7月の新刊「地政学原論」を購入。最近、地政学とタイトルの付いた本もかなり増えてきたが、中には妙に扇情的な内容もあるので、一応気をつけて買うようにはしている。それも本書で語られているが、地政学を意図的に政治化している本もあるので、なるべく真摯な学究肌の本に触れたいし、日経の原論シリーズなら「戦略原論」「空と宇宙の戦略原論」も参考になったので良いかなと。
本書では、地政学そのものの歴史を、マッキンダー、スパイクマン等の思想家たちを通じて紐解き、それが大戦前後で政治的に利用され、戦後はタブー視されてきたという経緯にも触れている。そういった差別的な目で視られるという意味では、戦略研究や軍事学もそうだし、戦争に関わるという点ではウォーゲームもそうだよなと。まあ、ホビー・ウォーゲームとなると、軍事研究の大衆化なのだろうけど。
また本書では、地政学的に現在の世界情勢……インド太平洋地域での米中を中心とした対立構造も概説している。このあたりは、21世紀の戦争を扱ったウォーゲームの背景を知るにも役立つと思う。
先日、アメリカの戦略シンクタンクであるランド研究所が、一般向けに初めて「Hedgemony」なるウォーゲームを発売した。アメリカ、EU/NATO、ロシア、中国、北朝鮮、イランプレイヤーの他に、記録係、進行係を含めた、21世紀のマルチ政戦略ゲームという感じだが、これをついつい注文してしまったのだ。これ、まさに地政学的なゲームだと思うが、おかげで自分の中で、21世紀の戦争に対する興味も復活してしまった。せっかくウォーゲーム・コレクションを断捨離して、接するジャンルを絞ったのになあ。まあ、たしかに以前からハイブリッド戦争とか、マルチドメイン戦とか気になっていたので、ここはもう自分の物欲・知識欲に降参して、現代の紛争や地政学的な本も読んでいこうと思う。やれやれ。