今年4月に出版された「中国軍、その本当の実力は:中国軍は台湾を着上陸侵攻できるのか」を購入。この手の本もすごく出版点数が増えたけれど、無闇に扇情的な内容ではない、なるべく本職の研究者による真っ当なシミュレーションが読みたいなと思い、こちらを選択。ここ一年のウクライナ戦争の推移も見た上で、ロシア軍と同じく、ソ連軍をルーツとする中国軍ならどうするかという視点で、台湾侵攻作戦を検討した内容。
『全域戦場』は、陸上戦闘と海空戦闘の2つの核心に分かれており、近未来の想定背景のウォーゲームで、ゲームメカニズムは現代戦争の技術対抗と軍事理論を知識レベルでできるだけ解体しています。 pic.twitter.com/jGHIbl2hVz
— GavinHu (@WDG_GavinHu) June 2, 2023
実は、ぷちウォーゲームさん経由で、中国・上海のゲームメーカー製の仮想・台湾侵攻シミュレーションゲーム「全域戦場」を予約したので、その参考にと思って読んでみた。この手の仮想戦ウォーゲームもいろいろ出版されているが、もちろんほとんどがアメリカ製で、一部日本製もあったりするが、中国製も一度見てみようと思って。
手元にも、中国軍の台湾侵攻を扱った「Next War:Taiwan」や「Abandoned Fleet」があるけれど、「Next War」シリーズはベースがGDW「The Third World War」システムなので、どうしても陸戦メイン、空戦サブ、それ以外は脇役という扱いで、逆に「Fleet」シリーズは海戦メインと、どちらも1980年代ウォーゲームの延長線上であり、システムそのものとしてはちょっと古いかなと感じている。ゲーム制作当初から、今時のマルチドメイン(複合領域)作戦とか、クロスドメイン(領域横断)作戦とか、ハイブリッド戦争とか、情報化戦争と呼ばれる多次元的な戦争を再現する形にはなっていない。もちろんサイバー戦ルール等もあるし、無人機(ドローン)も登場するけれど、あくまでも後付けなので……。まあ、実際の「全域戦場」システムがどうかはわからないが、出来れば21世紀の多次元的戦争を上手く包括できていると良いなあ……と期待している。