Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【参考文献】「ヒトラーの特殊部隊 ブランデンブルク隊」

ヒトラーの特殊部隊 ブランデンブルク隊
 

昨年刊行された「ヒトラーの特殊部隊 ブランデンブルク隊」を購入。ブランデンブルク隊は、特殊部隊だっただけに、その内実は不明な部分も多いが、それにしてもかなり詳細な内容だったため、出た時から気になっていた一冊。現在ルール翻訳中の「TSWW:Barbarossa」では、ブランデンブルク隊のユニット毎に特殊能力が異なるという仕様になっており、元ネタを確かめる意味でも入手してみた。

ちなみに「TSWW:Barbarossa」のブランデンブルク隊は、まず共通能力として、敵が保持している橋梁の奪取や破壊、石油精製施設の捕獲が行え、パルチザンに対する降伏ダイスロールに有利な修整が得られる。さらにウクライナ人で組織されたナハティガル(ナイチンゲール)大隊、ローラント大隊(本書を読むと実際にはブランデンブルク隊の指揮下ではなかったらしい)は、ソ連軍の降伏ダイスロールに有利な修整が得られ、元ソ連軍捕虜や脱走兵で構成されたベルクマン特務隊は、ソ連軍ユニットを操って、枢軸軍から2ヘクス遠ざけることができる。また鉱油技術旅団は石油施設の修理が行え、第804部隊は常に戦闘前後退が行え、1年に3回奇襲に自動成功し、1ゲームに1回だけソ連軍の非師団ユニットを操れる。まあ、そこまで特別ルールが多いなら、単なる歩兵ユニットとは区別して、使用するかなと。

「OCS:DAK」でも、選択ルールとして「第287特殊任務連隊によるエジプト軍ユニットの懐柔」や「ヘッカー水陸両用大隊による海岸上陸」がある。使ったことないけど。フォン・ケーネン隊ユニットも用意されているが、練度の高い歩兵ユニットとして消耗されるのがオチかなと。

同じく「OCS:Case Blue」のグロズヌイ戦シナリオには第288特殊任務連隊が登場するし、「OCS:Tunisia II」にもフォン・ケーネン隊ユニットが登場するが、どちらも特別ルールは無く、練度の高い歩兵ユニットとして表現されている。またビル・ハケイム戦を扱った「GTS:No Question of Surrender」にも第287特殊任務連隊ユニットが出てくるが、こちらも単なる歩兵ユニット扱い。これもある意味、特殊部隊として訓練されたのに、単なる歩兵として消耗されてしまったという、ブランデンブルク隊の史実的な運用とその悲劇を表しているわけだ。

もう手放してしまったが、レロス島の戦いを扱った「TCS:Leros」は、ブランデンブルク隊をかなりフィーチャーした作品だったと思う。結局まともにプレイすることなく処分してしまったが、もしブランデンブルク隊にご興味があるなら、それをがっつりと堪能できるゲームは「TCS:Leros」かもしれない。