Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

Modern War #27 「Modern Battles : Kaliningrad & Mosul」

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Modern War誌22号「New World Order Battles」を買ったので、同じシステムのゲームが付録に付いている27号(2017年発売)も購入してみた。まだ秋葉原イエサブに店頭在庫も残っていたし。表紙には「Crisis in the Mid-East(中東の危機)」とあり、Josepf Mirandaによる、シリア内戦と、2014年のイラクのモスル奪還作戦等を伝える記事が載っている。また、この号に付いている2in1の片割れゲームも、モスル奪回作戦を扱ったゲームなのだが、そのタイトル「Modern Battles : Kaliningrad & Mosul」は表紙には載っていない。もっと言ってしまうと、これ22号の2in1ゲームと合わせて同一システムのクワドリ(4部作)になっているのだから「New World Order Battles II」というタイトルの方が良かったんじゃない? なんでこんな仕様になったのか、謎である……

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とにかく本号にも、MW22号と同一システムで21世紀の戦争を模したハーフサイズのゲームが2つ収録されている。そのうち1つは、先にも述べた「Mosul」。2014年6月に、過激派組織イスラム国(ISIS/ISIL)によって支配されたイラクの都市モスルに対して、アメリカ軍やイラク政府軍等が行った奪還作戦。1ヘクス=1.75km。攻める多国籍軍の中では、アメリカ軍はハイパーウォー能力を有するが、それ以外の部隊には、その能力はあまり見られない。ハイパーウォー戦闘結果表の中には、そういった能力差を持つ部隊の連携のまずさを表す結果(非ハイパーウォー部隊だけが退却する)もある。対するジハディスト側にも、ハイパーウォー能力を有しているユニットがあり。また22号のゲーム2作には無かった要素として「インストレーション(軍事施設)」という、裏向きにして配置される、武器庫、陣地、訓練キャンプ等が登場し、同じヘクスにいる友軍ユニットを支援してくれる。 

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2in1のもうひとつは、仮想戦「Kaliningrad」。ロシアの飛び地であるカリーニングラード(旧ケーニヒスベルク)に対して、NATO軍やヴィシェグラード軍(ポーランドハンガリーチェコスロバキア)が先制攻撃をかけるというもの。ずいぶん、威勢が良い設定だなあ。いやだけど、NATO軍もヴィシェグラード軍も、ハイパーウォー能力ユニットはほとんど無いぞ。ネットウォー・マーカーで頑張る気か。対するロシア軍は、ハイパーウォー能力ありのバルト海作戦コマンド部隊に加え、インスタレーションも配置して、西側諸国軍を迎え撃つ。うーん、逆にロシアが打って出る設定なら、納得できるんだけどなあ。 

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まあ、一応この22号と27号で、21世紀の「Modern Battles」クワドリ4作は勢揃い。しかしプレイするかと言われれば微妙。ハイパーウォー能力の表現にしても、個人的には違和感がある。通信や索敵、暗視戦能力等に長けているのに、移動した後、防御側から(非ハイパーウォー部隊でも)先に防御射撃を受けてしまうのってどうなの?と思ったり。第二次大戦のウォーゲームならともかく、いっそハイパーウォー部隊は、移動した後、先制射撃もできるくらい優遇した方が、その優位性が際立つような。まあ、Mirandaがそう思うなら仕方ない。この2冊も、プレイしたいというより、今時の技術なり戦術が、どのように表現されているのか知りたかっただけなので、自分のような面倒臭いウォーゲーマーは、もっと面倒なウォーゲームに進むとしよう……