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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW:Barbarossa」Part.4 Soviet & Allied Units

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「TSWW:Barbarossa」カウンター紹介シリーズ・その4。最終回は、ソ連軍と連合軍カウンター。

まずソ連軍の戦車軍団、機械化軍団から見てみよう。額面戦闘力が最も高いのは、第1と第2戦車軍団(40-38-16)。この第2戦車軍団カウンターは1943年3月後半ターンに、第1戦車軍団カウンターは1943年5月前半ターンに登場する。つまりクルスク戦の前であり、本ゲームで扱う期間のぎりぎり最後となる。

ソ連軍の戦闘効率補正(CEV)は、1941年も1942年も、モスクワ近辺で最初に雪が降るターンまでは✕0.75、2度目の雪が降ったターンから✕1.0となる。んで1943年になると、ようやく雪の有無に関係無く、一律✕1.0、つまり額面戦闘力そのままとなる。なので最強カウンターである第1、第2戦車軍団は額面戦闘力40そのままだが、ドイツ軍側の最強カウンター、グロスドイッチュラント師団(戦闘力31✕CEV1.3=40.3戦闘力)より、微妙に下と。

しかし軍団ユニットはともかく、ソ連の戦車・機械化師団ユニットは、戦車ショック効果(ASE)は✕0.75、対戦車効果(ATE)は✕0.5と装備的に劣っているため、額面戦力でドイツ軍に優っていても、見えない部分で負けている。また戦争初期の半自動車化師団(12-10、14-8)は、移動は自動車化として扱うけれど、戦闘は非自動車化として扱われる。このあたり、ソ連軍戦車/機械化部隊の変遷も追えるのではないだろうか。

さらに第6親衛騎兵軍団(21-9)のように、戦車と騎兵が混在している妙なユニットもあり、この場合、自動車化として移動してもいいけれど、騎兵として移動する場合には移動力が半減される(それでも騎兵移動の方が効率が良い場合もあるだろう)。

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もちろん細かな戦車旅団(5-4-16)、独立戦車大隊(4-3-18)などもあり。重戦車大隊(3-16)は、独立戦車大隊の中でも、T34やKV-1の装備率が高い部隊なのだろうか。突撃砲大隊(2-3-16)は、一番早いものが1943年1月に登場するので、まだSU-76装備なのかなあ。部隊名とその装備車輌をつき合わせるには、我が家の資料(主にコロミーエツの独ソ戦車戦シリーズ)では全然足りない……

また、わざわざ「ドヴァトール将軍の騎兵コマンド部隊」なる特別ルールがあり、Dovator 5-9ユニットは、敵影響ゾーン(EZOI)を無視し、戦闘前後退可能、枢軸軍の非自動車化ユニットのいるヘクスを通過可能なうえ、常に攻勢補給下にあるという。ずいぶん豪勢な扱いだが、その元ネタはどこに載っているだろうと思ったら、白水社から出ている「モスクワ攻防1941」(ロドリク・ブレースウェート)にその記述があったので、そちらもいずれ読書記事として紹介する予定。

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歩兵師団の戦力もバラエティに富んでいて、頼もしい15戦力から、頼りない5戦力までバラバラ。というか7戦力や6戦力の歩兵「旅団」があるのに、それより弱い「師団」っていったい……。また親衛歩兵師団も多々あるが、その大半は9-10-6で、最強でも12-6なので、一般歩兵師団より強いというワケでもない。ただし親衛歩兵師団は、1942年11月前半ターンから、2対戦車ポイントが付与される。一般歩兵師団は、1944年1月前半ターンになって、ようやく1対戦車ポイントが付与されるので、対戦車装備が優先して回された分、額面値以外の部分で、親衛歩兵師団の方が頼もしくなっている。

他にも山岳師団、空挺師団・旅団、グライダー旅団、スキー旅団等々もあり。

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ソ連軍と言えば、の砲兵部隊もふんだんに。10戦力以上の砲兵旅団となると、その破壊力(防御弾幕)は、平均的な1個歩兵師団に匹敵する。さらに親衛ロケット砲(カチューシャ)旅団ともなれば、最強24攻撃力なので、攻勢支援部隊としてはかなり頼もしい。その代わり防御力は3なので、防御弾幕には使えないと。こういう暴力的な数値を見てしまうと、ドイツ軍の列車砲(戦力1)がとても頼りないことが分かる。

また各種工兵部隊もあるうえ、ソ連の場合、人口ポイントを強制徴用して建設工兵にするという酷い荒技もある。モスクワを守るためなら、女子供老人でも使うぞと。

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そのソ連のヒドさの代名詞、NKVDこと内務人民委員ユニット(赤地・兵科は黒・数値はは白)もあるが、ルール上、それほど酷いことをするわけではない。せいぜい、隣接ヘクスにいるスキー部隊がオーバーランされそうになっても、戦闘前後退を許さない程度だ(やっぱり酷い)。またスターリンが信頼していない民族地域の都市には、必ず4スタックポイント(師団規模)のユニットを配置しなければならないが、NKVDユニットなら、その要件に関してスタックポイント3倍として換算される。つまり一般歩兵師団(SP4)を配置する代わりに、NKVD連隊(SP1x3)で大半が賄えると。

そのNKVD所属部隊として、OMSBON(Otdel'naya Motostelkovaya Brigada Osobogo Nannachenia=特殊作戦用独立自動車化旅団)というコマンド部隊があり、奇襲判定、戦闘前後退判定にボーナスがあるうえ、パルチザンが対パルチザン影響ゾーンを無視できるようにするなどの特別ルールが付いている。これもどこに元ネタが載っているんだよ?と思ったら、先述の「モスクワ攻防1941」に載っていた。

また赤地に白字は、大都市で集められた民兵ユニットであり、その都市から3ヘクス以内でしか活動できない。もし3ヘクス以上離れたら? その際は、問答無用に除去され、補充することもできない…… 

そして民族(Ethnic)部隊も、それぞれ民族名がカウンターに記されている。Uzはウズベキスタン、Kzはカザフスタン、Trkはトルクメニスタン、Tadはタジキスタン、Azarはアゼルバイジャン。もしも枢軸軍がコーカサス地方に侵入した場合、こういった民族の皆さんはスターリンに信頼されていないため『あいつらドイツ軍に味方するかもしれないから、その前に粛清しておこう』とばかりに、自動的に半減されたり除去され、いったん補充プールに送られ、そのユニットを構成している戦車や砲兵などの装備は残したまま、歩兵(人員)要素だけが粛清されて失われ、また新たな歩兵補充ポイントを入れないと復活できないという、恐ろしい仕組みになっている。

さらに……これはかなり確率が低いが、もしソ連が、モスクワ、レニングラードスターリングラード、バクー、ウラル東方の都市のうち、3つを枢軸側に奪われた場合、西側連合軍(アメリカやイギリス)が、ソ連領内に入ってソ連軍を助けてもいいというルールがある。まあ、北のムルマンスクに海上輸送されてくるか、南のイランから入ってくるかは知らんが、そのように米英ソが共同戦線を張ってもいいのだが、米英ユニットとソ連ユニットはスタックしてはいけないと。しかし、もし戦闘後後退などで、ソ連軍ユニットが米英ユニットを踏み越えて一時的にスタックしてしまった場合、そのソ連軍ユニットは、西側の悪しき風習に染まったと見なされ、いったん強制収容所に送られ、やはり装備だけを残して人的要素だけを引っこ抜かれ、また新たな人員を入れ直して前線に戻されるという、恐ろしいルールになっている。ちなみにこのルール原文で、誤植を見つけたのでメーカー側に知らせたところ『ああ、ありがとう。でもそのルール、使わないよね』という返事が来て、おい、使わないルール入れるなよ!と言いたくなった……

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さらにパルチザン部隊も多々あるが、さすがにこれは名称も無く、そのほとんどが攻撃不可の(1)戦力ユニットばかり。しかし少数ながらも、攻撃可能な1戦力ユニットもある。パルチザンのルールは、今回の「TSWW:Barbarossa」で大幅に改訂されたので、それに対抗する保安部隊のルールともども、じっくり検証していきたい。実際、もし複数プレイヤーで枢軸軍を担当するなら、保安部隊専従プレイヤーが欲しいが、その逆に、ソ連側にはパルチザン専従プレイヤーが欲しいかもしれない。

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航空ユニットも、鬼のような数が収録されているが、ドイツ空軍と比べてしまうと、数値的にはかなり頼りない。ルール上、ソ連の航空部隊は、通常の赤軍航空隊(VVS)の他に、親衛軍(赤地に黄文字)、防空軍(PVO カウンター下段が白文字)、長距離戦略爆撃隊(ADD カウンター上段が白文字)、海軍航空隊(VMF 白地)に分類される。このうち、親衛軍と防空軍は1941年中から、空戦などで有利なダイス修整+1(ACEV 航空戦闘効率補正)が得られるが、それ以外の所属ユニットは1941年中は-1、1942年~1943年は補正0となっている。対するドイツ空軍は、1941年~1942年が+2、1943年が+1なので、序盤の劣勢はいかんともしがたい。

また珍しいところでは、ズヴェノ親子航空機という、親爆撃機(QB)と子戦闘機(QFD)を分離・合体させる計画機もある。これ空中で発進させるのは問題無いのだが、合体させるにはダイス判定が必要で、失敗すると空中衝突し、親子機ともども失われてしまう。いや待て、これ1ターン半月のゲームだぜ……

さらに航空機工場のルールも「TSWW:Barbarossa」で細分化され、工場カウンターも、イリューシン、ミグ、ヤコブレフ等、航空機メーカー毎に分かれている。つまり枢軸軍が、ミグの工場を破壊したり占領したからといって、イリューシンの工場で生産されているIl-2の生産に影響するわけではないと。

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ソ連海軍カウンターも200個以上収録され、結構あるんだなあという印象。中には、未成艦となったソビエツキー・ソユーズ級戦艦もあり、独ソ開戦時にはすでに建造も始まっているが、1943年夏までのソ連軍戦闘序列では、まだどれも完成していないし、東部戦線後編「TSWW:Vengeance」でも登場するとは限らない。しかしそのソビエツキー級、防御力10とは、戦艦ティルピッツ(防御力9)を上回り、戦艦大和(防御力10)と並ぶ最強の頑丈さ。そういやソビエツキーと大和が撃ち合う仮想戦記小説があったが、TSWWならそれも可能ということだ。またラドガ湖やペイプス湖水系の河川小艦隊も登場と。また選択ルールとして「7号計画駆逐艦」と呼ばれる艦船は、船体の耐久力が低く、航海に出るたびにダイスを振って損害判定をしろと。どんな駆逐艦なんだ……

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さらにレンドリース輸送船団を守るイギリス海軍も登場。実際にはその護衛に就かなかった艦船も多く含まれている。イギリス海軍のI級空母(インドミタブル、フォーミタブル等)は、装甲甲板があるため、Ju88以外の爆撃や神風攻撃は被害1/2となる。また機雷軽巡洋艦(CLM)という艦船タイプが登場したが、これは機雷を敷設できるうえに、機雷を収容していたスペースを積荷用に改修して、武装した輸送船としても使用できると。これ、具体的な戦例がどこかにあるのだろうか。マルタ島か、ムルマンスクへの海上輸送でそうしたのか。また補助対空巡洋艦(AMCA)なる船も登場しているが、言うほど対空力は高くない。これも輸送船団の護衛用? このあたり、我ながら疎いわー。

紺地に黄文字のカウンターはオーストラリア海軍、紺地に赤文字はカナダ海軍。

そしてカウンター下段が赤文字は、アメリカ海軍。こちらにも水上機駆逐艦(DAV)という、港湾や環礁、沿岸ヘクスに停泊している場合、水上機の運用を支援する、変わり種の艦船が登場している。また特別ルールとして、司令長官兼海軍作戦部長のキング大将が、1941年イギリス海軍空母イラストリアスがJu87に爆撃されたのをキッカケに、それ以来、アメリカ軍空母が枢軸軍陸上機の航続距離内に入ることを禁じた、とあるけれど、手元の資料では見当たらなかったので、このネタもいずれ探しておこう。

とまあ、ソ連軍、西側連合軍カウンターも、1つずつ見ていくとキリが無いし、一見しただけでは容易に分からないほど無数のネタが潜んでいると思うので、各種マニアの方は是非入手して、眺めていただきたい。とまあ、ひととおり「TSWW:Barbarossa」の内容物紹介も終わったので、いよいよ実プレイに取りかかろう。また本作購入と前後して、独ソ戦資料もいろいろ買ったので、その読書日記もいずれ。