Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

【Operational Combat Series】「Crimea : Conquest & Liberation」(そして祝「OCS:Luzon/Operational Matters vol.2」予約開始)

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War-Gamers Advent Calender 2023 参加企画

プレオーダーしていたOCS(Operational Combat Series)第20弾「Crimea」が到着。そうか、1992年にスタートしたこのシリーズももう20作か(自分は2000年から参入)。本作はタイトル通り、第二次大戦中の、クリミア半島における戦役をカバーしている。サブタイトルにも「征服と解放(Conquest & Liberation)」とあるように、1941年のドイツ軍侵攻時のシナリオから、1944年のソ連軍による解放シナリオまでが揃っている。

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収録されているのは、フルマップ1枚のみ。ちょうどクリミア半島が収まっている。

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クリミア半島の地図盤は、2008年発売の「OCS:Case Blue」にも含まれていたが、2枚を見比べてみると、若干切り取り範囲が異なっている。写真手前が「Case Blue」版、奥が「Crimea」版だが、今回の地図盤は2021年発売の「The Third Winter」との連結を意図されていて、本作にも「The Third Winter」との連結シナリオが収録されている。

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カウンターシートは、独ソ両軍1枚ずつ+マーカーシート1枚。こちらはソ連軍カウンター。なにしろ1941年から1944年シナリオ用のユニットがあるため、戦争序盤の頼りないユニット(AR1の歩兵師団や、わずか12火力の砲兵連隊)から、戦争後半の強力なユニット(AR4の戦車旅団や、火力120のロケット砲師団等)まで幅広く収録され、ソ連軍の急成長が見て取れる。また上陸作戦用の舟艇カウンターもあり。

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こちらはドイツ軍を含む枢軸軍。セバストポリ要塞攻略のためのオーディン、トール列車砲(ともに火力10)もあるが、恐ろしいのはドーラ80cm列車砲で、砲撃する場合は解決表の69~116火力列(2番目に強力)でダイスを振り、いかなる理由があってもコラムシフトはせず(不利なシフト修正も無い)、陣地レベルを削っていく。ルール中に『みんなドーラを撃ちたいんだ!』と書いてあるのが笑える。ルーマニア軍も目立っているが、中にはクロアチア第369歩兵連隊、スロバキア第20砲兵大隊、アゼルバイジャン等の民族歩兵大隊やらのマイナー部隊も登場。またランダムイベントで登場する強襲ボート、英雄カウンターもあったり。さらにこちらのシートにもソ連軍がはみ出しており、戦艦セバストポリ黒海艦隊カウンター、も用意されている。

まあ、OCSの場合、細々とした戦闘序列を用意していながら史実的な展開は目指さない、という妙なシリーズなので、実際のゲーム展開がどうなるかはわからない。OCSは、状況設定は史実通りだけど、その後の展開にはあまり制限がないのが常で、ゲーム展開がどうなろうとそれはそれという、かなり乱暴なシリーズだと思う。自分としては、OCSはそのギャップやフリーダムさを楽しむシリーズだと捉えている。しかしそれを知らずにOCSに触れた史実派ウォーゲーマーが『なんだこれ、史実と全然違う展開じゃないか』と落胆するのも見かけるが、それがOCSの芸風なのよね。そこで史実通りの展開にしたければ、あれこれ追加ルールを自作する必要がでてくるけど、本来の自由さは薄れてしまうしねえ。

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近年のOCS作品同様、補助シートも用意されている。ソ連軍は、方面軍の攻勢を準備したり、攻勢用の弾幕をシート上で管理する。

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シナリオは、41年9月~12月(28ターン)、41年12月~42年5月(20ターン)、43年9月~44年1月(36ターン)、44年4月~5月(11ターン)という長期的なシナリオが4本。さらにソ連軍の上陸に対処する42年5月(4ターン)と、セバストポリ要塞攻略の42年6月~7月(10ターン)が収録。まあ、大規模ゲームが多いOCSの中では、マップは1枚に収まっているし、プレイしやすい部類だとは思う。

しかし個人的には、3年前に購入した「The Third Winter」もほとんど触れずに積みゲー化している状態。自分の中では、15年前までならOCSも「一軍」ゲームだったけれど、その後、GTSやらBCSやらTSWWやら、もっと自分の好みに合う第二次大戦ゲームが出てきてそちらのプレイを優先しているので、今ではOCSは「1.5軍」という立ち位置になっている。なのでこの「Crimea」も、たぶん積みゲー化するだろうけれど、ここまでつき合ってきたので今さらシリーズとして切るのも勿体ないという、なんだか妙な関係になっている。ある意味、腐れ縁的な関係性になってきたなあ……

……と思っていたら、この記事をアップする直前に、OCS専門誌「Operational Matters vol.2/OCS Luzon」のプレオーダー開始がアナウンスされた。付録の「OCS Luzon」は、1941年12月~1942年1月の、日本軍によるフィリピン攻略を扱ったOCS作品だそうで、しかも初の日本人デザイナー(OCSの普及にご尽力されているDSSSMさんこと松浦豊氏)の手によるもので、ああ、これも買わなくちゃな……と思いつつ早速プレオーダーした。まだまだOCSとの腐れ縁は続きそうである……(^_^;)