Wargaming Esoterica

After Action Reports & Reviews of Simulation War Games ほぼ引退した蔵書系ウォーゲーマーの日記

ツクダホビー「機動戦士ガンダム/Z/ZZ ガンダム戦史」

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War-Gamers Advent Calender 2023 参加企画

メルカリにて、1987年に発売された「ガンダム戦史 Gundam History」(通称ガンヒス)を購入。本作は、ファースト・ガンダムから、Z、ZZまでのモビルスーツ戦をすべて包括した、行動計画(プロット)式の個体級ウォーゲーム。当時は限定発売だったため、自分も代々木のポストホビーに予約し、予備校のついでに引き取って帰宅したのを妙に覚えている。

先日「ティターンズ」+「ゼダンの門」を購入した際の記事でも書いたが、このゲームも、お金が無い時期に売り払ってしまった。しかし地元の友人Karter氏(何度も書くがZガンダム大好きマン)から『売るんだったら、俺が引き取れば良かった~』と嘆かれたので、そうか、だったらそのうち良い出物があったら買い直すか……と前々から思っていた。

そこへ最近、ヤフオクに良い状態の出物があったので、3万円代で何とかならんかと思ったら、いやいやとんでもない、6万円オーバーで落札されて、おっと、今はそんな相場なのかと。そこでヤフオクではなくメルカリを探索したら、もっと良い状態のモノが5万円で出ていたのでそちらを購入した。単品のゲームに支払った額としては過去最高……(今までの最高値は「ASL:A Bridge Too Far」の4万円代後半)

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気を取り直して、コンポーネントのご紹介。まず地図盤は、薄手のハードボードが8枚収録。こちらはジャブロー的な野外と村落。

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こちらはベルファスト的な港湾と市街。ちなみに宇宙戦闘をする場合には、この地図盤を使いつつ、心の目でこれを宇宙だと思ってプレイするしかない。まあ、先日購入した「ティターンズ」に宇宙用のマップが入っているのであれを流用すればいいし、当時からしても、どうせこれを買うような奴は、もうすでに宇宙マップの入った何らかのガンダムゲーを持っているだろうと想定されているような気もする。

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こちらはファースト・ガンダム期の連邦軍ユニット。今回入手したのは、完全に未切り離しのミント品だったので、今からこれを切り離してプレイするのは心が痛い。やはり蔵書系ウォーゲーマーとして、これはコレクションとし、また別の中古ゲームの切り離し済みの駒でも使おうか(それはそれで買わなくちゃいかんという)。

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ああ、状態が良すぎてカウンターが切れない……(^_^;)

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データカードは、ファースト~Z~ZZのモビルスーツやメカ等179枚収録。本作以前に発表されたデータカードを、当時の資料を用いて見直してあるとのこと。まあ、それも1987年という36年も昔の話なので、2023年現在で手に入る資料で作ったら、また細部は変わってくるだろう。

そういや、当時のシミュレイター13号(1987年冬号)に、本作のデザイナー岡田厚利氏へのインタビューが載っていたが、インタビュアー大貫昌幸氏がデータカードを眺めて『岡田さん、ゲーマルク嫌いなんですね。ボク、好きなんですよね』『分かりますか(笑)』という会話があって笑ってしまった。もちろん制作者御本人としては、自分の好みをデータには反映させていないつもりでも、見る人が見ればわかるのだろう。それは他のウォーゲームの、戦車や航空機や師団や将軍などでも同じなのかもしれない。

また、シミュレイター17号(1988年夏号)には「Burn up of Gundam」なる、同人データカード集も紹介されていて、ZZ以降の「逆襲のシャア」や「MSV」のデータを自作しているファンがいたようだ。実際、インターネット時代に入っても、「0080」や「0083」など後発の作品群のモビルスーツデータを作成、公開しているサイトがあるので、探してみると面白いと思う。

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ゲームシステムは、先日入手した「ティターンズ」の系譜に連なる行動計画(プロット)式。各イニング毎に両軍同時に各機、運動(照準、射撃、格闘、反応移動、武器交換等)、移動計画、攻撃計画を決定し、パイロットポイントを確認、命中、回避に配分して移動を行った後、攻撃を解決する。宇宙空間では慣性移動(いったん推進剤を噴かすと、後々のターンまでその方向に進む)、三次元移動もあり。慣れれば1プレイヤーで数機扱えるのだろうが、自分は当時、単純に1機だけ受け持ってのバトルロイヤルばかりしていた。しかしニュータイプの如く、相手の動きを読み切って白兵戦でズンバラリと攻撃をキメられるような腕も無かった。まあ、リアル人生で言えば、自動車の運転も苦手なのだから(ペーパードライバー)三次元の立体機動なんて上手くやれるはずがない……

本作以前のプロット式ガンダムゲームでは、射撃兵器の射程が30ヘクスほどあったが、本作では15ヘクスに切り詰められ、テレビ版の戦闘同様、白兵戦も起こりやすいように改訂されている。中には射程30ヘクスのままプレイしている方もいるようだが、自分は当時、そこまでプレイ感覚にこだわりは無かった。自分の場合、本作以前のプロット式ガンダムゲームにほとんど触れないまま、本作から入門したので、比較もしなかったし、こういうものなんだろうなあ……と思ってプレイしていた。

ちなみに当時、まだガンダム系のTRPGが発売されていなかったので、自分で「ルーンクエスト」「クトゥルフの呼び声」等でお馴染みのBRP(ベーシック・ロールプレイング)システムを用いた独自のキャラクター作成ルールを作り、モビルスーツ戦はこの「ガンダム戦史」を使ったことがある。ところがキャンペーン第1話で、それこそKarter氏に初期ガンダムに乗ってもらい、こちらはゲームマスターとして、ヤラレ役のつもりで量産型ザクIIを出したものの、ザクマシンガンが運良く(運悪く)ガンダムエアインテークに一発で命中、誘爆してしまい『ガンダム大地に立たず』な第1話となり、それっきりその自作ガンダムTRPGキャンペーンも1話打ち切りになったという、30年以上経った今でも自分とKarter氏の間で語り継がれる伝説的なプレイになった。あれ、ダイス目を公開してなければGMとして誤魔化せたんだけどなあ……(^_^;)

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そして今回、出品者の方から「TACTICS別冊 Gundam Games」(1988年5月発売)という雑誌も送っていただいた。メルカリの出品写真には載っていなかったので、オマケという形だが、これも以前持っていて処分したモノだったので、一緒に揃ったのはありがたい。こちらは「ガンダム戦史」に収録された179種類の機体データの解説がメインで、それ以前のツクダ・ガンダムゲームの紹介も載っている。しかし国産ウォーゲームで、それ単体で別冊の解説雑誌が出たなんて「ガンダム戦史」ぐらいじゃなかろうか。

もちろん今の目から見ると、何もこんな面倒なプロット式でなくてもいいじゃないかとか、もっと機体差を上手く表現できるシステムがあるだろうとか、シミュレーションとしておかしいじゃないかとか、いろいろ意見はあるだろう。実際、自分も、後発の「サイクロプスアタック」「サイコガンダム」「クィンマンサ」系のルールシステムの方が好きだった。あちらは、1プレイヤーで複数の機体も難なく扱えるし、モビルスーツ小隊の指揮ゲームでもあり、キャンペーンルールでパイロットを成長させる楽しみもあったので。つーかガンヒスを手に入れた今、次に買い直すのはあのシリーズのような気もしている……

とは言え蔵書系ウォーゲーマーとしては、この時代のプロット式ガンダムゲームのひとつの到達点でもあるので、やはり手元に置いておきたいなと。

まあ、単体ウォーゲームの購入金額としても最高値となったが、以前持っていたモノより状態が良いし、雑誌も付いていたし、自分へのクリスマスプレゼントとして大事にとっておこう(プレイしろよ)