Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退したウォーゲーマーの日記

【参考文献】Niklas Zetterling & Anders Frankson「The Drive on Moscow 1941」

The Drive on Moscow 1941: Operation Taifun and Germany’s First Great Crisis of World War II

The Drive on Moscow 1941: Operation Taifun and Germany’s First Great Crisis of World War II

 

いよいよ史上最大のWWII独ソ戦ゲーム(地図盤20枚、カウンター7840個)「TSWW:Barbarossa」が今月中に発送されるそうで、こちらとしても、その雰囲気作りに、あらためて東部戦線書籍を買い集めている。

まずは「Normandy 1944」の著者でもあるNiklas Zetterlingと、Anders Franksonの共著「The Drive on Moscow 1941」。こちらは「Normandy 1944」とは違って、軍事分析より読み物部分が多い。あらためてモスクワ攻略・タイフーン作戦の顛末を眺めるには手頃な分量。一応、巻末には東部戦線でのドイツ軍戦車の損失数の推移や、独ソ両軍の戦闘序列も簡単にまとめられている。

昨年読んだ「ナチス 破壊の経済」第15章「1941年 転回点」でも、このバルバロッサ作戦~タイフーン作戦の頓挫が、ドイツの戦争が崩壊した時だと捉えており、将来アメリカが参戦する前にソ連を打倒しようとするギャンブルに負けたのがこの時期だと。まあ、ソ連を打倒するだとか、資源問題が解決するという発想そのものが妄想に近かったようだけれど。

だったらウォーゲーム上でも、独ソ戦なんてムダじゃないかと思うけれど、大概の独ソ戦ウォーゲームで与えられるのは、あくまで戦域司令官や参謀本部の立場なので『ドイツの生活圏を拡大するためにソ連に攻め込むぞ』という政治方針は変えられなかったりする。今回発売される「TSWW:Barbarossa」でもそれは同じなので、あくまでハルダー参謀総長のように、絶望的な戦いに胃を痛めるしか。

もちろん、もっと戦略的レベルで、ソ連と戦わずに勝利を収めるようなウォーゲームもあるのだろうが、自分はあまりそのあたりに詳しくないので、そのうち「Gathering Storm」にも触れてみよう(こちらも昨年からルール翻訳中)。

ちなみに「TSWW:Barbarossa」のルールは、すでにメーカーから送って頂いて翻訳を進めている。今のところの印象としては、当時の独ソ両軍の政治的制約も如実に反映しているというか、ガチガチに史実に固める方向のルール。ドイツ軍は、1941年12月以降、後退する際、スタック毎に「後退許可」が出るかどうか判定するとか、1942年以降は毎年1回攻勢をやらなきゃいかんとか(つまり42年の青作戦、43年の城塞作戦、44年のバルジのような攻勢をどこかでやれと)。他にも、対独協力者(ヒヴィ)や奴隷労働の活用、選択ルールとしてNBC兵器、とか恐ろしいルールも多々あり。すでにルールそのものの翻訳作業は90%まで終わっているので、発売と前後して公開できるかと思う。まあ、ルール以外にも、膨大なシナリオブックや戦闘序列や図表類があるけれど、とりあえず本体ルールでなんとか……