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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Hakkaa Päälle」Timoshenko's Offensive '40 Solo-Play AAR Part.2

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それでは「TSWW : Hakkaa Päälle」の冬戦争・ティモシェンコ攻勢シナリオ、ソロプレイ開始。最初は1940年2月Iターン、先手ソ連軍、開始フェイズから。ソ連軍は、レニングラードに置かれた補給所(機能面:OP)から、2/3兵站ポイントを消費して、カレリア地峡の第7軍・第13軍司令部(とその麾下軍団司令部)に攻勢補給(OS:Offensive Supply)を供給した。これによりカレリア地峡のソ連軍はすべて、このターンに戦力・移動力を100%発揮できることとなった(一般補給だけの場合は戦闘効率補正✕0.75、騎兵と自動車部隊は移動力1/2、それ以外の部隊は移動力1/4となる)。

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ソ連軍移動フェイズ。カレリア地峡東部にいた予備歩兵師団が前線ヘクスへ移動。ソ連軍は、これに続く戦闘フェイズで、4スタックを用いて2箇所で攻撃に出ることにした。

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ソ連軍戦闘フェイズ。解決に先立ち、2箇所での攻撃を支援するべく、近接航空支援(CAS)任務の航空部隊が出撃。それぞれDB-3MとSB-2bis爆撃機3スコードロン(120機相当)に、I-16タイプ17など護衛戦闘機も付けている。これに対してフィンランド軍のフォッカーD21(40機相当)、ブルドック戦闘機(20機相当)が迎撃発進した。

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戦線中央に迎撃発進したフィンランド軍ブルドック戦闘機は、ソ連軍の護衛I-16戦闘機に追い返され、基地へ帰還。地峡東部上空に向かったフォッカーD21戦闘機は、ソ連軍のI-16戦闘機をステップロス(20機撃墜相当)させたものの、こちらも基地に追い返され、爆撃機本隊へは近づけなかった。

また2つの爆撃隊とも、対空射撃を生き残り(と言ってもたいした対空射撃は無かった)、予定通り近接航空支援を行った。図左側の爆撃機隊は、作戦爆撃力5。右側は、作戦爆撃力7。作戦爆撃力4毎に地上戦力1となるため、左側は地上戦力1.25、右側は1.75となるが、あいにく天候が過酷なため、効果は半減。0.625と0.875となる。うーん、分かってはいたが、地上戦力1にもならんのか……

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では地上戦闘解決。まずカレリア地峡東部タイパレ(Taipale)への攻撃。ソ連軍は……

・歩兵72戦力(6個師団+スキー旅団)✕0.75(過酷・大規模陣地)=54戦力

・戦車16戦力(2個旅団)✕0.5(過酷・大規模陣地)✕0.5(過酷・森)=4戦力

・重砲兵26戦力(5個連隊+列車砲大隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(過酷)=78戦力

・近接航空支援0.875 合計136.875戦力

戦車部隊は、スタックポイント(部隊規模)に等しい装甲値を持つ。この場合、ソ連軍は2個旅団=4スタックポイント分の戦車を持つため、装甲値も4。ただし大規模陣地ヘクスサイドを超えて攻撃する場合、その装甲値を活かした戦車ショック効果(ASE)は無効とされるため、今回は考慮しない。

対するフィンランド軍は、6戦力✕2.4(マンネルハイム将軍と戦闘効率補正)=14.4戦力。戦闘比9.50:1。d100を振って10が出たので、戦闘比10:1に繰り上げるが、地上戦闘結果表には9:1までしかないので振り切り。ただしダイス修整は-4(過酷・大規模陣地)。ソ連軍の攻撃ダイス、出目は1(最悪!)、修整して-3、結果はHQ。攻撃側ソ連軍は、防御側フィンランド軍=5スタックポイントの1/2=2.5スタックポイント以上を除去しなければならず、第72歩兵師団をステップロスさせ(2スタックポイント損失)、スキー旅団を除去(2スタックポイント損失)した。フィンランド軍は、5スタックポイントのうち1/4を失って後退するか、1/2を失って留まるか。当然、後者を選び、第7(軽)歩兵師団をステップロスさせ(2スタックポイント損失)、タイパレを死守した。マンネルハイム線、堅し! 実際、史実でもタイパレ地区での戦闘は、ソ連側にとって虚しいものだったとあるから、そのまんまか……

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では主攻勢軸、戦線中央、キヴェンナパ(Kivennapa)に対する攻撃。ソ連軍は……

・歩兵104戦力(8個師団+2個空挺連隊)✕0.75(過酷・大規模陣地)✕0.5(森・湖)=39戦力

・重砲兵40戦力(6個連隊)✕4(大規模陣地)✕0.75(過酷)=120戦力

・近接航空支援0.625 合計159.625戦力

対するフィンランド軍は、10戦力(歩兵師団+高射砲連隊+砲兵連隊)✕2.4=24戦力。戦闘比6.65:1。d100振って36が出たので、戦闘比7:1に繰り上げ。ただし、こちらもダイス修整は-4(過酷・大規模陣地)。ソ連軍の攻撃ダイス、出目は8。修整して4。結果はDQ。防御側フィンランド軍は、6スタックポイントのうち1/4を失い(第5軽歩兵師団をステップロスして2スタックポイント喪失)、後退しなければならない。ソ連軍は見事、マンネルハイム線を突破し、陣地線の向こうに第1軍団司令部+4個歩兵師団+1個空挺連隊を前進させた。

この後は、非手番側・フィンランド軍の反応移動フェイズとなるが、あいにく反応移動(移動力1/2で移動)が許されるのは、敵ユニットから3ヘクス以上離れているユニットなので、今回は無し。

続いてソ連軍の突破フェイズ。攻勢補給下の騎兵・自動車化ユニットは、さらに全移動力を使って移動でき、それ以外のユニットは移動力の1/2まで移動できる。ソ連軍の全ユニットは、攻勢補給下にあるため、いずれも移動可能。そしてこの移動中にオーバーランを行ってもよいが、電撃戦を諦めたティモシェンコ大将同様、ここは次ターンの攻勢準備に留めておこう。

手番代わって、フィンランド軍の開始フェイズ。ヴィープリに2個砲兵連隊が登場したものの、前線は手薄。移動フェイズにスキー部隊が位置を変えた程度。というあたりで、次の1940年2月IIターンへ……

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TSWWでは、旧エウロパ・シリーズより補給面も厳しく(そして細かく)なったが、基本的な地上部隊の補給システムは、なかなか良い感じだ。要するに、1/3兵站ポイント払えば、1個軍司令部と、その麾下の4個軍団司令部につながるユニットはすべて補給下に置かれるわけで、その処理は、案外と楽である。その麾下に何個師団いるのかという、従量制的な計算は無い(司令部から隔絶していたら、それをやる)。

また、攻勢補給下にしなければ、どの種類の部隊であろうと、戦闘力も移動力も100%発揮できないという処理は、補給に厳しいOCS(Operational Combat Series)より厳しくなっている。

OCSも補給に焦点を当てたゲームであり、自動車化部隊の移動には燃料が必要だが、歩兵・騎兵部隊はノーコストで動き回れてしまうので、そこがまだユルいかなと。歩兵にしろ騎兵にしろ、メシを食わねば動きも鈍るはずだし、その食糧供給まで再現しても良かったように思うのだが、デザイナーのDean Essigが、とりあえず自動車化部隊の燃料消費に焦点を絞ったから、ああいう形になったのだろう。

なんとなく、2010年代生まれのTSWWが、1990年代生まれのOCSを見て『いや補給にこだわるなら、歩兵や騎兵にも補給ポイントを食わせようぜ』と、先輩格OCSへのアンサーシステムになったような気もする。そういった、次世代・21世紀のウォーゲームの主張を見るのも面白い。