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After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Battalion Combat Series】「Valley of Tears」Duel for the Golan Solo-Play AAR

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師走に入って忙しくなるかと思いきや、ぽっかり一日空いたので、ようやくBCS(Battalion Combat Series)の新作「Valley of Tears」(第四次中東戦争)をソロプレイすることに。まずはマップ1枚で収まるシナリオ6.4「Duel for the Golan」を選択。こちらは開戦から四日間のゴラン高原戦線を扱うもの。

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守るイスラエル軍は、シリアとの停戦ラインに沿って陣地と守備隊を配置し、後方に機動予備として第36師団を控えさせている。それに対して攻めるシリア軍は、最北部にコマンドグループ(ヘルモン山イスラエル軍観測所を狙う)が位置し、その南に第7、第9、第5歩兵師団と並び、3個歩兵師団強で攻勢をかけることになる。

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シナリオの勝利は、単純にゲーム終了時に、勝利ポイントヘクスをいくつ占領しているかによる。ただしシナイ半島戦線と連結するキャンペーンの場合、ゴラン高原戦線では、ゲーム終了時ではなく、シリア軍が最も勝利ポイントを獲得していたターンを基準とする。たとえばシリア軍が、一時的に7勝利ポイントを獲得していたターンがあって、その後それをイスラエル軍に奪い返され、ゲーム終了時には4勝利ポイントしか得ていなくても、計算上は7勝利ポイントとする。つまりシリア軍としては、一時的にでもいいから派手な戦果をあげる必要があるし、そのためには損害も覚悟して「焦燥的な攻撃」をする必要もあると、シリーズデザイナーのDean Essigは語っている。一応キャンペーンも、このシナリオ配置から始まるので、今回のシリア軍も(シナリオだけれどキャンペーンのように)焦燥的に攻めてみようと思う。

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まず第1(1973年10月6日)ターンの航空作戦フェイズ。イスラエル、シリア両軍は、手持ちの航空ユニットを、航空優勢、近接地上支援などの任務に割り振った。ダイス目によって航空優勢レベルはイスラエル側に傾き、シリア軍のMig-21が1ユニットのみ任務中止となったが、それ以外は通常通り任務に就いた。

シリア軍コマンドグループはヘルモン山に向かい、シリア軍第7歩兵師団は停戦ラインを越えてイスラエル軍守備陣地へ接近。しかしいずれも第2活性化にしくじり、接敵のみに留まった。対するイスラエル軍も、後方に控えていた戦車隊(センチュリオン装備)を前線へと送り込んでいる。

南部のシリア軍第9、第5歩兵師団も、同じく停戦ラインを越えたところまで移動して第2活性化に失敗。おいおい。これでは「焦燥的な攻撃」にならんじゃないの。とは言ってもシリア軍師団司令部の活性化値は低く、そう簡単に第2活性化して押せ押せにできるワケでもない。対するイスラエル軍戦車隊も、追加のXT活性化(特別ルール2.3)に成功したユニットもあったが、あいにく1ステップのみのユニットが多く、シリア軍戦車隊に射撃戦(Engargement)を挑んで、もし結果が双方1ステップロスだとユニットごと除去されてしまうので発砲は控え、開戦初日は本格的な戦闘が発生せずに終わった。

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第2ターン(10月7日)。シリア軍コマンドグループは、ヘルモン山の観測所には取り付いたものの攻撃まで至らず。山道は険しい……。シリア第7歩兵師団は、やはり1回のみの活性化ではあったが、運良くイスラエル軍戦車隊を(かなり不利な)射撃戦で討ち取り、前線の守備隊も2カ所潰して前進。しかしその先には対戦車壕が待ち構えており、そう簡単には前進できない。

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南の第9と第5歩兵師団も、同じく活性化1回のみの割には戦闘ダイスが調子よく、打撃砲撃のみで守備隊を除去したり、やはり負け覚悟で挑んだ射撃戦でイスラエル軍戦車ユニットを除去している。もちろん活性化が1回止まりでは続けて押し込むこともできず、イスラエル軍守備隊も潰しきれず、とても「焦燥的な攻撃」とは言えない。

しかしここまで進めて、いや待てよと。イスラエル軍守備隊歩兵に対して、律儀にシリア軍も歩兵を隣接させて通常攻撃(Regular Attack)をかけていたが、守備隊は1ステップながらもアクションレーティング5(最良)なので、まともに攻めると意外に手強い。なんならイスラエル軍歩兵には戦車の「支援」が無いのだから、シリア軍戦車ユニットを隣接させて直接射撃(Attack by Fire)でも良かったんだなあと。もし「支援」があったなら、射撃戦を行って「支援」を喪失(Drop)させる必要があるけれど、イスラエル軍は『諸兵科連合効果?何それウマイの?』な、歩兵は歩兵、戦車は戦車と、厳格に分かれている軍隊なので、その特性を逆手に取らなくちゃいかんなあ……と思ったところで今回のプレイはここまでとした。

なにしろBCSは、前作の「Arracourt」以来、一年半以上ご無沙汰なので、だいぶ感覚を忘れているようだ。そしてこの「Valley of Tears」も独特な部分があるので、そちらも頭に入れたり、身体になじませないとなあ……とも思ったり。