Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【BANZAI Magazine】vol.19「Panzers Along the Terek」(全域戦場 Joint All Domain Operationの紹介記事を書きました)

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今月発売の、ボンサイ・ゲームズさんのBANZAIマガジンvol.19を御恵贈いただきました。付録ゲームは、1942年11月のカフカス(コーカサス)地方での独ソ両軍の戦闘を扱った「Panzers Along the Terek(テレク河畔の戦車)」。以前、Twitterで話題になったタイトルなので、付録ゲーム化されたら買ってみようと思っていたが、まさか頂戴できることになろうとは。

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こちらがその地図盤。戦闘の主眼となるのはテレク河畔の街、オルジョニキーゼ。この地に攻め込んだドイツ第3装甲軍団が、多量のレンドリース車輌を有したソ連軍から反撃を受け、後に第5SSヴィーキング師団まで投入する……という展開。ソ連領内に侵攻したドイツ軍からしてみれば、その最も奥深くに到達した、突端とも言える位置である。WWII東部戦線キャンペーンゲームでこの位置を確認すると大概、『よくまあこんなところまで攻め入ったもんだなあ』と感心する。ゲームスケールは1ヘクス=1km、1ターン=1日、1ユニット中隊~大隊~連隊/旅団なので、やや細かめの作戦級というか、戦術作戦級と言っても良いスケールかなと。

ちなみにこのテーマは「OCS:Case Blue」の「Edge of the World(世界の果て)」シナリオでも扱っていて、自分も以前ソロプレイした経験がある。一応、当時のプレイ記録も残っているけれど、今から15年も前なので、ケータイカメラの画質の悪いこと……

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こちらがドイツ軍。1ユニット=戦車は中隊、それ以外は大隊になっている。各ユニットには、戦力・戦車優越値・移動力が記されているが、ドイツ軍主力の第13、第23装甲師団の移動力は「?」になっている。これ、当時の補給状態が悪かったため、各ターン毎に得られる移動力をプレイヤー側で配分して与える仕組みになっている。装甲優越値としては、IV号長砲身戦車の5、III号突撃砲の4あたりが頼もしい。マーダー等の対戦車砲は、戦車優越値は使えるし、損害も引き受けられるけれど、攻撃の際に戦力を加えられないという扱い。

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こちらがソ連軍。レンドリース車輌多めとあって、米英ソのごちゃ混ぜ戦車部隊になっている。やはり頼りになるのは、装甲優越値4のKV-1、T34/76あたりか。

ゲームターンは、砲爆撃、周密攻撃、移動(機動攻撃)、回復を繰り返す、攻撃⇒移動という珍しいパターンになっている。軽めにプレイできる作戦戦術級としてなかなか面白そうだ。

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そんな今号をなぜ御恵贈いただいたかと言うと、実は「全域戦場 Joint All Domain Operation」の紹介記事を書いたので。一応、特集記事として、軍事プロフェッショナル向けの商用ウォーゲームというくくりで、「Littoral Commander」「We are Coming, Nineveh」と並ぶことになった。昨今、台湾有事を想定して、どこそこでシミュレーションが行われた、ウォーゲーミングが行われたという話をよく聞くが、たしかに「全域戦場」も、各国軍や安全保障の関係者が使用していてもおかしくないなと。

記事の方は、群像劇的な軍事スリラー小説(レッドストーム作戦発動のような)風に書いてみたし、実際そういったストーリーも紡げるゲームシステムだと思うので、ご興味のある方は是非是非……m(_ _)m