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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「戦国武将列伝8 畿内編(下)」

昨年から刊行が始まった「戦国武将列伝」シリーズ(全12巻予定)の第8巻「畿内編(下)」を購入。はしがきにもあるように、この時期の、この地域には、細川だの畠山だの同じ名字の人物がわらわら現れ、どれがどれやら分からなかったり、三好長慶にしても兄弟がみんな他家へ行って名字が変わっていたりと、なかなか人物相関図を頭の中で把握するのが難しい。いや毛利家の兄弟だってそうだけど、毛利ほどのインパクトのあるエピソードを持った人物も少ないしね。

しかしこの地域では珍しくインパクトのあるエピソード満載の松永久秀の章を読むと、実は足利義輝殺害に直接関わった史料は無く、東大寺大仏殿に放火したことを証明する史料も無く、平蜘蛛の茶釜と共に爆死した話も無く、実は最期は自害していて、その首もちゃんと信長の元に届けられたとあり、その梟雄的なイメージは後世以降の俗説だという。なるほど、そういうエピソードは覚えやすくて面白いのだけれど、こうして近年の研究に目を通して、情報を再インストールするには良いシリーズ。