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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「戦国武将列伝1 東北編」

昨年末から刊行が始まった「戦国武将列伝」シリーズ(全12巻)の第一巻「東北編」を購入。本書では、松前、九戸、津軽、南部、最上、大﨑、葛西、伊達、岩城、相馬、蘆名氏等からそれぞれ数名、著名な大名や家臣が選ばれ、近年の研究を踏まえた紹介が綴られている。しかし、ここまで出版された同シリーズの関東編(上)、畿内編(上下)、四国編はいずれも収録武将数が40人以上だったのに対し、本書はやや少なめの29人なので、ややメンツ的に物足りない気もする。本書の「はしがき」にも「もともと東北地方は絶対的に史料が少ない地域」とあるので、なかなか研究も難しいのかもしれない。

そんな東北で最も著名な伊達政宗については、摺上原合戦までの経緯しか述べられていないが、さすがにその生涯をすべて十数ページに収めるのも難しく、そういった高名な人物については、やはりそれ専門の研究書を読んだ方が良いのだろう。

個人的には、伊達成実は猛将っぽいイメージだったが、本書を読むと調略に長けていたり、領域支配能力を買われていたフシもあり、内政能力も高かったんだなあと。

本書で紹介されている東北武将が数多く登場するウォーゲームと言えば、戦国群雄伝シリーズの「独眼竜政宗」だが、30年前にツクダ版を買った時にプレイして以来、ご無沙汰なので、昨年ゲームジャーナル版も入手したことだし、また触れてみたい。まあ、30年前にプレイした感想としては、短い夏の間に戦役を始めて、城の包囲戦をやっている途中で裏切りイベントが発生して包囲を諦めて帰国したり、冬になって雪が降り戦役を中断したりと、一向に戦局が進展せず、そりゃあそんな戦をやっていたら中央の動勢に遅れるよなあという、非常に学びの多いゲームだった。本書でも、妙に野戦修整が高く、行動力は低い相馬義胤(★332)についても詳しく知れたのが面白かった。

その他にも、コマンドマガジン137号付録「慶長出羽合戦」や、GMT「Ran」の摺上原合戦シナリオもプレイ済みなので、意外と東北戦国期のゲームには触れているんだなあと。実は、自分自身の母方実家が岩手県なので、何かしら東北には縁があるのかもしれない……