Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【The Second World War】「TSWW : Balkan Fury」

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2011年に発売された、TSWW(The Second World War)シリーズ「Balkan Fury」を購入。1940年~1941年の、枢軸軍によるアルバニアギリシャ侵攻を中心としたセットである。本家GDWのエウロパ・シリーズからも、このテーマを扱った「Marita-Merkur」が1979年に出版され、GRDからも「Balkan Front」が1990年に出版されたが、そのTSWW版という形か。今回、すでに箱入り版は売り切れていたので、ジップロックのLieutenant版(地図とカウンターのみ、ルールと図表はデータ)を注文した。内容物は、このシリーズとしては小振りな、ハーフマップ2枚、カウンターシート4枚(1120個)なので、わざわざ箱入りでなく、ジップロックで十分かもしれない。

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2枚のハーフマップには、ユーゴスラビアアルバニアギリシャはもとより、ブルガリア、イタリアとトルコの一部が含まれている。

収録シナリオは「イギリス軍によるタラント港空襲」「マタパン岬沖海戦(イギリス海軍vsイタリア海軍)」「枢軸軍によるアルバニアギリシャ侵攻キャンペーン(1940年10月後半ターン開始)」「マリタ作戦(1941年4月のドイツ軍によるギリシャ侵攻)」「メルクール作戦(1941年5月のドイツ軍によるクレタ侵攻作戦)」等。ちなみに本作とは別に、ドイツ軍のクレタ島侵攻ミニゲームも出ている。

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こちらがイタリア軍ユニット。イタリア陸軍の戦闘効率補正(CEV)は1.0(つまり額面戦力値そのまま)。イタリア空軍も、イタリア海軍も、補正は無し。もしかしてマイナス補正が入るかと思ったが、ごくごく普通のレベルの軍隊として表現されている。そうなると、戦艦ヴィットリオ・ヴェネト、リットリオも頼もしく見えてくる。しかし空軍の主力戦闘機がMC.200(空戦攻撃力5、空戦防御力4)では頼りないか。 

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こちらがギリシャ軍ユニット(紺地に白字)。ギリシャ陸軍の1940年の戦闘効率補正(CEV)は1.4(額面戦闘力✕140%)、1941年は1.3と、なかなか頑強で、しかもギリシャ陸軍ユニットは、戦闘時にすべて山岳部隊扱いとなるし、実際、師団ユニットの大半は、山岳部隊アイコンになっている。つまり戦闘効率が、全地形・全天候で+0.25されるため、1940年なら1.65(額面戦闘力✕165%)、1941年なら1.55ということ。ギリシャ陸軍の師団ユニットは、4戦力前後なので、実質6.6戦力(1940年)、6.2戦力(1941年)になる。イタリア陸軍の歩兵師団ユニットが5~6戦力(補正無し)なので、額面戦力では劣るも、練度や気概で、ほぼ同格になっている。

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こちらは、イギリス海軍。とりあえず「マタパン岬沖海戦」シナリオは試してみたい。イギリスの戦艦ウォースパイト(砲撃力41・38.1cm連装✕4、15.2cm単装✕8)は、砲撃力ではイタリア戦艦ヴィットリオ・ヴェネト(砲撃力47・38.1cm三連装✕3、15.2cm三連装✕4)に劣るも、イギリス海軍には有利な戦闘補正+1が入るので、それがどこまで作用するのか。 

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そしてこちらがドイツ軍。装甲師団が戦力15~14、歩兵師団でも戦力12、しかも1939年~1941年は、戦闘効率補正(CEV)1.5(額面戦力値✕150%)なので、ギリシャ軍なぞは鎧袖一蹴というところか。後に、アルバニア兵で第21SS山岳師団が編成されるが、そのカウンターは無し。恐らく東部戦線後期を扱う「TSWW:Veangeance」あたりに入ってくるのだろう。

他にもユーゴスラビア軍、ブルガリア軍、トルコ軍ユニット等が登場するが、ぱっと見て『おお、あの部隊・艦艇・機種が入っているとは!』などとすぐ分かるほど、自分は戦史マニアではない。それでも『へえー、ギリシャ海軍にも装甲巡洋艦(イェロギオフ・アヴェロフ)があったのか』とか思って、ぐぐってみると、その艦名がギリシャの富豪の名前だとか、第二次大戦ではクレタ島からアレキサンドリアに脱出して自由ギリシャ海軍の旗艦となり、今では記念艦として保存されているという情報を知ったりと、掘れば掘るほど予備知識が増えそうなのが、TSWWシリーズの楽しいところでもある。

まあ、恐らくプレイする優先順位は低くなってしまうが、もし触れるとしたら、イタリア軍ギリシャ侵攻をプレイしてみたい。史実のイタリア軍は、アルバニアこそ1週間で落としたものの、ギリシャ軍には押し返されてしまったので、そのあたり、なんとかマトモに作戦できないものかと。せっかくイタリア軍には、戦闘効率的なマイナス評価は付けられていないので、ドイツ軍の手を借りずに、どこまで独力でやれるか見てみたいなと。実際、小規模の戦役だし、ささっとプレイしてしまうという手はある…… 

Viva! 知られざるイタリア軍

Viva! 知られざるイタリア軍