結局、射撃や白兵戦で一発除去を喰らう可能性もあるので、幸村無双というわけでもない。それでも、ある意味、武将キャラの立ったシリーズでもある。

また選択ルールとして、真田十勇士による家康暗殺、後方攪乱、幸村の影武者ルールや、それを阻止する徳川忍軍ルールもあり。たしか発売当時、タクテクス誌の紹介記事を読んだ際、そのルールだけ妙に印象深くて『なんだかイロモノっぽいゲームだなあ』と勘違いしたのだが、本筋はオーソドックスな会戦級ゲームである。

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ゲームジャーナル62号(秀吉軍記の号)には、徳川方の差し替えカウンターが入っている。まあ、それが先に手に入ってしまったので、本作を買ったという話も。

そしてこの「幸村外伝」と同じシステムで、大坂夏の陣の、八尾・若江合戦、道明寺合戦を描いた「幸村外伝Episode-0」も新作として発表されている。まあ、流れ的にはそれも買うよね……ということで次回はそのご紹介。